20 / 32
惺の親父
しおりを挟む
そして時間は過ぎていき、2日目の夜となった。
彼方は今、月見里さんの班の部屋に行っている。
そういえば、家では5、6時頃になると彼方はどこかへ出かけていた。
今まで、その時とかに月見里さんと会ってたのかな。と思考を巡らせていると、
ふと、僕の持っている携帯電話が鳴った。
うちの学校では、スマホを持ってくるのは禁止だが、連絡用として、携帯電話を持ってくるのは許されている。
誰からだろうと思いつつ、画面を見るとそこには、
『親父』
と書かれてあった。
忘れている人が多いと思うが僕の親父は海外で仕事をしているため、滅多に会えない。
家に来るのはもちろん、電話で話すことすらも少ない。
そのため、このように電話がかかってくることは珍しく、何かあったのかと思って急いで電話に出る。
すると、電話越しに親父は開口一番こう言った。
「惺、お前彼女できたってほんとか⁉︎」
--------------
「は?」
思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
いや、なんでそのこと知ってんだ⁉︎
いや、その前になんで付き合ってると誤解されている⁉︎
いや、待て。
前に誰かに、僕と彼方が付き合っている。
という嘘をついた覚えがある。
そして、その嘘をついた相手は………
アイツか…
僕が小さい頃は、まだ親父は日本に住んでおり、幼馴染のアイツの親とも関わりがあった。
電話やメールの交換をしていてもおかしくないだろう。
また、その連絡先がアイツにもアイツの親を通して伝わっている可能性は十分にある。
つまり、だ。
葵が情報を親父に伝えた。
ということだな。
マジか…
説明めんど…
僕の親父は確実にそのことに関してめっちゃ聞いてくる。
だから、正直、メッチャダルい。
マジかよ…
ダルすぎ…
そして、はぁとため息を漏らし、どう説明したもんか。と思考を巡らせていると、
予想外の言葉が電話越しに届いた。
「惺、本当に、彼女ができたのならよく聞きなさい。これはお前の父として言っておかなければならないことだ」
そう前置きをし、
「一生その人を愛していうと思いなさい。友情と愛情は全く持って、関係の重さが違う。自分の一つ一つの行動に細心の注意を払って、少しでも関係を良くさせなさい。これがお前の父として言っておける最大の助言だ」
何と言えばいいのだろう。
今日の父は僕の見てきた親父とはだいぶ印象が変わっていた。
いつもはどこか抜けていて、少しうざったらしい人だった親父が今日は、今日だけは、今の言葉だけは…
・・・・・・
「惺、何も言わなくていい。ただ一つだけ、絶対に守って欲しい約束がある」
いつもとは全く印象の異なる親父の言葉に僕はゴクリと唾を飲む。
しかし、さっきまでの真剣な声の親父はもういなくなったらしく、
「お前の彼女と、今度そっちに帰った時に会わせてくれ!お前と不釣り合いなほど可愛いやつだったら許さないからな!」
といつもの印象と変わらない少しうざったらしい親父の声が聞こえてきた。
僕は一瞬あっけにとられてしまったが、すぐに立て直し、
「僕がどんな可愛い子と付き合おうと関係ないだろ、このクソ親父が…」
いつもは何の躊躇もなく言っていたクソ親父という単語が
この時だけは、いうのに少し躊躇してしまった僕がいた。
「そうか、そうか。ま、惺の声が聞けたし、電話切るわ。じゃ、頑張れよ」
そう言って電話は切れた。
「やっぱ、優しいな………」
ークソ親父がー
この時僕は、あれ?僕ってもしかして、親父に対してだけ、ツンデレ⁉︎
という衝撃の事実に気づいたのだった。
彼方は今、月見里さんの班の部屋に行っている。
そういえば、家では5、6時頃になると彼方はどこかへ出かけていた。
今まで、その時とかに月見里さんと会ってたのかな。と思考を巡らせていると、
ふと、僕の持っている携帯電話が鳴った。
うちの学校では、スマホを持ってくるのは禁止だが、連絡用として、携帯電話を持ってくるのは許されている。
誰からだろうと思いつつ、画面を見るとそこには、
『親父』
と書かれてあった。
忘れている人が多いと思うが僕の親父は海外で仕事をしているため、滅多に会えない。
家に来るのはもちろん、電話で話すことすらも少ない。
そのため、このように電話がかかってくることは珍しく、何かあったのかと思って急いで電話に出る。
すると、電話越しに親父は開口一番こう言った。
「惺、お前彼女できたってほんとか⁉︎」
--------------
「は?」
思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
いや、なんでそのこと知ってんだ⁉︎
いや、その前になんで付き合ってると誤解されている⁉︎
いや、待て。
前に誰かに、僕と彼方が付き合っている。
という嘘をついた覚えがある。
そして、その嘘をついた相手は………
アイツか…
僕が小さい頃は、まだ親父は日本に住んでおり、幼馴染のアイツの親とも関わりがあった。
電話やメールの交換をしていてもおかしくないだろう。
また、その連絡先がアイツにもアイツの親を通して伝わっている可能性は十分にある。
つまり、だ。
葵が情報を親父に伝えた。
ということだな。
マジか…
説明めんど…
僕の親父は確実にそのことに関してめっちゃ聞いてくる。
だから、正直、メッチャダルい。
マジかよ…
ダルすぎ…
そして、はぁとため息を漏らし、どう説明したもんか。と思考を巡らせていると、
予想外の言葉が電話越しに届いた。
「惺、本当に、彼女ができたのならよく聞きなさい。これはお前の父として言っておかなければならないことだ」
そう前置きをし、
「一生その人を愛していうと思いなさい。友情と愛情は全く持って、関係の重さが違う。自分の一つ一つの行動に細心の注意を払って、少しでも関係を良くさせなさい。これがお前の父として言っておける最大の助言だ」
何と言えばいいのだろう。
今日の父は僕の見てきた親父とはだいぶ印象が変わっていた。
いつもはどこか抜けていて、少しうざったらしい人だった親父が今日は、今日だけは、今の言葉だけは…
・・・・・・
「惺、何も言わなくていい。ただ一つだけ、絶対に守って欲しい約束がある」
いつもとは全く印象の異なる親父の言葉に僕はゴクリと唾を飲む。
しかし、さっきまでの真剣な声の親父はもういなくなったらしく、
「お前の彼女と、今度そっちに帰った時に会わせてくれ!お前と不釣り合いなほど可愛いやつだったら許さないからな!」
といつもの印象と変わらない少しうざったらしい親父の声が聞こえてきた。
僕は一瞬あっけにとられてしまったが、すぐに立て直し、
「僕がどんな可愛い子と付き合おうと関係ないだろ、このクソ親父が…」
いつもは何の躊躇もなく言っていたクソ親父という単語が
この時だけは、いうのに少し躊躇してしまった僕がいた。
「そうか、そうか。ま、惺の声が聞けたし、電話切るわ。じゃ、頑張れよ」
そう言って電話は切れた。
「やっぱ、優しいな………」
ークソ親父がー
この時僕は、あれ?僕ってもしかして、親父に対してだけ、ツンデレ⁉︎
という衝撃の事実に気づいたのだった。
0
あなたにおすすめの小説
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
痩せたがりの姫言(ひめごと)
エフ=宝泉薫
青春
ヒロインは痩せ姫。
姫自身、あるいは周囲の人たちが密かな本音をつぶやきます。
だから「姫言」と書いてひめごと。
別サイト(カクヨム)で書いている「隠し部屋のシルフィーたち」もテイストが似ているので、混ぜることにしました。
語り手も、語られる対象も、作品ごとに異なります。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる