貴方は・・・いらない

戒月冷音

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第19話

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「前の席、良いですか?」
そう聞かれて顔を上げると、ルクシオ殿下より少し幼い顔が、私を覗き込んでいた。

「・・・どうぞ」
「どうして、このような場所に、いらっしゃるのですか?」
「アウグスト殿下、私達は同級生です。普通に話されないのですか?」
「エレノア様は、ルクシオ兄上の婚約者です。その様なことは出来ません」
「そうですか・・・では、お話しすることは、ございません」
私はそう言うと目線を本に戻し、内容をノートに写していく。

前の席に座ったアウグスト様は、少しの間じっと私を見ていたが、小さなため息をつくと、自分の持ってきていた本をそこで読み始めた。
カリカリとノートに書く音と、時々ページを捲る音しか聞こえないその空間は、私にとってほっとするものだった。


そろそろ昼休憩が終わる頃になって顔を上げると、前の席で本を読んでいたアウグスト殿下が、寝息をたてていた。
「アウグスト殿下。アウグスト殿下」
「ん゛?」
「そろそろ、休憩が終わりますが・・・」
「えっ!?俺そんなに寝てたか?」
アウグスト殿下はそう言うと、足の上で広げたままの本に、栞を挟んで立ち上がる。

「エレノア様」
「は、はい」
「少し話したいことがあったんだが、今は無理なんで・・・
 あんたは休憩の時、いつもここにいるか?」
「はい、おりますが・・・出来れば、他の方には内緒にしていただければ・・・」
「他には話さない。俺も気に入ったからな」
「用事がなければ、ここにいます・・・」
「じゃあまた、今度にする」
それを言うとアウグスト殿下は、そのまま図書室を出ていった。
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