83 / 173
第90話
しおりを挟む
「マルクス様、怖い。体…ふる、えて…たす」
私は、最後まで声にできなかった。
けれど、それをすべて聞く前に、マルクス様は私の横に座り直し、私をぎゅっと抱きしめてくださった。
「大丈夫。落ち着くまで此処に居るから、安心して」
そう言って、背中を擦ってくださる。
この部屋は、私が連れ去られた場所。
しかし、ここを使わないとなるとまた、皆さんにご迷惑をかけてしまう。
だから帰ってきたのだが、一人になるのは、体が拒否しそうだ。
ゆっくりと擦ってくださるマルクス様の手が、あまりにも優しかったので、スゥッと体の力が抜ける。
「おっ、おい。大丈夫か?」
力が抜けて前のめりになると、私はマルクス様の服をきゅっと握った。
そして握ったまま、眠ってしまったようだ…
朝になって、私はベットの中で目を覚ます。
右手は何かを掴んでいるので、何故かな?と思った。
そして、ゆっくりと目を開けると……
眼の前に、マルクス様の寝顔があった。
ヒヤッ…
声を上げる瞬間、開いている手で口をふさぎ、叫ぶのは回避できた。
しかし、眼の前に麗しいお顔が…
しかし、スースーと寝息が聞こえると、私もまた眠くなってくる。
ウトウト…ウトウト…と、していると、くすくすっ…と、寝息が笑いに変わった。
「マ、マルクス様?起きてらっしゃいます?」
わたしの声に反応し、ゆっくりと目を開けるマルクス様。
あぁ…寝起きでも変わらず、きれいな顔をしておられる。
その、気だるげな動きも、他の女性が見るとイチコロでしょう。
「おはよう、ミシェル」
「お、おはようございます。マルクス様。
ひ、一つ質問していいでしょうか?」
「いいよ」
「あの…私達は何故、同じベットにいるのでしょうか?」
「それはね…」
マルクス様はそう言うと、上にかけてある布団をめくり、そこを見ろと指を指す。
指を刺された方を見ると…
私の手が、ガッチリとマルクス様の服を、握っていた。
「うわぁ~…ご、ごめんなさい」
そう言って手を離そうとすると、その上から大きな手が重なった。
「もう少し、握ってていいよ」
「いいえ。それでは、マルクス様が…」
「俺は嬉しいからね。
ミシェルの寝顔も見れたし、寝てる時にスリスリしてくれた時は、
どうしようかと思ったけど、何とかなったし…」
「えっ、えぇっ!?私そんな事を?」
「可愛かったよ」
「いいえ。そう言うことでは…」
そんな話をベットの中でしていると
「おはようございます、ミシェル様。お加減はいかがですか?」
と、侍女のルーザが入ってきた。
私は、最後まで声にできなかった。
けれど、それをすべて聞く前に、マルクス様は私の横に座り直し、私をぎゅっと抱きしめてくださった。
「大丈夫。落ち着くまで此処に居るから、安心して」
そう言って、背中を擦ってくださる。
この部屋は、私が連れ去られた場所。
しかし、ここを使わないとなるとまた、皆さんにご迷惑をかけてしまう。
だから帰ってきたのだが、一人になるのは、体が拒否しそうだ。
ゆっくりと擦ってくださるマルクス様の手が、あまりにも優しかったので、スゥッと体の力が抜ける。
「おっ、おい。大丈夫か?」
力が抜けて前のめりになると、私はマルクス様の服をきゅっと握った。
そして握ったまま、眠ってしまったようだ…
朝になって、私はベットの中で目を覚ます。
右手は何かを掴んでいるので、何故かな?と思った。
そして、ゆっくりと目を開けると……
眼の前に、マルクス様の寝顔があった。
ヒヤッ…
声を上げる瞬間、開いている手で口をふさぎ、叫ぶのは回避できた。
しかし、眼の前に麗しいお顔が…
しかし、スースーと寝息が聞こえると、私もまた眠くなってくる。
ウトウト…ウトウト…と、していると、くすくすっ…と、寝息が笑いに変わった。
「マ、マルクス様?起きてらっしゃいます?」
わたしの声に反応し、ゆっくりと目を開けるマルクス様。
あぁ…寝起きでも変わらず、きれいな顔をしておられる。
その、気だるげな動きも、他の女性が見るとイチコロでしょう。
「おはよう、ミシェル」
「お、おはようございます。マルクス様。
ひ、一つ質問していいでしょうか?」
「いいよ」
「あの…私達は何故、同じベットにいるのでしょうか?」
「それはね…」
マルクス様はそう言うと、上にかけてある布団をめくり、そこを見ろと指を指す。
指を刺された方を見ると…
私の手が、ガッチリとマルクス様の服を、握っていた。
「うわぁ~…ご、ごめんなさい」
そう言って手を離そうとすると、その上から大きな手が重なった。
「もう少し、握ってていいよ」
「いいえ。それでは、マルクス様が…」
「俺は嬉しいからね。
ミシェルの寝顔も見れたし、寝てる時にスリスリしてくれた時は、
どうしようかと思ったけど、何とかなったし…」
「えっ、えぇっ!?私そんな事を?」
「可愛かったよ」
「いいえ。そう言うことでは…」
そんな話をベットの中でしていると
「おはようございます、ミシェル様。お加減はいかがですか?」
と、侍女のルーザが入ってきた。
29
あなたにおすすめの小説
置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを
青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ
学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。
お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。
お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。
レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。
でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。
お相手は隣国の王女アレキサンドラ。
アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。
バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。
バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。
せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました
前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします
柚木ゆず
恋愛
※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。
我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。
けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。
「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」
そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。
美男美女の同僚のおまけとして異世界召喚された私、ゴミ無能扱いされ王城から叩き出されるも、才能を見出してくれた隣国の王子様とスローライフ
さら
恋愛
会社では地味で目立たない、ただの事務員だった私。
ある日突然、美男美女の同僚二人のおまけとして、異世界に召喚されてしまった。
けれど、測定された“能力値”は最低。
「無能」「お荷物」「役立たず」と王たちに笑われ、王城を追い出されて――私は一人、行くあてもなく途方に暮れていた。
そんな私を拾ってくれたのは、隣国の第二王子・レオン。
優しく、誠実で、誰よりも人の心を見てくれる人だった。
彼に導かれ、私は“癒しの力”を持つことを知る。
人の心を穏やかにし、傷を癒す――それは“無能”と呼ばれた私だけが持っていた奇跡だった。
やがて、王子と共に過ごす穏やかな日々の中で芽生える、恋の予感。
不器用だけど優しい彼の言葉に、心が少しずつ満たされていく。
悪役令嬢発溺愛幼女着
みおな
ファンタジー
「違います!わたくしは、フローラさんをいじめてなどいません!」
わたくしの声がホールに響いたけれど、誰もわたくしに手を差し伸べて下さることはなかった。
響いたのは、婚約者である王太子殿下の冷たい声。
わたくしに差し伸べられたのは、騎士団長のご子息がわたくしを強く床に押し付ける腕。
冷ややかな周囲のご令嬢ご令息の冷笑。
どうして。
誰もわたくしを信じてくれないまま、わたくしは冷たい牢の中で命を落とした。
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
巻き込まれ召喚のモブの私だけが還れなかった件について
みん
恋愛
【モブ】シリーズ①(本編)
異世界を救うために聖女として、3人の女性が召喚された。しかし、召喚された先に4人の女性が顕れた。そう、私はその召喚に巻き込まれたのだ。巻き込まれなので、特に何かを持っていると言う事は無く…と思っていたが、この世界ではレアな魔法使いらしい。でも、日本に還りたいから秘密にしておく。ただただ、目立ちたくないのでひっそりと過ごす事を心掛けていた。
それなのに、周りはおまけのくせにと悪意を向けてくる。それでも、聖女3人のお姉さん達が私を可愛がって守ってくれるお陰でやり過ごす事ができました。
そして、3年後、聖女の仕事が終わり、皆で日本に還れる事に。いざ、魔法陣展開で日本へ!となったところで…!?
R4.6.5
なろうでの投稿を始めました。
乙女ゲームの正しい進め方
みおな
恋愛
乙女ゲームの世界に転生しました。
目の前には、ヒロインや攻略対象たちがいます。
私はこの乙女ゲームが大好きでした。
心優しいヒロイン。そのヒロインが出会う王子様たち攻略対象。
だから、彼らが今流行りのザマァされるラノベ展開にならないように、キッチリと指導してあげるつもりです。
彼らには幸せになってもらいたいですから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる