貴方は・・・いらない

戒月冷音

文字の大きさ
18 / 58

第18話

しおりを挟む
ルイーザ様が学園に来たその日、男爵と一緒に居るところを見た数時間後、私は図書室の窓から、温室前のやり取りを見ていた。
ルイーザ様とルクシオ殿下が、中庭を歩いているところが見え、構内説明だと自分を落ち着かせた。
ところがその間も、ルイーザ様がルクシオ殿下の腕にくっついて歩いているのを見て、私は目をそらそうとした。

その時・・・あれは、風紀の方々だと思う。

ルイーザ様に、注意しようと校舎から出てこられた。
次の瞬間、ルクシオ様はルイーザ様を、抱き抱えられた。
聞こえないように、頭を抱え込まれるように・・・そして何かを言われた後、温室に入っていかれたのだ。

注意されたのなら、頭を下げて謝れば良い。
自分のしていることが、風紀にとって良くないと判断されたと、理解すれば良い。
なのにどうして、殿下が聞こえないように、抱え込まなければならないのか。
どうして逃げるように、温室の中に入らなければならないのか・・・
私には、理解が出来なかった。
そして、温室に入った時点で、あの中では2人だけの時を過ごすことになる。

何が起きていても、誰にも分からない・・・

そう考えただけで、気持ち悪い。
あの、ルイーザ様の温室に入る時の顔を、思い出しただけでも寒気がする。
獲物をとらえたと言う・・・にやりとした笑い。

綺羅の横に立っていた夕霧と同じ表情だった・・・

だからもう二度と、ルクシオ殿下には触れたくない。
エスコートだって嫌。
向かい合って話すことも、したくないほど、気持ち悪い存在になっていた。


それから数日後、私は学園に通いつつ、ルクシオ殿下の訪問の時は、合うのを避けた。
避けたと言うか、来られた時には必ず、ルイーザ様があの人の名前を呼ぶ声が聞こえ、その瞬間、その場から離れた。
そして、私のいつもの場所が人目を避け、とても静かな図書室の本棚の、一番奥の座席になってきた頃、ルクシオ殿下ではなく、アウグスト殿下が、ようやく私を見つけた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

「妹の方が可愛い」と不倫夫に捨てられた私。どうぞ借金まみれの実家ごと引き取って。私が肩代わりしていた負債、すべてお二人に引き継いでおきました

唯崎りいち
恋愛
「お前より妹の方が可愛い」 不倫した夫は私を追い出し、略奪した妹と笑った。 どうぞ、その「可愛い妹」と地獄までお幸せに。 私が肩代わりしていた実家と店の多額の借金、すべてお二人に引き継いでおきましたから。 「財布」を失った元夫と、逃げ場を失った妹。 身の丈に合わない贅沢を望んだ寄生虫たちの、惨めな末路を特等席で眺めさせていただきます。

前世で私を捨てた皇太子が、今世ではなぜか執着してきます。でも私は静王妃なので『皇叔母様』と呼ばせます

由香
恋愛
沈薬は前世、皇太子の妃だった。 だが彼の寵愛は側室へ移り、沈薬は罪もなく冷宮へ送られ――孤独の中で死んだ。 そして目を覚ますと、賜婚宴の日に戻っていた。 二度目の人生。 沈薬は迷わず皇太子ではなく、皇帝の弟である静王を選ぶ。 ただしその夫は、戦で重傷を負い昏睡中だった。 「今世は静かに生きられればそれでいい」 そう思っていたのに―― 奇跡的に目覚めた静王は、沈薬を誰よりも大切にしてくれた。 さらにある日。 皇太子が前世の記憶を思い出してしまう。 「沈薬は俺の妃だった」 だが沈薬は微笑んで言う。 「殿下、私は静王妃です」 今の関係は―― 皇叔母様。 前世で捨てた女を取り戻そうとする皇太子。 それを静かに守る静王。 宮廷を揺るがす執着と溺愛の物語。

薫る袖の追憶を捨て、月光の君に溺愛される

あとりえむ
恋愛
名門の姫君・茜は、夫の高彬に蔑まれ、寂れた離れで孤独な死を迎えた…… けれど意識が途切れた瞬間、視界を埋め尽くしたのは命を削って輝く緋色の夕映え。 目が覚めると、そこは高彬との婚約が決まったばかりの十五歳の春に戻っていた。 「二度目の人生では、誰のことも愛さず、ただあの方の幸せだけを願おう」 茜は、かつて自身の孤独を救ってくれた「最推し」の東宮・暁を、未来の知識で密かに支えることを決意する。 執着を捨て、元夫に無関心を貫く茜。 一方、高彬は自分に興味を失った茜の価値に気づき、今更遅い後悔に狂い始めるが……。 「見つけた。お前は俺の、運命の番だ」 正体を隠して東宮を支えていたはずが、冷徹な暁に見出され、逃げ場のないほどの執着と溺愛を注がれることに。 平安の雅な風情の中で描かれる、逆転と救済の物語。 最後は、二人が永遠の契りを交わす和歌で幕を閉じます。

鈍感令嬢は分からない

yukiya
恋愛
 彼が好きな人と結婚したいようだから、私から別れを切り出したのに…どうしてこうなったんだっけ?

不倫をしている私ですが、妻を愛しています。

ふまさ
恋愛
「──それをあなたが言うの?」

幸せになれると思っていた

里見知美
恋愛
18歳になったら結婚しよう、と約束をしていたのに。 ある事故から目を覚ますと、誰もが私をいないものとして扱った。

「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します

スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」 眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。 隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。 エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。 しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。 彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。 「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」 裏切りへのカウントダウンが今、始まる。 スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!

とある公爵の奥方になって、ざまぁする件

ぴぴみ
恋愛
転生してざまぁする。 後日談もあり。

処理中です...