172 / 172
エピローグ
9
しおりを挟む
「じゃあもう一個“わがまま”言ってもいいですか?」
わがままって言われるの最初は嫌だった。けれど、もう私と久世社長にとってはもう定番のやり取りなのかもしれない。
だからもう我慢はしない。“わがまま”もいっぱい言いたい。
どうせ言いたいこと我慢してもバレちゃうんだから、もう我慢するする必要なんてない。仕事中はともかく、今みたいな恋人タイムには余計に。
「なんだ?」
キッチンカウンターで恋人の胸に顔を埋め、その存在を確認する。微かに香る彼の匂いに一日の疲れとか、急に弟さんに会った驚きとか一気に消えていく。いつからこの香りに落ち着くようになったんだろう。
「今日泊まってもいいですか?」
最低限のメイク道具は持ってるし、ここはLUNARIA社長の家、スキンケア用品ならある程度揃ってることはもう知っている。足りないものがあればコンビニに買いに行けばいいし、明日の朝早めに送ってもらったら着替えて出勤する時間は十分にある。
それに、会ってしまったらもう離れたくないから。
恋人の腕の中で甘えるように久世社長を見上げる。ちょっと上目遣いにしたのは――もちろんわざと。
私の“わがまま”に久世社長が口元を緩める。あ、多分これ喜んでる。つまり返事はOKってこと。久世社長の長い指が私の頬を撫でると、指先から伝わる熱が溶けあって私まで唇が緩んでしまう。
「好きにしろ」
「嬉しいでしょ?」
「調子に乗るなと言っている」
こんなにも胸が熱くなるなんて思ってもなかった。
怖い、苦手って思っていた彼の一言に心が震えて、感じる温もりは今の私にとって欠かせない。
何を考えているかわからない冷徹社長との関係が始まって数ヶ月。私の知らないところで、ずっと私を求めてくれていたのだと知ってからはずっと愛しさが増す。
この人の独占欲に溺愛された私はすっかり溺れちゃってる。
「あ、もう一個ありました」
「まだあるのか?」
呆れたような声が返ってきても、もう怯まない。この人は冷たくて素っ気なく見えるけど、胸の内に熱いものを秘めている人。私に対してはものすごーく独占欲を持ってるし。
「仕事の時以外は……惟真さんって呼びたいです」
久世社長を見つめながら両想いになった時からずっと考えていた“わがまま”を伝える。
仕事中はちゃんと「久世社長」と呼ぶ。だけど、仕事の人が誰もいない空間では――彼の名前をちゃんと呼びたい。そう思うのって彼女なら当然でしょ?
「ああ、わかった」
許可と共にゆっくりと惟真さんの唇が近づいてくる。私の大好きな温もりを早く感じたくて、気がついたら背伸びをしてキスをねだっていた。
「茉乃」
「早くキスして、惟真さん」
私はあなたの“わがまま秘書”で“わがままな恋人”。――もっともっと私を夢中にさせてください。
そう願っている内に普段の態度からは似合わないぐらい甘くて優しいキスが私の世界を彩る。
甘いキスの余韻に浸りながら、私は彼の名を囁いた——惟真さん、と。
私、黒瀬茉乃。25歳。職業、化粧品会社社長秘書。
コラボブランドを立ち上げている同業の冷徹社長に溺愛されてる“わがまま秘書”です。
わがまま秘書は冷徹社長の独占愛に溺れて行く――甘く、深く、心まで奪われて―― 了
わがままって言われるの最初は嫌だった。けれど、もう私と久世社長にとってはもう定番のやり取りなのかもしれない。
だからもう我慢はしない。“わがまま”もいっぱい言いたい。
どうせ言いたいこと我慢してもバレちゃうんだから、もう我慢するする必要なんてない。仕事中はともかく、今みたいな恋人タイムには余計に。
「なんだ?」
キッチンカウンターで恋人の胸に顔を埋め、その存在を確認する。微かに香る彼の匂いに一日の疲れとか、急に弟さんに会った驚きとか一気に消えていく。いつからこの香りに落ち着くようになったんだろう。
「今日泊まってもいいですか?」
最低限のメイク道具は持ってるし、ここはLUNARIA社長の家、スキンケア用品ならある程度揃ってることはもう知っている。足りないものがあればコンビニに買いに行けばいいし、明日の朝早めに送ってもらったら着替えて出勤する時間は十分にある。
それに、会ってしまったらもう離れたくないから。
恋人の腕の中で甘えるように久世社長を見上げる。ちょっと上目遣いにしたのは――もちろんわざと。
私の“わがまま”に久世社長が口元を緩める。あ、多分これ喜んでる。つまり返事はOKってこと。久世社長の長い指が私の頬を撫でると、指先から伝わる熱が溶けあって私まで唇が緩んでしまう。
「好きにしろ」
「嬉しいでしょ?」
「調子に乗るなと言っている」
こんなにも胸が熱くなるなんて思ってもなかった。
怖い、苦手って思っていた彼の一言に心が震えて、感じる温もりは今の私にとって欠かせない。
何を考えているかわからない冷徹社長との関係が始まって数ヶ月。私の知らないところで、ずっと私を求めてくれていたのだと知ってからはずっと愛しさが増す。
この人の独占欲に溺愛された私はすっかり溺れちゃってる。
「あ、もう一個ありました」
「まだあるのか?」
呆れたような声が返ってきても、もう怯まない。この人は冷たくて素っ気なく見えるけど、胸の内に熱いものを秘めている人。私に対してはものすごーく独占欲を持ってるし。
「仕事の時以外は……惟真さんって呼びたいです」
久世社長を見つめながら両想いになった時からずっと考えていた“わがまま”を伝える。
仕事中はちゃんと「久世社長」と呼ぶ。だけど、仕事の人が誰もいない空間では――彼の名前をちゃんと呼びたい。そう思うのって彼女なら当然でしょ?
「ああ、わかった」
許可と共にゆっくりと惟真さんの唇が近づいてくる。私の大好きな温もりを早く感じたくて、気がついたら背伸びをしてキスをねだっていた。
「茉乃」
「早くキスして、惟真さん」
私はあなたの“わがまま秘書”で“わがままな恋人”。――もっともっと私を夢中にさせてください。
そう願っている内に普段の態度からは似合わないぐらい甘くて優しいキスが私の世界を彩る。
甘いキスの余韻に浸りながら、私は彼の名を囁いた——惟真さん、と。
私、黒瀬茉乃。25歳。職業、化粧品会社社長秘書。
コラボブランドを立ち上げている同業の冷徹社長に溺愛されてる“わがまま秘書”です。
わがまま秘書は冷徹社長の独占愛に溺れて行く――甘く、深く、心まで奪われて―― 了
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」
母に紹介され、なにかの間違いだと思った。
だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。
それだけでもかなりな不安案件なのに。
私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。
「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」
なーんて義父になる人が言い出して。
結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。
前途多難な同居生活。
相変わらず専務はなに考えているかわからない。
……かと思えば。
「兄妹ならするだろ、これくらい」
当たり前のように落とされる、額へのキス。
いったい、どうなってんのー!?
三ツ森涼夏
24歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務
背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。
小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。
たまにその頑張りが空回りすることも?
恋愛、苦手というより、嫌い。
淋しい、をちゃんと言えずにきた人。
×
八雲仁
30歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』専務
背が高く、眼鏡のイケメン。
ただし、いつも無表情。
集中すると周りが見えなくなる。
そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。
小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。
ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!?
*****
千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』
*****
表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101
貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
玖羽 望月
恋愛
朝木 与織子(あさぎ よりこ) 22歳
大学を卒業し、やっと憧れの都会での生活が始まった!と思いきや、突然降って湧いたお見合い話。
でも、これはただのお見合いではないらしい。
初出はエブリスタ様にて。
また番外編を追加する予定です。
シリーズ作品「恋をするのに理由はいらない」公開中です。
表紙は、「かんたん表紙メーカー」様https://sscard.monokakitools.net/covermaker.htmlで作成しました。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
ワケあり上司とヒミツの共有
咲良緋芽
恋愛
部署も違う、顔見知りでもない。
でも、社内で有名な津田部長。
ハンサム&クールな出で立ちが、
女子社員のハートを鷲掴みにしている。
接点なんて、何もない。
社内の廊下で、2、3度すれ違った位。
だから、
私が津田部長のヒミツを知ったのは、
偶然。
社内の誰も気が付いていないヒミツを
私は知ってしまった。
「どどど、どうしよう……!!」
私、美園江奈は、このヒミツを守れるの…?
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
ソツのない彼氏とスキのない彼女
吉野 那生
恋愛
特別目立つ訳ではない。
どちらかといえば地味だし、バリキャリという風でもない。
だけど…何故か気になってしまう。
気がつくと、彼女の姿を目で追っている。
***
社内でも知らない者はいないという程、有名な彼。
爽やかな見た目、人懐っこく相手の懐にスルリと入り込む手腕。
そして、華やかな噂。
あまり得意なタイプではない。
どちらかといえば敬遠するタイプなのに…。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる