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第49話
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マルクス様にエスコートして頂いていた私は、びっくりして足を止める。
「ミシェル嬢?」
マルクス様に声をかけられ
「あっ、すみません。行きましょうか」
と言って、再度歩き始める。
「マルクス」
「アクイラス。
お迎えと言っていたから、誰か来たとは思ったが、お前だったら
部屋に来ても良かったのに」
「いや、俺は行かないよ。2人の楽しそうな姿を見ると、邪魔しそうだから」
「な、何を言ってるの?お兄様」
「あー…妹を取られたくない、という事か」
「マ、マルクス様まで何を言って…」
お兄様とマルクス様が笑い合う中、私はワタワタとするしかない。
すると、馬車の中から
「ミシェル、こちらにいらっしゃい。お兄様、置いて帰りますわよ」
と、お姉様が顔を出した。
「ハリエット、それはないだろ」
「いいえ。お兄様もマルクス様も、ミシェルを置いてきぼりにして
話していらっしゃるのよ。
それなら先に帰ったほうが、いいですわ。ねぇ、ミシェル」
私は答えることが出来ず、笑うしかない。
「ミシェル嬢、すまない。立ちっぱなしにしてしまった」
「いいえ。私は大丈夫です。
マルクス様に、荷物も持たせてしまって、逆に申し訳なく…」
「ではその荷物は、俺が受け取ろう」
お兄様がマルクス様から、荷物を受け取る。
「お兄様、ありがとうございます」
「ではミシェル嬢、馬車へ」
そう言ってマルクス様は、馬車までエスコートをしてくださり、乗る時の手助けまでしてくださった。
「ありがとうございました」
「いいえこちらこそ。また、お誘いしてもよろしいですか?」
「はい。お待ちしております」
そう答えて、馬車の中の席に座る。
するとお姉様が
「脈アリ?」
と聞いてくるので
「もうっ」
と返した。
「それでは、妹が世話になった」
「世話してもらったのは、俺達の方なんだけど…また遊びに来てよ」
「分かった。今日はありがとう」
「こちらこそ」
その後、お兄様が馬車に乗り込み、馬車を走らせた。
「今日は、一人で大丈夫だった?」
「王妃様とか、出てこなかったか?」
お姉様とお兄様は、そこが気になったらしい。
私は最初から、全て話した。
王妃様にパウンドケーキをあげたこととか話すと
「何であげるの?もったいない」
などとお、姉様が憤る。
「ですが、この後のお話で、側妃様のメイドと王妃様の侍女が
話した内容が伝わったということでしたので、そのメイドさんが居た時に
お出ししたパウンドケーキだけを、お渡ししました」
「それだけだよな?」
「はい」
「それならいいわね、お兄様」
「そうだな、ハリエット」
2人は何故か納得して、ウンウンと頷く。
私は、何のことか分からず、首を傾げるだけになった。
けれど、その答えがわかったのは、家に帰ってからすぐのことだった。
「ミシェル嬢?」
マルクス様に声をかけられ
「あっ、すみません。行きましょうか」
と言って、再度歩き始める。
「マルクス」
「アクイラス。
お迎えと言っていたから、誰か来たとは思ったが、お前だったら
部屋に来ても良かったのに」
「いや、俺は行かないよ。2人の楽しそうな姿を見ると、邪魔しそうだから」
「な、何を言ってるの?お兄様」
「あー…妹を取られたくない、という事か」
「マ、マルクス様まで何を言って…」
お兄様とマルクス様が笑い合う中、私はワタワタとするしかない。
すると、馬車の中から
「ミシェル、こちらにいらっしゃい。お兄様、置いて帰りますわよ」
と、お姉様が顔を出した。
「ハリエット、それはないだろ」
「いいえ。お兄様もマルクス様も、ミシェルを置いてきぼりにして
話していらっしゃるのよ。
それなら先に帰ったほうが、いいですわ。ねぇ、ミシェル」
私は答えることが出来ず、笑うしかない。
「ミシェル嬢、すまない。立ちっぱなしにしてしまった」
「いいえ。私は大丈夫です。
マルクス様に、荷物も持たせてしまって、逆に申し訳なく…」
「ではその荷物は、俺が受け取ろう」
お兄様がマルクス様から、荷物を受け取る。
「お兄様、ありがとうございます」
「ではミシェル嬢、馬車へ」
そう言ってマルクス様は、馬車までエスコートをしてくださり、乗る時の手助けまでしてくださった。
「ありがとうございました」
「いいえこちらこそ。また、お誘いしてもよろしいですか?」
「はい。お待ちしております」
そう答えて、馬車の中の席に座る。
するとお姉様が
「脈アリ?」
と聞いてくるので
「もうっ」
と返した。
「それでは、妹が世話になった」
「世話してもらったのは、俺達の方なんだけど…また遊びに来てよ」
「分かった。今日はありがとう」
「こちらこそ」
その後、お兄様が馬車に乗り込み、馬車を走らせた。
「今日は、一人で大丈夫だった?」
「王妃様とか、出てこなかったか?」
お姉様とお兄様は、そこが気になったらしい。
私は最初から、全て話した。
王妃様にパウンドケーキをあげたこととか話すと
「何であげるの?もったいない」
などとお、姉様が憤る。
「ですが、この後のお話で、側妃様のメイドと王妃様の侍女が
話した内容が伝わったということでしたので、そのメイドさんが居た時に
お出ししたパウンドケーキだけを、お渡ししました」
「それだけだよな?」
「はい」
「それならいいわね、お兄様」
「そうだな、ハリエット」
2人は何故か納得して、ウンウンと頷く。
私は、何のことか分からず、首を傾げるだけになった。
けれど、その答えがわかったのは、家に帰ってからすぐのことだった。
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