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第57話
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王城に着くと、離宮とは違う場所に進む馬車に、私はドキドキしていた。
王宮に横付けされ、私達は順番に降りていく。
先に降りたお兄様は、お姉様をエスコートした。
次は私だろうと、思っていたところ
「アクイラス。変わってもらえるか?」
と、マルクス様が姿を表した。
「任せる」
お兄様はそう言って、お姉様のそばにいる。
「ミシェル嬢。お手を…」
そう言って、手を差し出して下さるマルクス様のお顔は、真っ赤だ。
「ありがとうございます」
そう言って手を置くと、ゆっくりと引いて下さる。
ステップを降り、ドレスを治すと、今度は私の手をご自分の腕に置き、私を見た。
「行きましょうか」
ニッコリと、微笑んで下さった。
マルクス様が歩き始めると、少しずらして歩く。
「並んでも、大丈夫ですよ」
そう言われるが、私に合わせて歩いて下さるマルクス様の真横は、ドレスがすれてしまう。
そうなると、私よりはマルクス様のほうが、歩きづらくなってしまうため、一歩後ろを歩いていた。
長い廊下を進み、マルクス様がエスコートして下さるまま、皆様が待つ部屋に通される。
入り口で礼をして入っていくと、目の前に国王様と王妃様の姿が見えた。
「本日は、私の呼びかけに応じて頂き、感謝している」
そう言って下さる国王様に、お父様が
「いいえ。もったいないお言葉でございます。
我が娘、ミシェルを気遣って頂き、感謝いたしております」
と返した。
「オーギュスト公爵にも、色々と心配をかけたようだが、
こうして場を設けることが出来て、よかったと思っておる。
メリテッサ夫人にも、ご心配をおかけした」
「いいえ。心配などしておりません。
エリス様は、話せば判ってくださると信じておりました」
お母様はそう言って、ニッコリと微笑んだ。
本当はそんな事、思ってもいないと言わんばかりに。
「メリテッサ。勝手に信じるのは、やめて」
「エリス王妃様。
ご自分のわがままを通したいのなら、その場所から
降りることをおすすめするわ」
「何を馬鹿なことを…」
「馬鹿なことではないわ。
第1王子殿下も、健やかにお育ちになり、貴女が居ないほうが、
しっかりされるのではなくて?」
「貴女はまだ、そんな事を言うのね」
「当たり前でしょ。
私の大切な娘を、自分のお菓子のためだけに、こっそりと
侍女に迎えようとした方が、何を言ってらっしゃるのかしら?」
「あ、あれは、心の迷いで…」
「迷いで、人の宝を奪おうとなさるのね。王妃様は」
お母様の雰囲気が、怖い。
王妃様にお灸を据え、二度とあのような事を言わないようにしてくださっているのでしょうが、この雰囲気はひっじょうに怖い。
私はこの雰囲気を止めるため、マルクス様の腕をトントンと小突き、ポソポソっと話しかけた。
「ほんとにするのか?」
「このままずっと、立ってていいの?」
「…嫌だ」
「では、始めましょう」
「…分かった」
王宮に横付けされ、私達は順番に降りていく。
先に降りたお兄様は、お姉様をエスコートした。
次は私だろうと、思っていたところ
「アクイラス。変わってもらえるか?」
と、マルクス様が姿を表した。
「任せる」
お兄様はそう言って、お姉様のそばにいる。
「ミシェル嬢。お手を…」
そう言って、手を差し出して下さるマルクス様のお顔は、真っ赤だ。
「ありがとうございます」
そう言って手を置くと、ゆっくりと引いて下さる。
ステップを降り、ドレスを治すと、今度は私の手をご自分の腕に置き、私を見た。
「行きましょうか」
ニッコリと、微笑んで下さった。
マルクス様が歩き始めると、少しずらして歩く。
「並んでも、大丈夫ですよ」
そう言われるが、私に合わせて歩いて下さるマルクス様の真横は、ドレスがすれてしまう。
そうなると、私よりはマルクス様のほうが、歩きづらくなってしまうため、一歩後ろを歩いていた。
長い廊下を進み、マルクス様がエスコートして下さるまま、皆様が待つ部屋に通される。
入り口で礼をして入っていくと、目の前に国王様と王妃様の姿が見えた。
「本日は、私の呼びかけに応じて頂き、感謝している」
そう言って下さる国王様に、お父様が
「いいえ。もったいないお言葉でございます。
我が娘、ミシェルを気遣って頂き、感謝いたしております」
と返した。
「オーギュスト公爵にも、色々と心配をかけたようだが、
こうして場を設けることが出来て、よかったと思っておる。
メリテッサ夫人にも、ご心配をおかけした」
「いいえ。心配などしておりません。
エリス様は、話せば判ってくださると信じておりました」
お母様はそう言って、ニッコリと微笑んだ。
本当はそんな事、思ってもいないと言わんばかりに。
「メリテッサ。勝手に信じるのは、やめて」
「エリス王妃様。
ご自分のわがままを通したいのなら、その場所から
降りることをおすすめするわ」
「何を馬鹿なことを…」
「馬鹿なことではないわ。
第1王子殿下も、健やかにお育ちになり、貴女が居ないほうが、
しっかりされるのではなくて?」
「貴女はまだ、そんな事を言うのね」
「当たり前でしょ。
私の大切な娘を、自分のお菓子のためだけに、こっそりと
侍女に迎えようとした方が、何を言ってらっしゃるのかしら?」
「あ、あれは、心の迷いで…」
「迷いで、人の宝を奪おうとなさるのね。王妃様は」
お母様の雰囲気が、怖い。
王妃様にお灸を据え、二度とあのような事を言わないようにしてくださっているのでしょうが、この雰囲気はひっじょうに怖い。
私はこの雰囲気を止めるため、マルクス様の腕をトントンと小突き、ポソポソっと話しかけた。
「ほんとにするのか?」
「このままずっと、立ってていいの?」
「…嫌だ」
「では、始めましょう」
「…分かった」
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