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1章
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「だから、こんなもんで終わると思うなよ」
ベッドに移しかえずそのまま床に押し倒される。背中に鈍い痛みが走る。それに気を取られる余裕があったのか、それとも嵐の前の静けさなのか、立野が痛みに顔を歪めていると性急に始まるキスの嵐。それもさっきのあてがうだけのものではない、何かを奪い取るような乱暴で貪る男のキスである。
立野は知らなかった。「――おいおい、キスもしたことなかったのか」窒息寸前の立野に気付いて、軽い笑いをしてそして、またキスを落とす。今度は額に優しく。
「こういう深いやつは、鼻で息するもんだ。それくらい分かれ」
「・・・・・・っ、はぁ、それくらい、したこと、あ、ります」
「そうか、じゃあ、ちゃんとついてこいよ」
それからまた容赦のない立野の口内を暴れるだけ暴れて、最後は唇の縁を舐め取る。綺麗に食べ切ったのか、満足そうに舌舐めずりをする。
それをやって、恍惚な笑みを浮かべているが、本来は人を選ぶ行為だ。凡人がしても興醒めだが、彼がそれをすると妖艶さが彼の眼を据わらせ、立野にも同じような症状をさせていく。まるで「魅了」されているかのごとく。
心は一条のもとにあることだけは念頭に起きながら、首筋をつぅ、と下が這う。行き着く先に鎖骨があり、噛みつかれた痛みに歪む顔。
「やっぱりそそるな」男のボルテージが上がって、象徴であるイチモツを立野に押し付ける。これが静まるまでは終わらせない、そう暗に伝えているのだ。
男は、さらに興奮を顕にし、無抵抗の立野を好き勝手に弄った。時折流す涙を気にする風でもなく、舐め取るところまでもがエクスタシーを感じてならない。
この虚弱体型な奴を組み敷いているのは俺だ、と。
連休明け、中間考査を控え、授業の内容も試験の要点を押さえた実践的な内容へと変わっていく。四月一日の授業でもそうである。
「今回試験に出す評論もそうだが、基本的に”それ”の指す内容は、直前かそれより前にある。なのに、毎回後ろから引っ張ってくる奴がいるから気をつけろ」
呆れ顔で淡々と要点のみを押さえ、20分もの時間が余ったがそれを有効活用する素振りも見せずに、授業は終わった。
新学期が始まり、2学年の現国の担当が四月一日になってから、クラス内は未だ四月一日のおざなりとも感じられる授業に戸惑いを隠しきれていない。楽は楽だが、このまま己をそのぬるま湯に浸からせてもいいのだろうか、去年の厳しさを鑑みればそう思うのも仕方のないことであった。
自らを律し相手を出し抜いて、成績という数字を取る。そういう一年を過ごしてきた彼らにとって、四月一日の存在は異質そのものでしかない。だが、その授業のやり方を去年もやっていたと言うなら、プラスアルファの部分を自分で補強し数字を取る必要があるだろう。まだ畏怖の念も根強い学年だからこそ、自由を謳わせられるよう一条会長が一般生徒の声を吸い上げる委員会に、とても懇切丁寧な対応を取る。
今回の中間考査が終われば、その結果の統計が一条のもとに届くはずだ。それを公表するもしないも、生徒率いる会長の一存で決定することができるわけだが、一条は公表しない方向で考えている。
自由を感じるのは、席次開示をされることへのプレッシャーを取り除くことから感じることもある。
放課後に部活に少し顔を出して、仕事に戻ってきた大倉は、生徒会室に入るなりいった。「中間考査始まる・・・・・・勉強、勉強しないと。貼り出されちまう」。
頭を抱えてノイローゼを起こしていた。一条は大倉の背中を擦り「先輩、僕が会長ですよ」と事実を明確にする。
それを見ていた立野は、大倉の作り出した緊迫感に、息を呑んだ。勉強の苦手な者へのプレッシャーが物語っている。
一条は続けていう。「僕がその件については掛け合ってみます。だから、僕を信じて」。
その言葉になんとか気を保ち、仕事を他の役員に任せて早めに帰宅した。「立野君、悪いけど大倉先輩が受け持ってた委員会の書類に目を通してくれる?」。
張り詰めた空気を一蹴するかのように、通常業務に戻る役員に呆気に取られながら、助けを求めた一条の指示に従う。
(大倉先輩が言ってたのって、多分、アレのこと・・・・・・でも会長しか知らないデータのはずだから、きっと職員室側から勝手に貼り出されていると思ってるんだろう。だとするなら、会長は席次開示をしない――)
ベッドに移しかえずそのまま床に押し倒される。背中に鈍い痛みが走る。それに気を取られる余裕があったのか、それとも嵐の前の静けさなのか、立野が痛みに顔を歪めていると性急に始まるキスの嵐。それもさっきのあてがうだけのものではない、何かを奪い取るような乱暴で貪る男のキスである。
立野は知らなかった。「――おいおい、キスもしたことなかったのか」窒息寸前の立野に気付いて、軽い笑いをしてそして、またキスを落とす。今度は額に優しく。
「こういう深いやつは、鼻で息するもんだ。それくらい分かれ」
「・・・・・・っ、はぁ、それくらい、したこと、あ、ります」
「そうか、じゃあ、ちゃんとついてこいよ」
それからまた容赦のない立野の口内を暴れるだけ暴れて、最後は唇の縁を舐め取る。綺麗に食べ切ったのか、満足そうに舌舐めずりをする。
それをやって、恍惚な笑みを浮かべているが、本来は人を選ぶ行為だ。凡人がしても興醒めだが、彼がそれをすると妖艶さが彼の眼を据わらせ、立野にも同じような症状をさせていく。まるで「魅了」されているかのごとく。
心は一条のもとにあることだけは念頭に起きながら、首筋をつぅ、と下が這う。行き着く先に鎖骨があり、噛みつかれた痛みに歪む顔。
「やっぱりそそるな」男のボルテージが上がって、象徴であるイチモツを立野に押し付ける。これが静まるまでは終わらせない、そう暗に伝えているのだ。
男は、さらに興奮を顕にし、無抵抗の立野を好き勝手に弄った。時折流す涙を気にする風でもなく、舐め取るところまでもがエクスタシーを感じてならない。
この虚弱体型な奴を組み敷いているのは俺だ、と。
連休明け、中間考査を控え、授業の内容も試験の要点を押さえた実践的な内容へと変わっていく。四月一日の授業でもそうである。
「今回試験に出す評論もそうだが、基本的に”それ”の指す内容は、直前かそれより前にある。なのに、毎回後ろから引っ張ってくる奴がいるから気をつけろ」
呆れ顔で淡々と要点のみを押さえ、20分もの時間が余ったがそれを有効活用する素振りも見せずに、授業は終わった。
新学期が始まり、2学年の現国の担当が四月一日になってから、クラス内は未だ四月一日のおざなりとも感じられる授業に戸惑いを隠しきれていない。楽は楽だが、このまま己をそのぬるま湯に浸からせてもいいのだろうか、去年の厳しさを鑑みればそう思うのも仕方のないことであった。
自らを律し相手を出し抜いて、成績という数字を取る。そういう一年を過ごしてきた彼らにとって、四月一日の存在は異質そのものでしかない。だが、その授業のやり方を去年もやっていたと言うなら、プラスアルファの部分を自分で補強し数字を取る必要があるだろう。まだ畏怖の念も根強い学年だからこそ、自由を謳わせられるよう一条会長が一般生徒の声を吸い上げる委員会に、とても懇切丁寧な対応を取る。
今回の中間考査が終われば、その結果の統計が一条のもとに届くはずだ。それを公表するもしないも、生徒率いる会長の一存で決定することができるわけだが、一条は公表しない方向で考えている。
自由を感じるのは、席次開示をされることへのプレッシャーを取り除くことから感じることもある。
放課後に部活に少し顔を出して、仕事に戻ってきた大倉は、生徒会室に入るなりいった。「中間考査始まる・・・・・・勉強、勉強しないと。貼り出されちまう」。
頭を抱えてノイローゼを起こしていた。一条は大倉の背中を擦り「先輩、僕が会長ですよ」と事実を明確にする。
それを見ていた立野は、大倉の作り出した緊迫感に、息を呑んだ。勉強の苦手な者へのプレッシャーが物語っている。
一条は続けていう。「僕がその件については掛け合ってみます。だから、僕を信じて」。
その言葉になんとか気を保ち、仕事を他の役員に任せて早めに帰宅した。「立野君、悪いけど大倉先輩が受け持ってた委員会の書類に目を通してくれる?」。
張り詰めた空気を一蹴するかのように、通常業務に戻る役員に呆気に取られながら、助けを求めた一条の指示に従う。
(大倉先輩が言ってたのって、多分、アレのこと・・・・・・でも会長しか知らないデータのはずだから、きっと職員室側から勝手に貼り出されていると思ってるんだろう。だとするなら、会長は席次開示をしない――)
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