貴方は・・・いらない

戒月冷音

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第20話

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それから数日の間、休憩時間にその場所で会うことが増えたアウグスト殿下だったが、あの時に話すと言っていたことには触れず、あの時と同じように本を読んで帰っていく日々が続いた。

あの時に、話したいことがある・・・
そう言っておられた気がするのだけれど、あれから何もないわ。
そんなことを考えながら、目の前に座るアウグスト殿下を見る。
「どうかしたのか?」
「・・・いいえ。何も」
そう答えた私は、読んでいた書籍に視線を戻す。
すると
「エレノア様は、兄上の事どうするんだ?」
突然、話し始めた。
「どうする・・・とは?」
「このまま、逃げんの?」
「逃げてる訳では・・・」
「じゃあどうすんの?兄貴も・・・兄上も、どうして良いか迷ってる」
「迷って?何に迷ってるの?」
「それは・・・」

「ルイーザ様か、私か?」
「はぁ?そんなことは、悩んでねぇ」
「じゃあ、何を?」
私は、ページを一枚めくる。
「兄上が、自分が何をして、こうなったかが、分からないみたいで、ずっと悩んでて・・・
 そこを父上が、脅したから・・・」
「脅した?陛下はなんと、言われたのですか?」
「エレノア様に来ていただけなければ、新しく公爵家を興すか?・・・と」

陛下・・・どうしてそんな、余計なことを。

「来ていただけないとは、どう言うことでしょうか?」
私は・・・私自身、にっこりと微笑んで言ったつもりだった。
しかし、目の前のアウグスト殿下と、彼について来ていた従者が、息を飲んだのが分かった。
「どうか・・・されましたか?」
「い、いや。大丈夫だ。
 ルクシア兄上の元に良く来ていたエレノア様が、ぱったりと来なくなったことで、
 父上が、エレノア様に飽きられたのではと判断してな」
そう言われたと同時に私は、小さな声で
「飽きたのは、ルクシオ様の方ですわ」
と答えた。
「なん?なにか言ったか?」
「いいえ。何でもありませんわ」
「そうか」
その後、アウグスト殿下の話を詳しく聞いた私は、一度国王陛下にお話しに行こうと、思ったのだった。
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