わがまま秘書は冷徹社長の独占愛に溺れていく

椿綾あこ

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8 再会の応接室

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「秋月です。失礼してもよろしいでしょうか?」

 扉の向こうから柔らかい声が飛んで来る。秋月さんが戻って来た。そう思った時には、久世社長が私を解放する。腰に回っていた腕も、敏感になった場所を擦っていた指も、低音を何度も響かせた唇も――まるで何もなかったかのようにすっと離れていった。

「わがまま秘書、仕事に戻る時間だ」
「……っぁ」

 身体を這っていた快感が急に消えて、ぶるりと身体が震える。止めてほしいと何度も訴えていたのに――いざ、解放されると、なんだか変な感じ。
 そんなことより……!

「身なりを整えろ」
「……誰のせいで……!」

 かああっと頬にますます熱が集まる。
 あの日と同じだ。一方的な愛撫に翻弄された私と違って久世社長は何事もなかったかのように、ソファに座り直す。信じられない。

「どうしてこんなこと……!」

 慌ててブラウスのボタンを留めて、恥ずかしさを抑えながら、立ち上がる。けど油断すると膝が震えてしまいそう。睨むように久世社長へと視線を落とすがすぐに目線を上げることになった。

「まだわからないのか?」
「……っ」
「その生意気な口が素直になったら教えてやる」

 立ち上がった久世社長の指がゆっくりと頬を這う。そのまま顎を持ち上げられると、冷たい瞳が近づいて――心臓が音を立てた。多分これは一方的に触られたせい。

「っな、なんですかそれ……」
「わからないなら、わかるまで調教してやる」
「――っ」

 整った顔が、すぐ目の前にある。冷たい瞳の中に、頬を赤らめた私が映っている――まるで、欲情に染まった女の顔。
 こんなの私じゃない。私は久世社長に翻弄されるような女じゃない。

 こんな都合のいい女みたいに扱われるなんて――絶対嫌なのに――。

「自慢の脚、もう隠すなよ」
「……っ知りません……!」

 ねっとりと身体をなぞる冷たい視線に籠った微かな熱に、また甘い声が零れそうになった。

「久世社長?」
 
 扉の向こうから秋月さんの声がもう一度飛んで来る。返事がないことに疑問を抱いたみたい。けど返事なしに入って来ない彼の優秀さに今は感謝だ。

「ほら、仕事に戻れ、わがまま秘書」

 久世社長の声が私を操る。身体の熱はまだ治まってくれない。こんなことされたら――もう仕事になんか戻れない。
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