人の心の裏表

第22話

レイノルズ様の話を聞き私は驚くしか出来なかった。

彼は誰からも好かれていると言う印象を持っていた。
だからまさか、女性にそのように扱われていると思うはずもなかったし、男性の事も…同性で愛し合う方達が居るのは知ってはいたけど、それに巻き込まれるとは考えてもいなかった。もし知り合いなら無碍に出来ない。大変だったと思う。けど、
「堕ちたなんてそんな…」
「あなたはあの時、自分が嫌な思いをしたにも関わらず俺の事も気に掛けてくれていた」
「そんな、私はあの時ジャネット様の事を貴方にぶつけてしまって、申し訳なく…」
「他の女はそんな事すら気にしません。誰を蹴落とすか考えるほうが先なんです」
「ですが、私では…」
「貴方が欲しいんです。その為なら何でもします。俺は貴方しか要らない」

レイノルズ様は声を絞り出すように言う。
「お願いします。貴方が良いんです。他は要らない。貴方が一緒に居ないのなら俺は1人でいい」
「それは駄目です」
「どうして？」
「家が途絶えてしまいます」
「家は続く。養子を取れば」
「家はそれで良いかもしれませんがラングワースの繋がりは薄くなります」
「君は…そんな事考える必要ないのに」
寂しそうに答えるレイノルズ様はやはり気にしている。

彼はそういう人だ。冷たそうに見せていたのは先ほど聞いた事が関わっているのだろう。
「やっぱり俺は貴方が欲しい」
そう耳元で囁くように言うと、レイノルズ様は私を抱き上げソファーへと連れて行く。
私はまたおかしな悲鳴を上げ、降ろされた時にはぽ～っとしていた。
チュッ…チュッ…
聞こえてくる音にゾクッとする体。
ハッと気が付くと私はソファーに転がり上からレイノルズ様が覆いかぶさる状態。
そして彼は私の首元に顔を埋め、髪の生え際にキスを落としていた。