貴方は・・・いらない

戒月冷音

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第44話

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雪花の思いが綺羅を求め、エレノアの気持ちが、ルクシア殿下と距離を取る。
そうしていた私の前に、綺羅にそっくりなルクシア殿下がいる・・・

「グノーシア公爵令嬢?」
アウグスト殿下の声で、私は引き戻される。
「・・・は、はい。何でしょう?」
「大丈夫・・・ですか?」
「?何が・・・ですか?」
そう返した私を、3人の王子が見る。
「アウグスト?」
「いや・・・何か、変な感じがしたから、声をかけたんですが・・・」
「変な感じ?」
「心・・・ここに有らず?」
アウグスト様の言った言葉に、私はその通りだと思った。

さっきまで、私・・・エレノアの心は、雪花によって無視された。
雪花はまだ、綺羅の事が好きなようだが、私はそうではない。
だから今も、私の中では戦いが起こっているようなものだ。
けれど、この世界で生活しているのははエレノア。雪花ではない。
目の前の男も、綺羅に似ているがルクシアだ。
それが分かっている状態で、雪花が出てくると、エレノアの心がここに居なくなる。
それに、アウグスト様は気が付いたということだ。

「申し訳ございません」
「いや。謝る必要はない。メイビス兄上が、無理矢理連れてきたんだから」
「それは酷いぞアウグスト。おれは気を使ってだなぁ」
「メイビスは、いつも強引だ」
「その通り」
兄弟のやり取りに、私はクスクスと笑う。

「ほらぁ、グノーシア公爵令嬢に笑われたじゃないか」
「メイビス兄上の、責任ですね」
「そうだ。エレノアを連れてきたのは、メイビスだからな」
そんなやり取りを続けるお三方に、私は降参し
「皆様、お好きにお話しください。
 メイビス殿下とアウグスト殿下も、私の事はエレノアと・・・」
「そう呼んで、良いの?」
「はい。メイビス殿下」
「じゃあ、俺の事は呼び捨てで」
「それは無理でございます。では、メイビス様と・・・」
「うん。ありがとう」
「俺の事も・・・」
「はい。アウグスト様」
そうお呼びすると少しだけ口角が上がった。

「アウグスト。嬉しそうだね」
「ち、ちがっ」
そう言って顔を隠すアウグスト様が、少し可愛かった。
そんなお二人を見ていると、正面からじっと見られていることに気付く。
婚約者の時でも、ここまで見られたことはない。
「どうかされましたか?」
私は見られることが気持ち悪くなり、真っ直ぐ前を見て、そう・・・聞いた。
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