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第50話
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家に着き、お兄様が降りてお姉様と私を手助けしてくれる。
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
ニッコリと微笑んで、手を貸して下さるお兄様にお礼を言い、玄関へと向かう。
すると、玄関の扉が開き、中から家令のアルスが出てきて慌てていた。
「何があった?」
お兄様が尋ねると
「ミシェルお嬢様に、王妃様付きの侍女にならないかとの
お話が来ておりまして、今侯爵様と奥様が使者の方とお話をされております」
「分かった。俺達もすぐに向かう」
「お願い致します。旦那様も今日の様子が分からず困っておいでですので…」
それを聞いて私は、渡したケーキが原因だと思った。
やっぱり、食べ物ですら自由にならないのかと悲しくなりながら、お兄様の後をついて行った。
応接に着くと、お兄様はノックをして、お父様の確認を取る。
「入れ」
入室の許可が出て中に入ると、王妃様の使者という方とともに、何故かルーク様も居た。
ルーク様は私を見ると、使者に見えないように、ごめんと謝っていた。
やはり…そう言うことなのだ。
「王妃様はミシェル様に、お菓子を作って欲しいとか何とか言われまして…」
「まぁ、公爵令嬢に菓子を作れ?何を言っているのかしら」
「あの…ですが、
本日お持ちいただいたお菓子は、お嬢様がお作りになられたものとか」
「うちの娘は、作ってはおりませんが?
誰から聞いたのでしょうか?その、出鱈目なお話は」
「いや、私もそうとは思いましたが、いかんせんあの王妃様のお話です。
どこまで本気にしていいのやら…」
「そのような、理由の理解らない状態で、我が家に来られても、
どうしようもないのです」
「えぇ。
ですので、私のそう言いましたが、王妃様が連れてこいとの一点張りで…」
あの王妃とは、本当に関わりたくない。
多分、今日食べたものを毎日食べたいから、持ってきた私をそばに置けばいいという思いだけで、動いたのだと思う。
けれどそんな事になるのなら、私は一切れもあげなかった。
まずはそれを、王妃様に伝えようと思った。
「あの、すみません。使者の方に、王妃様への伝言を頼めたり出来ますか?」
「は、はい。それはいくらでも…」
「それでは、こう伝えていただけますか?
私は貴女に、二度と食べ物をお渡ししない…と」
「え…あの、そ、それでは…」
「はい。私は、エリス王妃殿下にお菓子を作ることはありません。
今日お渡ししたのは、カサンドラ様にご迷惑をおかけし、ヘンドリック様や
マルが様まで、貴女のワガママに付き合っておられたのが、耐えられなかった為、
口止めとしてお渡ししたものです。
その意味がわかったのは、持っていったメイドと、そこに居るルーク様、
そして今日のお茶会に出席した方々だけだったと分かりました。
当事者である王妃様がわからないのであれば、今後一切
あのお菓子は作りません…そうお伝え下さい」
私は王妃様と言えど、容赦なくぶった切ることにした。
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
ニッコリと微笑んで、手を貸して下さるお兄様にお礼を言い、玄関へと向かう。
すると、玄関の扉が開き、中から家令のアルスが出てきて慌てていた。
「何があった?」
お兄様が尋ねると
「ミシェルお嬢様に、王妃様付きの侍女にならないかとの
お話が来ておりまして、今侯爵様と奥様が使者の方とお話をされております」
「分かった。俺達もすぐに向かう」
「お願い致します。旦那様も今日の様子が分からず困っておいでですので…」
それを聞いて私は、渡したケーキが原因だと思った。
やっぱり、食べ物ですら自由にならないのかと悲しくなりながら、お兄様の後をついて行った。
応接に着くと、お兄様はノックをして、お父様の確認を取る。
「入れ」
入室の許可が出て中に入ると、王妃様の使者という方とともに、何故かルーク様も居た。
ルーク様は私を見ると、使者に見えないように、ごめんと謝っていた。
やはり…そう言うことなのだ。
「王妃様はミシェル様に、お菓子を作って欲しいとか何とか言われまして…」
「まぁ、公爵令嬢に菓子を作れ?何を言っているのかしら」
「あの…ですが、
本日お持ちいただいたお菓子は、お嬢様がお作りになられたものとか」
「うちの娘は、作ってはおりませんが?
誰から聞いたのでしょうか?その、出鱈目なお話は」
「いや、私もそうとは思いましたが、いかんせんあの王妃様のお話です。
どこまで本気にしていいのやら…」
「そのような、理由の理解らない状態で、我が家に来られても、
どうしようもないのです」
「えぇ。
ですので、私のそう言いましたが、王妃様が連れてこいとの一点張りで…」
あの王妃とは、本当に関わりたくない。
多分、今日食べたものを毎日食べたいから、持ってきた私をそばに置けばいいという思いだけで、動いたのだと思う。
けれどそんな事になるのなら、私は一切れもあげなかった。
まずはそれを、王妃様に伝えようと思った。
「あの、すみません。使者の方に、王妃様への伝言を頼めたり出来ますか?」
「は、はい。それはいくらでも…」
「それでは、こう伝えていただけますか?
私は貴女に、二度と食べ物をお渡ししない…と」
「え…あの、そ、それでは…」
「はい。私は、エリス王妃殿下にお菓子を作ることはありません。
今日お渡ししたのは、カサンドラ様にご迷惑をおかけし、ヘンドリック様や
マルが様まで、貴女のワガママに付き合っておられたのが、耐えられなかった為、
口止めとしてお渡ししたものです。
その意味がわかったのは、持っていったメイドと、そこに居るルーク様、
そして今日のお茶会に出席した方々だけだったと分かりました。
当事者である王妃様がわからないのであれば、今後一切
あのお菓子は作りません…そうお伝え下さい」
私は王妃様と言えど、容赦なくぶった切ることにした。
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