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16 この関係の名前
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しおりを挟む飛んで来た誘いはまさに予想外。
同時に久世社長の顔が頭にポンっと浮かんだ。――訂正、本当はランチ会が恋バナになった時から浮かんでいた。
「飲み会……?」
「そうそう。LUNARIAの人が是非“花園”にも来てほしいって言っててさ」
「あー……そうなんですね」
どうしよう。驚きのせいか笑顔が引きつった。
コラボブランドを立ち上げている影響もあって、うちの社員とLUNARIAの社員がよく集まっていること知っている。私も何度か顔を出したことがある。
普通に考えたら行くべきだろう。誘われてるし、私が行くことで向こうの機嫌がよくなるなら行くべき。LUNARIA側にとって私は“花園”の1人。飲み会に私がいたら場は華やかになるってのは――正直分かる。
ただ……どうなんだろう。
『お前は俺のものだ』
冷たい瞳に見つめられて、何度も紡がれた久世社長の言葉が頭を過る。
あの一方的な独占宣言を真に受けてはないし、あんなこと言われて嫌だけど……もしも飲み会に参加したって久世社長にバレたら……それこそまた彼を怒らせる気がする。
「それいつですか?」
「来週の金曜日です」
ひとまず場の雰囲気を悪くしないように日時を確認する。すると、返事に安堵の息を零した。もちろん、胸の中でだ。
有難いことに指定された日は予定が入っている。
「ごめんなさい。その日は椛乃社長の会食に同席なんです」
「ああー……残念!」
がっくり、と女性社員が肩を落とす。
「秋月さんも用事があるって断られたんだよね」と彼女が続けると別の女性社員も落胆する。どうやら、LUNARIA側で一番出席して欲しい社員は秋月さんみたい。あの人こそ、しれっと彼女いそうだよね。きっと大事にするタイプだ。
「またタイミング合えばご一緒させてください」
「もちろん!」
とりあえずは一安心。これで久世社長に何か言われなくて済む……って私、いつから飲みに行くのに久世社長の許可がいるって思うようになっちゃったんだろう。
「で、茉乃ちゃんその感じだと今はいい感じの人いない感じ?」
「そう……ですね」
話が終わればまた香澄さんからの質問が続く。これにも一応頷いておいた。だけど数秒間をおいて私は声を落とした。
「あの香澄さん」
「なに?」
「香澄さんってその……これまでに……」
セフレいた事ってありますか? そう続けようとして――止めた。
いくら仲のいい先輩だからってこんなこと聞けない。
「いや、何でもないです。私、コーヒー取ってきます!」
慌てて立ち上がって不思議そうに首を傾げる香澄さんから離れる。
私ってこんなに馬鹿だったっけ? 喉が痛いせいで、変なのかも。
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