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第68話
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そのまま抱きしめられていると、ゆっくりと私の背中を撫で始めたマルクス様の手の動きに、ゾワゾワとしたものを感じ、少しだけ体をよじる。
するとマルクス様が、顔を耳に寄せ小さな声で
「どうしたの?」
と優しい声で聞いてきた。
その声に、私はまたゾワゾワし
「耳に、話しかけないで、ください」
「苦手か?」
そう言うと同時に、ぺろんと耳を滑られた。
「ヒャアぁぁぁ~」
私は耳をふさぎ、うずくまると、フフフッ…と笑われた。
「マ、マルクス様。からかわないでください」
「からかってなどいない。これが俺の本心だ」
「本、心…」
「俺は、ミシェルを大切に思う。
絶対に、なくしたくない人だと思っている。
俺は、側室の子だから良く言われるんだ…側妃を持てばいいと。
でも、俺は持ちたくない。
前世の記憶があるからなのかはわからないが、配偶者は1人でいい。
そして、その相手はミシェルが良いんだ」
「えっ!?」
「だから、この度の縁談、俺は即座に断る。
王女に興味自体持てないし、大切な人は一人でいいからな…
ミシェル?」
「ふっ…うぅっ…」
私は、話の途中から我慢することが出来ないくらい、涙が溢れた。
私の前世は最悪だ。
生まれた時から家族に相手にされず、乳母達が居たから育ちはしたが、ある程度大きくなったら、全て一人でやってきた。
姉の押し付けやわがままに耐えながら、一生懸命生きていたというのに…
私は前世の15年の間で、次の15年も侵食してしまうほどの、ストレスを感じて生活していたということを、マルクス様の言葉で実感した。
だから私は、今の両親と兄妹の優しさをまっすぐに受け止めることが出来ず、何度も聞いた。
そして今回、マルクス様の気持ちを疑ってしまった。
それが悲しくて、悔しくて…
そうして私が泣き、それを傍で支えてくれるマルクス様を、少し離れた場所から家族が見ていたことなど気付くはずもなく、私は気の済むまでそこで泣き腫らしたのだった。
しばらくして、ようやく泣き止んだ頃には、私は疲れ切ってしまい、マルクス様の膝枕で眠ってしまっていた。
目を覚ますと、私の頭の下にあるものが何かわからず、手でモニモニとした。
「くすぐったいよ、ミシェル嬢」
その声にビクッとして顔を上に向けると、右手に本を持ったマルクス様が、私を見下ろしていた。
「えっ!?」
私は頭がついていかず、そのままの状態で混乱する。
「ミシェル嬢は、泣き疲れて眠ってしまってね。
そのままここで、起きるのを待ってたんだ」
「眠った?えっ、あ、あの…わた、私は、何ということを…」
そう言いながら体を起こそうとするが、手に力が入らずぽすんと、足の上に落ちてしまった。
「す、すみません」
急いで誤り起きようとすると、本を置き、体を支えてくださった。
「大丈夫?」
そう言って、顔を覗き込んでこられるマルクス様の顔が見れず、両手で顔を隠すとくすくす笑う声が聞こえた後
「冷たいタオルをお願い」
と言う声が聞こえた。
えっ!?メイドさんもいるの?
と思い、指の隙間から覗くと、バタバタと動く数人のメイドさんが見えた。
するとマルクス様が、顔を耳に寄せ小さな声で
「どうしたの?」
と優しい声で聞いてきた。
その声に、私はまたゾワゾワし
「耳に、話しかけないで、ください」
「苦手か?」
そう言うと同時に、ぺろんと耳を滑られた。
「ヒャアぁぁぁ~」
私は耳をふさぎ、うずくまると、フフフッ…と笑われた。
「マ、マルクス様。からかわないでください」
「からかってなどいない。これが俺の本心だ」
「本、心…」
「俺は、ミシェルを大切に思う。
絶対に、なくしたくない人だと思っている。
俺は、側室の子だから良く言われるんだ…側妃を持てばいいと。
でも、俺は持ちたくない。
前世の記憶があるからなのかはわからないが、配偶者は1人でいい。
そして、その相手はミシェルが良いんだ」
「えっ!?」
「だから、この度の縁談、俺は即座に断る。
王女に興味自体持てないし、大切な人は一人でいいからな…
ミシェル?」
「ふっ…うぅっ…」
私は、話の途中から我慢することが出来ないくらい、涙が溢れた。
私の前世は最悪だ。
生まれた時から家族に相手にされず、乳母達が居たから育ちはしたが、ある程度大きくなったら、全て一人でやってきた。
姉の押し付けやわがままに耐えながら、一生懸命生きていたというのに…
私は前世の15年の間で、次の15年も侵食してしまうほどの、ストレスを感じて生活していたということを、マルクス様の言葉で実感した。
だから私は、今の両親と兄妹の優しさをまっすぐに受け止めることが出来ず、何度も聞いた。
そして今回、マルクス様の気持ちを疑ってしまった。
それが悲しくて、悔しくて…
そうして私が泣き、それを傍で支えてくれるマルクス様を、少し離れた場所から家族が見ていたことなど気付くはずもなく、私は気の済むまでそこで泣き腫らしたのだった。
しばらくして、ようやく泣き止んだ頃には、私は疲れ切ってしまい、マルクス様の膝枕で眠ってしまっていた。
目を覚ますと、私の頭の下にあるものが何かわからず、手でモニモニとした。
「くすぐったいよ、ミシェル嬢」
その声にビクッとして顔を上に向けると、右手に本を持ったマルクス様が、私を見下ろしていた。
「えっ!?」
私は頭がついていかず、そのままの状態で混乱する。
「ミシェル嬢は、泣き疲れて眠ってしまってね。
そのままここで、起きるのを待ってたんだ」
「眠った?えっ、あ、あの…わた、私は、何ということを…」
そう言いながら体を起こそうとするが、手に力が入らずぽすんと、足の上に落ちてしまった。
「す、すみません」
急いで誤り起きようとすると、本を置き、体を支えてくださった。
「大丈夫?」
そう言って、顔を覗き込んでこられるマルクス様の顔が見れず、両手で顔を隠すとくすくす笑う声が聞こえた後
「冷たいタオルをお願い」
と言う声が聞こえた。
えっ!?メイドさんもいるの?
と思い、指の隙間から覗くと、バタバタと動く数人のメイドさんが見えた。
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