短編集

いといしゅん

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桜と恋

それぞれの想い

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時間というのは気づかないうちにどんどんと過ぎていってしまうもので、
気づけばもう年が変わっていた。
年が変わったというのに、僕と先輩の関係は特に進展していなかった。
いや、確かに前よりも仲は良くなった。
しかし、恋愛的には何も進展していないのだ。
先輩にそろそろ気持ちを伝えないとなぁ。と少しだけ焦りを覚えた僕であった。
先輩が卒業するまであと3ヶ月。
僕は先輩に気持ちを伝えることはできるのだろうか。

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「はぁ………」
私は思わずため息をついていた。
隣を見るが、彼は私のため息には気づいていないようだった。
今は彼と一緒に学校へ向かっている途中だ。
それにしても、本当にため息をつきたくなる。
いや、実際についているのだが。
私は彼が自分から言いに来るのをずっと…彼と知り合ってから待っている。
だというのに彼は、全く言いに来るそぶりすらない。
私への恋心を彼が持っていることは鈍感な私でもわかるほどのものだった。
そして、私も彼への恋心を………
いや、このことは今、考えなくてもいいか。
あと、3ヶ月で私は卒業するというのにまだ彼は言いに来ない。
もう、全くもう。全くもうですよ。
「はぁ………」
私は再度ため息をつき、彼と共に登校を続けるのだった。

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そして、さらに時は流れ…
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