5 / 20
第一章 私と俺
第5話
俺はすぐ、執事長に指示を出し彼女を探し始める。
「おい、お前」
「お前じゃなくて、ユーリ。
俺の名前アンタが言ってたんだろユーリウスって。だからユーリ」
「あ、あぁ…そうだったな。ユーリ。
何でも良い。彼女の…サンドラの事で知っていることを教えてくれ。
それを頼りに探すしかない」
「分かった」
ユーリは知っていることを話し始めた。
覚えていることは少ないだろうと思っていた俺は、その記憶の量に驚いた。
「ユーリは、何歳頃からの記憶があるんだ?」
「ん~?2歳…かな?
その頃は母が話してくれたことを聞いてるだけだから、俺的にはなにもないけど、
やったことは覚えてる」
「サンドラと、何をしたんだ?」
「何をした…というか、ずっと母にぶら下がってた」
「抱っこされてたって、ことか?」
「多分?お尻のとこを支えてくれる用に作ってある紐で、俺を自分にくっつけて
母は仕事してた」
「支えてくれる、紐?」
「もしかして、抱っこ紐のことでしょうか?こうして…」
身振り手振りで説明する執事長を見て
「早々、そんな感じの紐」
とユーリが答える。
「旦那様。抱っこ紐は使う地域が限られます。その地域に向かってみてもよろしいかと…」
「分かった。すぐ手配を」
すぐに動き出した執事長が扉を開けると、そこには少し前までここで働いていた使用人達が居た。
「何のようですか?忙しいのですが」
執事長が声を掛けると、先頭に居た元家令が
「俺達にも手伝わせてください。奥様を探します」
と言った。
だが、
「サンドラが、お前達の顔を見て喜ぶとでも思っているのか?」
思いの外、ひっくい声が出た。
俺は本気で怒っているようだ…
「で、ですが、私達のせいで居なくなった上にあんなものまで見てしまったら、
探すほうが先だと全員で決めました。
どうかお願いします。奥様を探させてください」
「どうしますか?御主人様」
「…分かった。コイツラも使って良い。
ただし、仕事着は全て着替えさせろ。この家の印がある服は、見たくないだろう」
「畏まりました。では」
そう言って執事長は、部屋を出る。
「さあさあ皆さん。まずは着替えてきてください。
それから、玄関ホールに集合してください。
旅支度も忘れずに。
それと、着替えた仕事服は回収しますので、寝台の上に揃えて置いておいてください。
持っていけば窃盗になりますよ。では玄関でお待ちします」
そう声を張り上げると、一斉に使用人達が動き出したのか、バタバタと足音が響き瞬時に消えていった。
その後、執事長の足音がゆっくりと部屋の前から離れていった。
「やっぱり、アンドレを連れてきて正解だったな」
「アンドレ?」
「執事長。父親の侍従をしていた頃からしってて、家の生き字引みたいなもんだ」
「あの人と、仕事してたのか?」
「あぁ。領地の仕事が山積みでな。
もともと父上がやっていたのだが、体を壊して寝込んでからは俺がやってる」
「父上の父上ってことは、お祖父様だ」
「そうだな。まだピンピンしてるぞ。体は動かないけど」
「病気?」
「解りやすく言うと、血管が詰まったんだ。それで半身不随」
「ふ~ん。お祖母様は?」
「数十年前に亡くなった。早かったからな」
そこで俺は、思い出した。
母上が亡くなった後、父上が言っていた事を…
「本当に俺は馬鹿だ。
彼女がこんなにも俺のことを思っていたとは、全く知らなかった。
しかし、今更気づいても遅いんだ。もう、何もしてやれない。
愛しているとも、言ってやれない。
お前は、こんな事になるなよ…」
「おい、お前」
「お前じゃなくて、ユーリ。
俺の名前アンタが言ってたんだろユーリウスって。だからユーリ」
「あ、あぁ…そうだったな。ユーリ。
何でも良い。彼女の…サンドラの事で知っていることを教えてくれ。
それを頼りに探すしかない」
「分かった」
ユーリは知っていることを話し始めた。
覚えていることは少ないだろうと思っていた俺は、その記憶の量に驚いた。
「ユーリは、何歳頃からの記憶があるんだ?」
「ん~?2歳…かな?
その頃は母が話してくれたことを聞いてるだけだから、俺的にはなにもないけど、
やったことは覚えてる」
「サンドラと、何をしたんだ?」
「何をした…というか、ずっと母にぶら下がってた」
「抱っこされてたって、ことか?」
「多分?お尻のとこを支えてくれる用に作ってある紐で、俺を自分にくっつけて
母は仕事してた」
「支えてくれる、紐?」
「もしかして、抱っこ紐のことでしょうか?こうして…」
身振り手振りで説明する執事長を見て
「早々、そんな感じの紐」
とユーリが答える。
「旦那様。抱っこ紐は使う地域が限られます。その地域に向かってみてもよろしいかと…」
「分かった。すぐ手配を」
すぐに動き出した執事長が扉を開けると、そこには少し前までここで働いていた使用人達が居た。
「何のようですか?忙しいのですが」
執事長が声を掛けると、先頭に居た元家令が
「俺達にも手伝わせてください。奥様を探します」
と言った。
だが、
「サンドラが、お前達の顔を見て喜ぶとでも思っているのか?」
思いの外、ひっくい声が出た。
俺は本気で怒っているようだ…
「で、ですが、私達のせいで居なくなった上にあんなものまで見てしまったら、
探すほうが先だと全員で決めました。
どうかお願いします。奥様を探させてください」
「どうしますか?御主人様」
「…分かった。コイツラも使って良い。
ただし、仕事着は全て着替えさせろ。この家の印がある服は、見たくないだろう」
「畏まりました。では」
そう言って執事長は、部屋を出る。
「さあさあ皆さん。まずは着替えてきてください。
それから、玄関ホールに集合してください。
旅支度も忘れずに。
それと、着替えた仕事服は回収しますので、寝台の上に揃えて置いておいてください。
持っていけば窃盗になりますよ。では玄関でお待ちします」
そう声を張り上げると、一斉に使用人達が動き出したのか、バタバタと足音が響き瞬時に消えていった。
その後、執事長の足音がゆっくりと部屋の前から離れていった。
「やっぱり、アンドレを連れてきて正解だったな」
「アンドレ?」
「執事長。父親の侍従をしていた頃からしってて、家の生き字引みたいなもんだ」
「あの人と、仕事してたのか?」
「あぁ。領地の仕事が山積みでな。
もともと父上がやっていたのだが、体を壊して寝込んでからは俺がやってる」
「父上の父上ってことは、お祖父様だ」
「そうだな。まだピンピンしてるぞ。体は動かないけど」
「病気?」
「解りやすく言うと、血管が詰まったんだ。それで半身不随」
「ふ~ん。お祖母様は?」
「数十年前に亡くなった。早かったからな」
そこで俺は、思い出した。
母上が亡くなった後、父上が言っていた事を…
「本当に俺は馬鹿だ。
彼女がこんなにも俺のことを思っていたとは、全く知らなかった。
しかし、今更気づいても遅いんだ。もう、何もしてやれない。
愛しているとも、言ってやれない。
お前は、こんな事になるなよ…」
あなたにおすすめの小説
立派な王太子妃~妃の幸せは誰が考えるのか~
矢野りと
恋愛
ある日王太子妃は夫である王太子の不貞の現場を目撃してしまう。愛している夫の裏切りに傷つきながらも、やり直したいと周りに助言を求めるが‥‥。
隠れて不貞を続ける夫を見続けていくうちに壊れていく妻。
周りが気づいた時は何もかも手遅れだった…。
※設定はゆるいです。
貴方でなくても良いのです。
豆狸
恋愛
彼が初めて淹れてくれたお茶を口に含むと、舌を刺すような刺激がありました。古い茶葉でもお使いになったのでしょうか。青い瞳に私を映すアントニオ様を傷つけないように、このことは秘密にしておきましょう。
三年の想いは小瓶の中に
月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。
※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。
夫は私を愛していないらしい
にゃみ3
恋愛
侯爵夫人ヴィオレッタは、夫から愛されていない哀れな女として社交界で有名だった。
若くして侯爵となった夫エリオットは、冷静で寡黙な性格。妻に甘い言葉をかけることも、優しく微笑むこともない。
どれだけ人々に噂されようが、ヴィオレッタは気にすることなく平穏な毎日を送っていた。
「侯爵様から愛されていないヴィオレッタ様が、お可哀想でなりませんの」
そんなある日、一人の貴婦人が声をかけてきて……。
今さらやり直しは出来ません
mock
恋愛
3年付き合った斉藤翔平からプロポーズを受けれるかもと心弾ませた小泉彩だったが、当日仕事でどうしても行けないと断りのメールが入り意気消沈してしまう。
落胆しつつ帰る道中、送り主である彼が見知らぬ女性と歩く姿を目撃し、いてもたってもいられず後を追うと二人はさっきまで自身が待っていたホテルへと入っていく。
そんなある日、夢に出てきた高木健人との再会を果たした彩の運命は少しずつ変わっていき……