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17 寝込んだ夜に
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しおりを挟む「んー……何時……?」
すっかり暗くなった頃、自然と意識が浮上してくれば重たい瞼を押し上げる。ベッドの上で寝返りを打って窓の方へと目を向ける。すると朝はカーテンの隙間から漏れていた光がない。部屋も暗いってことはいつの間にか夜になってしまったのだろう。
朝寝た時に汗をかいたので、昼過ぎにシャワーを浴びたのは覚えている。お腹は空いてなかったから昨日もらった薬を飲んでまた布団に入ったのも覚えている。それから数時間、寝てしまったみたいだ。
ベッドから身体を起こして気づいた。頭の重さが消えている。体温計を脇に挟んで確認するとすっかり平熱。薬も効いたのか喉の痛みも朝と比べたら随分楽になっている。
「よかった明日は仕事行けそう」
ほっと一息。この調子だと朝までじっくり寝たらもっと元気になるだろう。
その証拠に、昨日から何も食べてなかったお腹が、ようやく空腹を訴えている。このままもうひと眠りするのは難しそうだ。
まずは何か食べよう。けどその前に……椛乃社長に連絡を入れておこう。明日は出勤出来ますって。
「え……?」
だけどスマホを手にとった私は届いていた通知を見て驚いた。
ニュースや天気のアプリからの通知の中に混じってメッセージアプリの通知も混じっている。お店の公式メッセージの中に混ざって2件、知っている人からのメッセージを受信している。
1人は椛乃社長。もう1人は――。
「久世社長から……?」
名前を見ただけで心臓が騒めく。熱は下がった筈なのに、また一気に上がったような感覚。
どうして久世社長から連絡が? やっぱり今日逃げたって思われた?
おそるおそるメッセージを開く。すると飛び込んで来た文字に目を見開いた。
「――嘘!?」
あまりの衝撃にスマホを落としそうになった。嘘、なんで!?
久世社長からのメッセージは至ってシンプルだった。だけど――その内容は想像していたものと全く違った。
『今からそっちへ行く』
たった一言のメッセージ。もう一度読んでも間違いない。
「久世社長がくる……!?」
慌てて電気をつけて部屋を見渡す。嘘でしょ? なんで!? どうして!?
確かに、あの人はこのアパートを知っている。だって送ってもらったし……けど、だからって……いやいや、それよりも――。
「こんな状態で会える訳ないじゃん……」
こっちは寝起きで髪もボサボサ、着ている薄ピンクのルームウェアはセットアップで可愛いけど、顔はすっぴん。鏡に映る私はいつも私じゃない。こんな状態で久世社長に会うなんて……無理に決まってる。
「とりあえず着替えないと……あ、けど先に顔洗って、メイクも……」
どうしよう、どうしよう。病み上がりの頭だと上手く考えられない。久世社長からの連絡が届いたのは約30分前、下手したらもう来ちゃう。
「ああ、もう……!」
折角体調が戻ったと思ったもうこれだ。今日も久世社長に振り回されている。とにかくまず着替えを――そう思ってクローゼットを開いたタイミングで静かだった部屋にインターフォンの音が響いた。
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