わがまま秘書は冷徹社長の独占愛に溺れていく

椿綾あこ

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【番外編】 儚げ社長の休日

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 秋月さんの指摘はまさに図星。
 否定出来るわけもなく、私はただ小さく頷いた。

「……昔から雷ダメで……」

 ぽつりと打ち明ける自らの弱点。

 昔祖母の家に泊まりに行った時、近くの木に雷が落ちたところを見てしまった。それ以来、どうにも雷が苦手。今みたいな大きな音もだけど、その前にゴロゴロなるのも苦手。今から来るぞって感じがして、つい身構えてしまう。

「そうだったんですね。けど……それならこうやって今日ここに来てよかったです」
「え……?」

 次の雷が落ちないように願っていると何故か秋月さんは柔らかく笑った。どうして……?

「何かあった時に九重社長のこと守れますから」
「……っ、またそういうこと……!」

 すぐにまた顔が熱くなる。誰もが見惚れるその顔でどれだけ社交辞令を続けるのだろう。

「もし停電になったとしても、安心してくださいね。俺がいますから」
「……はい」

 あまりにも顔がいいで、つい頷いてしまった。

 この見た目で元モデル。きっと女性の扱いには慣れているのだろう。全てを包み込まれるような優しくて穏やかな雰囲気に心地良い声。彼の心を掴みたいと願い女性は多いだろう。それに――。

 秋月さんに想われる女性はきっと幸せだろうな。

 取引先社長の私にこれだけのことをお世辞で言えるんだから、きっと本命にはもっと優しい。その人は幸せだと簡単に想像が出来る。

「あ、けど見てください。ちょっとだけ明るくなってきましたよ」
「ほんとだ……」

 秋月さんに促されて再び窓の外へ視線を向ける。
 今の雷がゲリラ豪雨の終わりを告げたのか少しだけ雨足が弱まって、厚かった暗い雲が少し薄くなっている。

「雷の音も遠くなりましたね」

 私以上に安心したような秋月さんの声。その言葉通り雷の音が遠くなっていく。もうさっきと同じような雷は落ちないだろう。ほっと胸を撫でおろす。よかったですね。そんな秋月さんの声にもまた雷に騒めいていた心が落ち着いていくのがわかった。

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