わがまま秘書は冷徹社長の独占愛に溺れていく

椿綾あこ

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26 恋心と予想外のイベント

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 社長秘書をしているとレセプションパーティーに行くことはよくある。けどLUNARIAとなると緊張感が違う。多分、好きって気づく前なら身構えてたと思うし「行きたくない」と思うかもしれない。

 だけど今の私はそう思わない。それどころかちょっと楽しみにしてる自分だっている。

 なんでだろう。久世社長に会えるから……かな?

 前回のホテルデートから来週のパーティーまで、仕事で久世社長会う機会はない。だから、余計に来週が待ち遠しいのかも。久世社長にもホテルデートの別れ際には「次はパーティーの時だな」と言われている。

 前の私だったら、安心してたと思う。

 久世社長に突然調教宣言された時は2週間会わないだけでほっとした。けど――今は違う。会えないと寂しいって思ってしまう。これも“好き”って感情を自覚したせいかな。

 なんだろう。自覚してから、気持ちが加速していくみたい。

 毎日、久世社長から連絡が来ないか確認して、油断すると理由もないのにメッセージを送りたくなる。こんな自分が久しぶりで、瞼を閉じる度に彼の温もりを思い出してしまう。あの逞しい身体に、低い声。一方的な独占宣言。どれもが私を翻弄する。

「それでね、茉乃ちゃん」
「あ、はい! すみません!」

 柔らかい声にハッとした途端、目の前に浮かんでいた久世社長の姿が消えていく。代わりに椛乃社長の綺麗な顔が現れて、予想外の言葉を口にした。

「手土産でしたら、明日中にピックアップします」
「あ、そうだね。会社としても手土産が必要だよね」
「……っていうと?」
「実はパーティーの翌日が久世社長の誕生日でね」
「え!?」

 あまりに大きな衝撃にあんぐりと口が開く。

 久世社長の誕生日がこんなにも近いなんて――。そんなの聞いてない。いや、あの人は自分のことを積極的に話す人じゃないけど……。

 慌ててスケジュール帳のポケットから付属のノートを取り出す。そこには主要の取引先の重役についてまとめてある。久世社長のページを開くと確かに来週の日曜日の日にちが書いてあった。「ほんとですね……」と小さな声が零れた。

「……気づきませんでした」
「ね、私もさっき気づいてね。プレゼントもうひとつ別で用意した方がいいかなーって考えるところ」
「……そう……かもしれませんね」

 まさか誕生日だなんて――完全に油断した。

 私がただの取引先秘書なら、個人的なプレゼントではなく会社としてプレゼントを用意する。お菓子とか、ワインとか。相手の好みを調べて社長と相談してプレゼントを贈るはず。

 だけど今となっては久世社長はただの取引先相手じゃない。――私の好きな人。これまで通りってわけにはいかないと思う。

 だって普通好きな人の誕生日には“何かしてあげたい”って思うのが普通でしょ?
 
 そう考えてしまう私は、すっかり彼に恋する乙女だ。
 
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