わがまま秘書は冷徹社長の独占愛に溺れていく

椿綾あこ

文字の大きさ
106 / 109
20 甘いお仕置きとご褒美

4 ※

しおりを挟む
 
 ゆっくりと舌が離れると同時に久世社長の顔が太ももから上がってくる。
 顔が近づいてきたと思った瞬間、冷たい瞳の奥に熱が宿っているのが見えた。 それだけで、息が詰まりそうになる。
 
「……っ」
「何か言いたいことがあるのか?」

 ゆっくりと形のいい唇が動く。言いたいことがあればはっきりと言えと訴えられると、私は再び口を開いた。

「確かに宗方さんとは話したけど……ほんの数分だし。久世社長が紗英さんと話してた時間の方がずっと長いじゃないですか……!」

 ここで怯んじゃダメだと自らを鼓舞して彼を睨む。いつもの“生意気”と言われるような言い方になってしまうのも仕方ない。

「私のことは全然褒めてくれないのに、紗英さんのことはずっと褒めてたし……私と話してる時より、ずっと楽しそうだった……なのに私だけが怒られるなんて、理不尽すぎます」

 ゆっくりと、だけどはっきりと紡ぐ反論に込み上げる恥ずかしさ。言っている途中で少し声が小さくなった気がするけどなんとか最後まで言うことが出来た。

 だけどすぐに気づいた。こんな話まるで――。

「……嫉妬してるのか?」
「――っ、そんなわけ……!」

 かああっと頬が一気に熱く、赤く染まっていくのがわかった。まさに図星を突かれて目線をあらぬ方向へ。

「逃げるな」
「あっ……やだ」

 だけどすぐに久世社長の指に顎を掴まれて瞳を覗き込まれるとそれだけで身体の中でくすぶっている熱が高まって、あの時と同じ感覚に襲われる。
 看病されたあの日、ベッドの上に言わされた本音。またそれを引き出される気配。だって多分このあと――。

「言え」
「――っ、ずるい」

 ほら来た。逆らえない命令が耳元に落ちて来る。低い声。だけど、もう怖くはなかった。

「この“生意気”な口で“わがまま”を言ってみろ」

 理不尽な怒りを向けられていた筈なのに、いつの間にかまた命令される展開なっている。
 紗英さんと話してたことが面白くなかったなんて――絶対に言いたくなかったのに。

 一体いつから私は……久世社長が他の子と仲良さそうにしていることに嫉妬しちゃうようになっちゃったの?
 
「やだ……っ、私は……ぁ」

 久世社長の親指が唇を這う。口紅が取れちゃうのに――だけど、そんなことどうでもいい。

「私、久世社長の都合のいい女じゃない……っ!」

 どうせ私の反応を見て楽しんでる。欲しい言葉ひとつくれないのに、私にばっかり言わせようとするのずるい。こんな風に、いいようにされるなんて――絶対に嫌だ。

 けど同時に、久世社長には逆らえない。こんな風に太ももと舐められただけで――こんなにも濡れて、物足りなさに腰が揺れそうになってる。そんな状態で、こんな反論――絶対効果はない。

「そういうことじゃない。ちゃんと言えと言っている」
「……っ、あっ……ん」

 ビクンッと腰が跳ねた。太ももへ添えられていた指がショートパンツの上から濡れた場所へと触れる。下着が濡れているせいで布地が柔らかく滑れば、太ももを舐められて感じていたことは簡単にバレてしまった。
 
 ……バレた。全部、見透かされてる。
 どうしてこんなに悔しいのに、身体は嬉しそうにしてるの……?

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

嘘をつく唇に優しいキスを

松本ユミ
恋愛
いつだって私は本音を隠して嘘をつくーーー。 桜井麻里奈は優しい同期の新庄湊に恋をした。 だけど、湊には学生時代から付き合っている彼女がいることを知りショックを受ける。 麻里奈はこの恋心が叶わないなら自分の気持ちに嘘をつくからせめて同期として隣で笑い合うことだけは許してほしいと密かに思っていた。 そんなある日、湊が『結婚する』という話を聞いてしまい……。

6年分の遠回り~いまなら好きって言えるかも~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
私の身体を揺らす彼を、下から見ていた。 まさかあの彼と、こんな関係になるなんて思いもしない。 今日は同期飲み会だった。 後輩のミスで行けたのは本当に最後。 飲み足りないという私に彼は付き合ってくれた。 彼とは入社当時、部署は違ったが同じ仕事に携わっていた。 きっとあの頃のわたしは、彼が好きだったんだと思う。 けれど仕事で負けたくないなんて私のちっぽけなプライドのせいで、その一線は越えられなかった。 でも、あれから変わった私なら……。 ****** 2021/05/29 公開 ****** 表紙 いもこは妹pixivID:11163077

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

ヤクザの若頭は、年の離れた婚約者が可愛くて仕方がない

絹乃
恋愛
ヤクザの若頭の花隈(はなくま)には、婚約者がいる。十七歳下の少女で組長の一人娘である月葉(つきは)だ。保護者代わりの花隈は月葉のことをとても可愛がっているが、もちろん恋ではない。強面ヤクザと年の離れたお嬢さまの、恋に発展する前の、もどかしくドキドキするお話。

Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~

汐埼ゆたか
恋愛
絶え間なく溢れ出る涙は彼の唇に吸い取られ 慟哭だけが薄暗い部屋に沈んでいく。    その夜、彼女の絶望と悲しみをすくい取ったのは 仕事上でしか接点のない上司だった。 思っていることを口にするのが苦手 地味で大人しい司書 木ノ下 千紗子 (きのした ちさこ) (24)      × 真面目で優しい千紗子の上司 知的で容姿端麗な課長 雨宮 一彰 (あまみや かずあき) (29) 胸を締め付ける切ない想いを 抱えているのはいったいどちらなのか——— 「叫んでも暴れてもいい、全部受け止めるから」 「君が笑っていられるなら、自分の気持ちなんてどうでもいい」 「その可愛い笑顔が戻るなら、俺は何でも出来そうだよ」 真摯でひたむきな愛が、傷付いた心を癒していく。 ********** ►Attention ※他サイトからの転載(2018/11に書き上げたものです) ※表紙は「かんたん表紙メーカー2」様で作りました。 ※※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

【完結】溺愛予告~御曹司の告白躱します~

蓮美ちま
恋愛
モテる彼氏はいらない。 嫉妬に身を焦がす恋愛はこりごり。 だから、仲の良い同期のままでいたい。 そう思っているのに。 今までと違う甘い視線で見つめられて、 “女”扱いしてるって私に気付かせようとしてる気がする。 全部ぜんぶ、勘違いだったらいいのに。 「勘違いじゃないから」 告白したい御曹司と 告白されたくない小ボケ女子 ラブバトル開始

処理中です...