そして、夜明けが訪れた

いといしゅん

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小泉が家に泊まることになっちゃったみたいですよ⁉︎

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その後、喫茶店を出た僕らは、適当に駄弁っていた。
「惺!なんでコーヒー頼まなかったの?」
と少し不機嫌気味に聞いてきた。というか、不機嫌なのが演技に見えて仕方ないのだが?
「気分的に紅茶がいいかな~って」
「ふーん…」
コイツあれだ。コーヒー大好きマンだ。
「つーか、おまえもコーヒーと紅茶でどっちも頼んでたじゃねーか」
「あっ…。バレてたか」
こいつあれだ。紅茶も大好きマンだ。
不機嫌なのは演技だなと確信した。
こんな感じで茶番のようなやり取りをする。
小泉は、なんだかんだ言っても正直話しやすいなと思う。
そこで、僕はふと思い出したことを口にする。
「そういえば、自己紹介のときなんであんなこと聞いてきたの?」
「えっ~と、それはね、私が惺の彼女……になりたいからだよ!」
なぜだろう、『なりたいからだよ』の前に少し間があった気がする。
しかも、その瞬間、一瞬だけ辛そうな顔をしていた。
思考を巡らせながら返事を返す。
「あっ、は~い。わっかりました~」
「今絶対てきとうに返事したでしょ」

-------------

そうして、2人で並んで帰っているとあることをふと思い出す。
「そういや、おまえん家ってどこらへんだ?」
小泉が指をさしたのでその方向を向く。すると、
「あれ僕ん家じゃね?」
「うん」
「だからおまえん家だよ、僕ん家じゃない………ってなんでおまえ僕ん家知ってんの!?」
今日何度目かの驚愕である。
「これからは、惺の家に泊まるから実質あれが私の家、my home」
「なんで急に英語使ったのかが謎すぎるけど、おまえの理論はもっと謎だわ、っていうか家に泊まる気!?」
「そりぁ、ねぇ?」
「おまえ、自分の家に帰れよ」
そう何気無く言葉をこぼすと、
「私、『この世界』には【家ないから】」
なんて凄いことをサラッと言ってきた。
だから僕はこの時不自然な言い回しがあったことに気づかなかった。
「だから、これから毎日、惺の家に泊まるの!」
「拒否権は?」
「あるわけないでしょ!?」
「いや、ふつーはあるよ!?」
「って、ことでよろしくね」
「無視!?」
どうやら、めんどくさいことになってきた。
ぼくは今日、何回目かわからないため息をつくのだった。
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