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第52話
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「くくっ、そういうとこ。本当にきちんとしてるね」
下げていた頭を上げレイノルズ様の顔を見ると優しく微笑みながら私を見ていた。
恥ずかしくなり下を向いた私の手を握り直し、落ち着くまで待ってくれた。
そうこうする内に街に着いた。
馬車を降り、新しい屋敷に必要なものを探して回る。
迷ったときにはレイノルズ様の意見を聞き、候爵に上がったために必要な物も教えてもらい購入した。
「ではこれらを、ここの屋敷に届けてもらえるか?」
必要なものを書いた紙に、新しい屋敷の住所を記入してレイノルズ様が配達を頼む。
「えっと、ここは空き家だったはずでは?」
「これから、彼女の家族が住むことが決定して、今その準備の真っ最中なのだ」
「そうだったのですね。
では、日頃の生活用品や食料などの配達など手配した方が良いでしょうか?」
「えっと、この場所は配達していただけるのですか?」
「はい、役所に届ければ出来るようにはなっているのですが、いかんせん貴族様が少なく知る人も少ないのです。ですので私達が代わりに宣伝を行っている次第です。」
「そうなのですね。では両親に話し、役所に届けることにします」
「有難うございます。あっ、こちらの商品は責任を持って届けさせて頂きます」
「宜しくお願いします」
私が頭を下げると、店主様は慌てる。
「あ、あたまをあげてくださいぃぃぃぃ」
「あっはははっ、まぁ、よろしく頼むよ。俺もそこに居るから何かあれば聞いてくれ」
「は、はい。有難うございます」
店主様は気づいていない。彼は公爵令息。私より気を使う相手なのに、楽しそう。
そうして和気藹々といった雰囲気の中、外に出た。
そのとき
「やっと会えた」
と2件先からドレスの裾をドロドロにしたジャネット様が走ってきた。
下げていた頭を上げレイノルズ様の顔を見ると優しく微笑みながら私を見ていた。
恥ずかしくなり下を向いた私の手を握り直し、落ち着くまで待ってくれた。
そうこうする内に街に着いた。
馬車を降り、新しい屋敷に必要なものを探して回る。
迷ったときにはレイノルズ様の意見を聞き、候爵に上がったために必要な物も教えてもらい購入した。
「ではこれらを、ここの屋敷に届けてもらえるか?」
必要なものを書いた紙に、新しい屋敷の住所を記入してレイノルズ様が配達を頼む。
「えっと、ここは空き家だったはずでは?」
「これから、彼女の家族が住むことが決定して、今その準備の真っ最中なのだ」
「そうだったのですね。
では、日頃の生活用品や食料などの配達など手配した方が良いでしょうか?」
「えっと、この場所は配達していただけるのですか?」
「はい、役所に届ければ出来るようにはなっているのですが、いかんせん貴族様が少なく知る人も少ないのです。ですので私達が代わりに宣伝を行っている次第です。」
「そうなのですね。では両親に話し、役所に届けることにします」
「有難うございます。あっ、こちらの商品は責任を持って届けさせて頂きます」
「宜しくお願いします」
私が頭を下げると、店主様は慌てる。
「あ、あたまをあげてくださいぃぃぃぃ」
「あっはははっ、まぁ、よろしく頼むよ。俺もそこに居るから何かあれば聞いてくれ」
「は、はい。有難うございます」
店主様は気づいていない。彼は公爵令息。私より気を使う相手なのに、楽しそう。
そうして和気藹々といった雰囲気の中、外に出た。
そのとき
「やっと会えた」
と2件先からドレスの裾をドロドロにしたジャネット様が走ってきた。
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