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1章
ep2 代替制度~優紀~
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優紀は学校帰りにジムによるとバディの考案したメニューをこなしていく。
4月に入るつもりでいた野球部には入部する事が叶わず、バディの指示通りに近くのジムで身体を鍛える事になっている。
本来ここで高校生ならバイトをしたり塾に通う所だろう。
しかし、優紀のお小遣いはジム代にだけ消えて、あとは自分の欲しい物すら買う事が許されていない。優紀自身のお金の使い道もバディ任せになっているのだ。
当然、塾も行く必要がない、テストともなれば頭の良いバディ様がそつなく回答してくれるのだから。
「高校生のうちなんて身体を鍛えてればいい。」
基本的にバディ間での会話は禁止だが、たまにポツリと自分の思想を呟くバディ。
優紀は反論も許されずにただただ言われたようにするしかないのだ。
ジムでトレーニングが終わると汗だくだ。高校生の限界だろうギリギリまでのメニューを提案される。
最初の頃は回数をごまかす事があったが、直ぐに指摘されてしまった。
全く、何処で監視してるかわからない。おそらくこのジムにも政府からの手が周り、あらゆる所にカメラがついているのだろう。
何回も通ううちに大体の位置は予想がついたが、学校にもついている事がわかってからは探すのを諦めた。
トレーニングが終わるとやっと家に帰れる。
優紀にとっては家だけが唯一バディと離れられる空間だ。
帰宅してからと朝の6時までは眼鏡を外して良い契約になっている。イヤホンは耳奥に取り付けているので付けっぱなしだがバディが話しかけてくる事もないので問題ない。
バディも人だ、休む時間も必要だろう。
シャワーを浴びてからジムを出て、家へと向かうと、
「それではまた明日。」
と声が聞こえる。
優紀は特に返事もする事なく玄関を開けると2階の自分の部屋まで向かう。
眼鏡を学習机の上に置くとハンカチを覆いかぶせる。ここしか一人になれる空間がないんだ、バディも休んでいるだろうが万が一カメラを興味本位で覗き込んでいる時なんかがあれば何を見られるかわかったもんじゃない。
優紀は疲れた体をベッドに預ける。
ここ最近は勉強机に座る事もなくなった。
新しいゲーム機を買おうにもお金の使い道に許可が出ない。
スマホゲームもやったが、課金しないと進まない所があるのもいくつかのゲームをやった事でわかっている。
小説も漫画も。
この部屋はバディのせいで4月から時が止まってしまっている。
「ピロン♪」
憂鬱になる音が聞こえる。
友達の纐纈 健人からのメッセージだ。
「やっほー、何々どうした?遂に告白かぁー?」
健人とは中学からの付き合いで仲が良かった。バディ制度が始まってから何回か「今日のお前変だな?」と指摘されたのは苦い思い出だが、流石親友といった所だ。
そんな親友からのメッセージが何故憂鬱かというとバディの指示なしでバディの意思を汲んだメッセージのやり取りをしないといけないからだ。
親友でさえ憂鬱になるこの作業、ただのクラスメイトとのやり取りともなると本当に頭を悩ませる。
初めは嫌すぎて、無視をしていたが学校で友達たちに注意されすぎて渋々返すようになっていた。
いっその事、携帯を解約しようとも思ったがそれは政府の機関が許してくれなかった。何かと緊急時に連絡が取れなくなるのは困るらしい。
仕方なく強引ではあったが電話は止めてくれと友達を説得して、メッセージのやり取りはOKにしている。
電話なんてかかってきたものなら本来の優紀がいつ出てきてしまうかわからない。
ついつい勢いで話してしまいそうだ。今の現状を。
親友の健人にならこのバディ実験の全容を話しても大丈夫だろうか、話したい話したい話したい。
そんな感情を押さえつけるのには苦労している。
「あまり茶化すなよ。」
健人に怒ってるのか冗談交じりで言ってるのかわからないメッセージを送り返す。
「ぴぽぱぽぽぽん♪ぴぽぱぽぽぽん♪」
健人からの電話だ。全く、電話は止めてくれと言ったのに。
そう頭を抱えながらも仕方なく電話に出る。
手短に済まそう。
「おっすー♪」
悪びれてない声だ。
「電話はかけないでって言ったはずだけど?」
なんとも感じの悪い親友だろうか、こんな事を言うしかない自分自身にも苛立ちを覚える。
「冷たい冷たいー、俺たち親友だろ?そんじょそこらのやつらとは絆の深さが違うのさ。」
「ふっ、何勝手言ってるんだか。」
「でさー、最近、妙に話しかけてるし、一緒にいるなぁとは思ってたから感づいてはいたけど、いつから園田さんの事好きだったの?4月の時は朝河さんの事好きって言ってなかったっけ?」
優紀は胸が痛くなる。
ここ最近は自分の視界に入る事もめっきり少なくなっていた女の子の名前だ。
高校に入ってから初めてあった子だが目鼻立ちが良く黒髪ポニーテールの元気一杯の子だった。
優紀が4月に野球部に入るつもりの話しをしていたらなんと朝河も野球部マネージャー志望だったようで一緒に青春を送れる予感に胸躍らせたものだ。
「んー、そんな事言ってたっけ?今は園田さんなんだよ。」
嘘をついた。それでも「園田さんが好き」とはっきり言わない事で必死に抵抗した。
「ふーん、でも趣味変わったよなぁ。中学からお前の好きな子知ってる俺としては変な気分だよ。」
「人は成長するものさ。」
優紀が変に誤魔化すと、
「意味わからん。」
と言われてお互い笑いあった。
気のしれた友達と話す電話の声はいつも耳奥から聴こえる声の何倍も気持ちが良い。
しかし、この電話も政府に盗み聞きされている可能性はあるだろう。
そう疑っている優紀は、
「まぁ、悪いけど今日も疲れてるからもう寝るわ。」
とだけ言って短めに電話を切る。
健人はまだまだ話したそうだったが仕方ない。
今はまだ我慢するしかないんだ。
4月に入るつもりでいた野球部には入部する事が叶わず、バディの指示通りに近くのジムで身体を鍛える事になっている。
本来ここで高校生ならバイトをしたり塾に通う所だろう。
しかし、優紀のお小遣いはジム代にだけ消えて、あとは自分の欲しい物すら買う事が許されていない。優紀自身のお金の使い道もバディ任せになっているのだ。
当然、塾も行く必要がない、テストともなれば頭の良いバディ様がそつなく回答してくれるのだから。
「高校生のうちなんて身体を鍛えてればいい。」
基本的にバディ間での会話は禁止だが、たまにポツリと自分の思想を呟くバディ。
優紀は反論も許されずにただただ言われたようにするしかないのだ。
ジムでトレーニングが終わると汗だくだ。高校生の限界だろうギリギリまでのメニューを提案される。
最初の頃は回数をごまかす事があったが、直ぐに指摘されてしまった。
全く、何処で監視してるかわからない。おそらくこのジムにも政府からの手が周り、あらゆる所にカメラがついているのだろう。
何回も通ううちに大体の位置は予想がついたが、学校にもついている事がわかってからは探すのを諦めた。
トレーニングが終わるとやっと家に帰れる。
優紀にとっては家だけが唯一バディと離れられる空間だ。
帰宅してからと朝の6時までは眼鏡を外して良い契約になっている。イヤホンは耳奥に取り付けているので付けっぱなしだがバディが話しかけてくる事もないので問題ない。
バディも人だ、休む時間も必要だろう。
シャワーを浴びてからジムを出て、家へと向かうと、
「それではまた明日。」
と声が聞こえる。
優紀は特に返事もする事なく玄関を開けると2階の自分の部屋まで向かう。
眼鏡を学習机の上に置くとハンカチを覆いかぶせる。ここしか一人になれる空間がないんだ、バディも休んでいるだろうが万が一カメラを興味本位で覗き込んでいる時なんかがあれば何を見られるかわかったもんじゃない。
優紀は疲れた体をベッドに預ける。
ここ最近は勉強机に座る事もなくなった。
新しいゲーム機を買おうにもお金の使い道に許可が出ない。
スマホゲームもやったが、課金しないと進まない所があるのもいくつかのゲームをやった事でわかっている。
小説も漫画も。
この部屋はバディのせいで4月から時が止まってしまっている。
「ピロン♪」
憂鬱になる音が聞こえる。
友達の纐纈 健人からのメッセージだ。
「やっほー、何々どうした?遂に告白かぁー?」
健人とは中学からの付き合いで仲が良かった。バディ制度が始まってから何回か「今日のお前変だな?」と指摘されたのは苦い思い出だが、流石親友といった所だ。
そんな親友からのメッセージが何故憂鬱かというとバディの指示なしでバディの意思を汲んだメッセージのやり取りをしないといけないからだ。
親友でさえ憂鬱になるこの作業、ただのクラスメイトとのやり取りともなると本当に頭を悩ませる。
初めは嫌すぎて、無視をしていたが学校で友達たちに注意されすぎて渋々返すようになっていた。
いっその事、携帯を解約しようとも思ったがそれは政府の機関が許してくれなかった。何かと緊急時に連絡が取れなくなるのは困るらしい。
仕方なく強引ではあったが電話は止めてくれと友達を説得して、メッセージのやり取りはOKにしている。
電話なんてかかってきたものなら本来の優紀がいつ出てきてしまうかわからない。
ついつい勢いで話してしまいそうだ。今の現状を。
親友の健人にならこのバディ実験の全容を話しても大丈夫だろうか、話したい話したい話したい。
そんな感情を押さえつけるのには苦労している。
「あまり茶化すなよ。」
健人に怒ってるのか冗談交じりで言ってるのかわからないメッセージを送り返す。
「ぴぽぱぽぽぽん♪ぴぽぱぽぽぽん♪」
健人からの電話だ。全く、電話は止めてくれと言ったのに。
そう頭を抱えながらも仕方なく電話に出る。
手短に済まそう。
「おっすー♪」
悪びれてない声だ。
「電話はかけないでって言ったはずだけど?」
なんとも感じの悪い親友だろうか、こんな事を言うしかない自分自身にも苛立ちを覚える。
「冷たい冷たいー、俺たち親友だろ?そんじょそこらのやつらとは絆の深さが違うのさ。」
「ふっ、何勝手言ってるんだか。」
「でさー、最近、妙に話しかけてるし、一緒にいるなぁとは思ってたから感づいてはいたけど、いつから園田さんの事好きだったの?4月の時は朝河さんの事好きって言ってなかったっけ?」
優紀は胸が痛くなる。
ここ最近は自分の視界に入る事もめっきり少なくなっていた女の子の名前だ。
高校に入ってから初めてあった子だが目鼻立ちが良く黒髪ポニーテールの元気一杯の子だった。
優紀が4月に野球部に入るつもりの話しをしていたらなんと朝河も野球部マネージャー志望だったようで一緒に青春を送れる予感に胸躍らせたものだ。
「んー、そんな事言ってたっけ?今は園田さんなんだよ。」
嘘をついた。それでも「園田さんが好き」とはっきり言わない事で必死に抵抗した。
「ふーん、でも趣味変わったよなぁ。中学からお前の好きな子知ってる俺としては変な気分だよ。」
「人は成長するものさ。」
優紀が変に誤魔化すと、
「意味わからん。」
と言われてお互い笑いあった。
気のしれた友達と話す電話の声はいつも耳奥から聴こえる声の何倍も気持ちが良い。
しかし、この電話も政府に盗み聞きされている可能性はあるだろう。
そう疑っている優紀は、
「まぁ、悪いけど今日も疲れてるからもう寝るわ。」
とだけ言って短めに電話を切る。
健人はまだまだ話したそうだったが仕方ない。
今はまだ我慢するしかないんだ。
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