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2章
73——黒田——
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画像を送信して、数分後。突如として流れる着信に破顔一笑する黒田。
「電話きた!! ちょっと黙ってて!!」興奮して廣田がすぐそばにいるのに、声を大にしていう。
「――もしもし」
応答して、開口一番のクールぶりに、廣田は思わず吹いてしまう。
「連絡遅くなって、ごめんなさい」
「・・・・・・お互い積もる話もあることだし、一旦家で待ってるよ」
「・・・・・・」
「どうした?」
「・・・・・・えっと、グーグル先生の教え虚しく、迷子になっちゃって」
「何してるの?! もう、位置情報の設定をオンにしといて。辿って迎えいくから」
「ごめん、色々ご迷惑おかけしてます・・・・・・」
電話を切って、すぐさま黒田は後悔した。「最初から、この手を使っていれば、俺の心持ちが少しは変わってたじゃなか」。
「それで黒だったら、どうするんだよ」
「・・・・・・うーん、どうすると思う?」
頬を引くつかせて全力でドン引きする廣田。「今いらんこと考えるな。迎えに行ってやれ。どうせ、書類に目は通してあるんだろ?」卓上に置いた書類の束が雑になって束ね直されている。
「うん、一応企画通すものだけ分けてあるから、ソレ以外は全部再考、て言っといて」
「――ふっ、了解」
足早に去っていく黒田を見送ってから、大きな山となっている書類の束を崩し、目を通す。
「仕事ができる奴は、案外何でも無いように両立させてきやがるから、ムカつくんだよな・・・・・・。だからまんまと俺がアイツに抱き込まれたわけなんだけど」
「再考」という返事の仕方も秀逸だと思いながら、廣田も社長室を後にした。
「さ、俺も仕事しよ。社員に負けてらんないわ!!」
会社を出た黒田はスマホを見ながら、田淵の位置情報を確認する。すると、マップに示された点は、自身の現在地から然程離れていない。
社員の情報を網羅している黒田から言わせると、社員の通勤区域付近にポイントが立っていることが不審で仕方ない。
田淵の会社から友人付き合いをするために、遠出をするとは思えなかったので、一抹の不安を掻き立てられつつ車に乗り込んだ。
(・・・・・・)
田淵を見つけるまで、無心で運転し続けた。
「ヒロキさん! どこ座ってるの! 夕方でも冷え込んできてるし近くの店に入っていればよかったのに・・・・・・て、ここらへん何も無かったか」
田淵は入り組んだところにある公園に一人、座っていた。遊具もなければベンチ一つもない、ただの集会所と化している公園。夕方も遅い時間ではあるが子どもの姿が見当たらないので、寂れたところの公園であることは、明白だった。
車幅の関係で、此処へ来る前に車から降りての捜索で、田淵を見つけたときは「迷子の子ども」を見つけた、あの胸を撫で下ろす親の感覚が降りてきたようだった。
「・・・・・・黒田君。迎えに来てくれてありがとう」
感謝を述べる人は俯いて言わない。
やましいことがある人は、俯いて言う。
「・・・・・・これ以上先の話は、家についてからでもできるよね?」
「・・・・・・やっぱり――」
「あのさ」
「俺、仕事放棄して此処に来たんだよね」田淵に会話のターンを譲らせまいと、矢継ぎ早に捲し立てる。
「・・・・・・」
「時間出来たことだし、家でゆっくり話そうよ」
ちっぽけな公園に佇む小さい田淵に距離を詰め、肩を引き寄せて強引に車へと促した。
この体格差で田淵は初めから抵抗することはない。しかし、今は明確な抵抗してはいけない理由で抑圧され、尚も俯いたままだ。
以前は自分から大胆に抱きついてきて、ちょっとしたお誘いもあったというのに。
それがこの変わり様である。
「乗って」
「うん――」
「なんでそっち?」
後部座席に乗り込もうとする田淵の肩を止める。「こっち」。
有無を言わさなように、言葉は少ない。
「・・・・・・ちょっと、今は、隣は・・・・・・」
「乗って」
「・・・・・・」
「乗れ」
(今日のヒロキさん、小賢しさはないけど、しつこいな)
「・・・・・・後ろがいい」
「駄目だ、前に乗れ」
「電話きた!! ちょっと黙ってて!!」興奮して廣田がすぐそばにいるのに、声を大にしていう。
「――もしもし」
応答して、開口一番のクールぶりに、廣田は思わず吹いてしまう。
「連絡遅くなって、ごめんなさい」
「・・・・・・お互い積もる話もあることだし、一旦家で待ってるよ」
「・・・・・・」
「どうした?」
「・・・・・・えっと、グーグル先生の教え虚しく、迷子になっちゃって」
「何してるの?! もう、位置情報の設定をオンにしといて。辿って迎えいくから」
「ごめん、色々ご迷惑おかけしてます・・・・・・」
電話を切って、すぐさま黒田は後悔した。「最初から、この手を使っていれば、俺の心持ちが少しは変わってたじゃなか」。
「それで黒だったら、どうするんだよ」
「・・・・・・うーん、どうすると思う?」
頬を引くつかせて全力でドン引きする廣田。「今いらんこと考えるな。迎えに行ってやれ。どうせ、書類に目は通してあるんだろ?」卓上に置いた書類の束が雑になって束ね直されている。
「うん、一応企画通すものだけ分けてあるから、ソレ以外は全部再考、て言っといて」
「――ふっ、了解」
足早に去っていく黒田を見送ってから、大きな山となっている書類の束を崩し、目を通す。
「仕事ができる奴は、案外何でも無いように両立させてきやがるから、ムカつくんだよな・・・・・・。だからまんまと俺がアイツに抱き込まれたわけなんだけど」
「再考」という返事の仕方も秀逸だと思いながら、廣田も社長室を後にした。
「さ、俺も仕事しよ。社員に負けてらんないわ!!」
会社を出た黒田はスマホを見ながら、田淵の位置情報を確認する。すると、マップに示された点は、自身の現在地から然程離れていない。
社員の情報を網羅している黒田から言わせると、社員の通勤区域付近にポイントが立っていることが不審で仕方ない。
田淵の会社から友人付き合いをするために、遠出をするとは思えなかったので、一抹の不安を掻き立てられつつ車に乗り込んだ。
(・・・・・・)
田淵を見つけるまで、無心で運転し続けた。
「ヒロキさん! どこ座ってるの! 夕方でも冷え込んできてるし近くの店に入っていればよかったのに・・・・・・て、ここらへん何も無かったか」
田淵は入り組んだところにある公園に一人、座っていた。遊具もなければベンチ一つもない、ただの集会所と化している公園。夕方も遅い時間ではあるが子どもの姿が見当たらないので、寂れたところの公園であることは、明白だった。
車幅の関係で、此処へ来る前に車から降りての捜索で、田淵を見つけたときは「迷子の子ども」を見つけた、あの胸を撫で下ろす親の感覚が降りてきたようだった。
「・・・・・・黒田君。迎えに来てくれてありがとう」
感謝を述べる人は俯いて言わない。
やましいことがある人は、俯いて言う。
「・・・・・・これ以上先の話は、家についてからでもできるよね?」
「・・・・・・やっぱり――」
「あのさ」
「俺、仕事放棄して此処に来たんだよね」田淵に会話のターンを譲らせまいと、矢継ぎ早に捲し立てる。
「・・・・・・」
「時間出来たことだし、家でゆっくり話そうよ」
ちっぽけな公園に佇む小さい田淵に距離を詰め、肩を引き寄せて強引に車へと促した。
この体格差で田淵は初めから抵抗することはない。しかし、今は明確な抵抗してはいけない理由で抑圧され、尚も俯いたままだ。
以前は自分から大胆に抱きついてきて、ちょっとしたお誘いもあったというのに。
それがこの変わり様である。
「乗って」
「うん――」
「なんでそっち?」
後部座席に乗り込もうとする田淵の肩を止める。「こっち」。
有無を言わさなように、言葉は少ない。
「・・・・・・ちょっと、今は、隣は・・・・・・」
「乗って」
「・・・・・・」
「乗れ」
(今日のヒロキさん、小賢しさはないけど、しつこいな)
「・・・・・・後ろがいい」
「駄目だ、前に乗れ」
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