わがまま秘書は冷徹社長の独占愛に溺れていく

椿綾あこ

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17 寝込んだ夜に

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「……久世社長……どう思うかな?」

 眠らないと――そう思っていたのに、瞼の裏に浮かんだ姿に目を開けてしまった。
 枕元に置いたスマホへ指先を伸ばし引き寄せるとアドレス帳を開いてその名前を探す。だけど探す前にすぐにスマホを伏せた。

「いやいや、そんな必要ないし……」

 なんでわざわざ取引先の社長に「今日は風邪で欠勤です」って連絡しないといけないの? 私一人いないぐらいで中止になる打ち合わせじゃないし。あの人のことだから私がいなくても……。

 けど……逃げたって思われるかな?
 あの夜以来久世社長には一度も会ってない。だから今日私がいないことに久世社長は何か思うかもしれない。
 
「けど逃げてる訳じゃないし。ちゃんとした体調不良だし。嘘ついてもないし……」

 そう自分に言い聞かせているのは、逃げたと思われたくないから。咄嗟に連絡しようとしたのも本当に風邪で欠勤していることを伝える為だったのかも。

 無意識とはいえ、こんな時でさえ、久世社長のことを考えてる自分がいて――嫌になっちゃう。

 あれから何回も考えて……久世社長に都合のいい女扱いされてるって結論に至った。だから次会った時にはもうあんなことはないってちゃんと伝えないと――って思ってたのに。

「……最悪」

 予定が先延ばしになってしまった。体調が回復してないのもあって、仕事を2日も休んでしまった事実にも気分が落ち込む。

 とりあえず今は何も考えたくない。とにかく寝よう。そう決めて瞼を落とした。

 それでも久世社長の顔が頭に浮かんでなかなかは眠ることができなかった。こんなにも身体がだるいにも関わらずだ。

 こんな時まで思い出したくないのに。――あの夜の余韻がまだどこかに残ってる気がする。

 
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