貴方は・・・いらない

戒月冷音

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第40話

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「本当に、空気を読まない家だ」
キエラ妃の呟きに、エシルトカ公爵の顔が歪む。
「お前は、まだ・・・」
「あの父に何も言えなかった人が、なんで陛下に、そんなこと言ってるのかしら?」
「父上は謝罪していたと、言っているだろ」
「今聞いても、虫酸が走るわ。これは王家の問題。公爵が出る幕ではないわ」
「だが、エレノア様には、息子を持つ家全てが、関心を持っている。
 そんな状態で、婚約者がいない状態を作るのは、危ないと・・・」
「危ないのではなく、自分の息子をあてがおうとしているのでしょ」
「それが出来るのならば、我が家へ迎え入れる。
 だが、それより優先すべき事があるだろ」

「それは?」
「王太子妃教育まで終えておられるのは、エレノア様だけだ」
「そうよ。エレノア様は、ルクシアのために頑張っていたから・・・」
キエラ様の言葉に、ルクシア殿下がぐっ・・・とうなる。
「今さら貴方が悔しがっても、遅いわよ」
エライザ様の一言で、泣きそうな目になったルクシア様。
「貴方が言ったのでしょ。
 王妃にしてやるから、第2妃を受け入れろと。
 それだけ愛している人が居るのですから、貴方の妻はもう決まっているのよ」
「ですがっ!まだ、彼女には・・・」
「言っていないから、良いと?」
凄むキエラ妃に、黙るルクシア様。

「貴方がルイーザと言う女性を選んだから、エレノア様は、貴方の婚約者を降りたの。
 ただ、貴方の進退が、エレノア様がいないと、王位は譲れないと言う
 条件だから、継承権もなくなる」
エライザ様の話に、ルクシア様は反論する。
「どうしてっ!どうしてエレノアがいないと、俺は継げないのですか?」
「それは・・・貴方、ではなく、私のせい」
「えっ・・・」
「私が、伯爵の出だったから、貴方の継承に影響が出てしまった・・・」
「母上・・・」
「ごめんなさい。私が、伯爵の出だったから、貴方に影響が出てしまったの。
 ほんとうにごめんなさい」
エレノア様は、目に涙をためて、ルクシア様に頭を下げる。

「違うわ、エライザ。貴方はしっかりと準備をした。
 グノーシア公爵に、頭を下げてまで頼んだものを、ルクシアが壊したの。
 悪いのはルクシア。貴方じゃない」
ルクシア殿下はそれを聞いて、反論の勢いを失くす。

殿下はただ、自分の力がないから、努力しないから継承から外れた思っていたのだろう。
でも、そうじゃなかった。
大切に思っていたお母様を、泣かせることにはならないと思っていた。
けれど、結果・・・目の前で泣き崩れる母親を、見るは目になってる。

「は、母上の、せいでは・・・ありません。
 お、俺が・・・一人を、好きでいられなかっただけです」

ルクシア殿下の答えは、私の心に響いた。

1人を、好きでいられなかった・・・

それは、私にも言える。
私は、ルクシア殿下が、好きと言うわけではなかった。
ただ、子供の時に父から言われた、エライザ妃の要望で結ばれた婚約を、叶える・・・
それをすることが、私のやることだった。
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