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3 呪術師追放後
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ユウナを追い出したゲオルグは、これ以上無いほど上機嫌だった。昼間から酒場に行って、度数が弱いとはいえ発泡酒を呷っている。
(やっと邪魔者がいなくなった! あんな二つの術しか使えない出来損ないなんか、元から不必要だったんだ!)
心の中ではそう言っているが、実際はパーティーメンバーの女性三名が、彼ばかりを頼りにしていたことが心底気に食わなかったのだ。
三人いる女性陣は揃って美人、美少女だ。実力のある———隠しているが容姿も飛び抜けていること———女性ばかりを狙ってしつこく勧誘し続けた結果、色々と融通を利かせることを条件に加入してくれた。
元々女性陣は三人で女性だけのパーティーを組んでおり、それだけでそれなりの成績を残していたので勧誘するのにかなり手間取った。
それでその条件とは、三人が過去に面倒を見てもらった男性を一人加入させることだった。
男一人に女性複数人のハーレムを夢見ていたが、その三人の条件を飲むと言ってしまった手前拒否することができず、それで加入したのがユウナだった。
ユウナ自身、実は一人で七年ほど活動をしており、女性陣三名は過去に色々と戦い方などを教えてもらったことがあるらしい。
三人曰く、限定的過ぎる呪術でも努力を重ねて広い範囲での応用を可能にし、更に冷静な状況分析能力のおかげで最初期の頃はかなり助けられたから、恩返し的な意味も兼ねて指定したとのことだ。
ゲオルグがそれが、吐き出してしまいそうなほど気に食わなかった。
(雑魚呪術師なんか必要無い! 術師ならもっと広く術が使えなきゃ役に立たねぇってのに二つしか使えねぇし、そのくせ女に持て囃される顔をしているからって調子に乗りやがって!)
魔術と呪術は、利用する力の源は全く違うが共通点はいくつかある。
それは、適性ある人間には生まれついて最低でも一つの術式、魔術なら生得魔術、呪術なら生得呪術を持っているということ。
そして生まれ持った術式の内容からどの術に向いているかが把握でき、その方面の教育ができる。
生まれ持った術式が攻撃関連であれば、攻撃魔術特化の魔術師に育てられる。回復系だったら回復魔術師、支援形だったら支援魔術師と、一生の術師人生に大きく影響する。
ユウナは稀な二つの術式を持って生まれたらしいが、その二つだけで全ての容量を使い果たしているかのように、他の呪術を覚えることができない。
これはいわゆる欠陥で、見下される傾向にある。ゲオルグもまた、欠陥を抱えるユウナのことを見下していた。
「あれ、ユウナ先生は?」
「いつもここにいるのに、おかしいなー」
「今日はたくさんの魔物に囲まれた時の対処法とか、詳しく教えて欲しかったのに」
三杯目の発泡酒を注文したところで、女性陣三名が酒場にやってくる。
いつ見ても美人、美少女揃いだ。これからは余計な男を視界に収めることなく、白髪高身長スレンダーに黒髪眼鏡っ娘巨乳、金髪清楚系美少女を拝むことができると思い、鼻の下を伸ばす。
「あぁ、あいつなら出て行った」
「はぁ!? 先生が出て行った!? なんで!?」
ユウナのことを先生と呼んで慕う白髪スレンダーの美女アリシアは、ゲオルグの言葉が信じられずに大きな声を出してしまう。
「もう面倒が見きれないんだとさ。お前たち、分からないことがあったらなんでもあいつに頼っていたじゃないか」
「そ、それは先生がなんでも好きな時に好きなだけ聞いてもいいって言っていたから……」
金髪清楚系の美少女リリアは、二つの呪術しか使えないのに幅広い知識を持っているユウナを尊敬し、新しいことを教えてもらうことが嬉しくて仕方が無かった。なので、三人の中で最もユウナに質問を繰り返していた。
「ありえない。ユウ先生は確かに生得呪術しか使えないけど、数が少ない分それだけを極めたすごい人。自分の呪術と似た系統の魔術を広く研究しているし、自分でも超が付くお節介焼きって言ってたから、面倒を見きれなくなって出て行くなんてあるはずがない」
黒髪眼鏡っ娘のリンが、疑わしい目を向けながら言う。リンもまた呪術師だが、遅延・阻害といった弱体化系の呪術専門だ。
あまり戦闘には役に立たないと思っていたが、ユウナと出会い魔術からヒントを得ることで術式の幅が広がり、敏腕弱体特化呪術師となった。
三人が三人、ユウナのことを先生と慕う。恩返しをしたいから呼んだということもあってか、突然抜けたと言われてかなりショックを受けているようだ。
「面倒を見きれないのもそうだが、やはりというか劣等感を感じていたらしいぞ? 同じ術師なのに、生得呪術以外何も使えないのに対して、お前たちはあいつが教えたことをスポンジのように吸収する。自分にできないことを目の前でやられてみろ。普段温厚なあいつでも、劣等感や嫉妬心くらい抱く」
悪びれも無く嘘を伝えるゲオルグ。ここで素直に追い出したなんて言ってしまえば、この三人は速攻でこのパーティーを抜けてゆうなを追いかけて行くだろう。それだけは避けたい。
ゲオルグの目的は一つ。アリシアたち三名の尊敬の眼差しを自分に向けさせて従順な女にして、好きなようにして最高のハーレムライフを送ること。
どんな強い女でも、危機一髪のところで助けられればその時の動悸を恋のものと勘違いする。
それを何度も重ねていけば、いずれピンチの時に助けてくれるのはゲオルグだと認識して、頼るようになる。そんなお粗末な計画を、頭の中で思い浮かべている。
「所詮あいつは、才能のない凡人だ。比べてお前たちは、次々と後得こうとく魔術、後得呪術を習得している。世の中生きていけるのは、優れた才能を生まれ持った人間だけなのだろうな」
意気消沈といった様子の女性三人に言うが、それは届かなかった。
アリシアとリリアはただ、なんでも知っているユウナから様々なことを教えてもらうことが楽しくて嬉しくて仕方がなかっただけだったのに、教えてもらって次々と習得していったことが彼を傷付けていたのかと思い、目尻に涙を浮かべる。
唯一リンは、ゲオルグの言葉に疑問を強く抱いていたが、今この場に当の本人がいないので真偽の確かめようも無く、ゲオルグの完全独断で勝手に追い出したのか、もしかしたら本当に自分たちに嫌気がさして出ていったのではないかと考えを巡らす。
結局アリシアたちはその場のゲオルグの言葉を一旦信じるしかなく、落ち込んだ気分のままその場を後にした。
(やっと邪魔者がいなくなった! あんな二つの術しか使えない出来損ないなんか、元から不必要だったんだ!)
心の中ではそう言っているが、実際はパーティーメンバーの女性三名が、彼ばかりを頼りにしていたことが心底気に食わなかったのだ。
三人いる女性陣は揃って美人、美少女だ。実力のある———隠しているが容姿も飛び抜けていること———女性ばかりを狙ってしつこく勧誘し続けた結果、色々と融通を利かせることを条件に加入してくれた。
元々女性陣は三人で女性だけのパーティーを組んでおり、それだけでそれなりの成績を残していたので勧誘するのにかなり手間取った。
それでその条件とは、三人が過去に面倒を見てもらった男性を一人加入させることだった。
男一人に女性複数人のハーレムを夢見ていたが、その三人の条件を飲むと言ってしまった手前拒否することができず、それで加入したのがユウナだった。
ユウナ自身、実は一人で七年ほど活動をしており、女性陣三名は過去に色々と戦い方などを教えてもらったことがあるらしい。
三人曰く、限定的過ぎる呪術でも努力を重ねて広い範囲での応用を可能にし、更に冷静な状況分析能力のおかげで最初期の頃はかなり助けられたから、恩返し的な意味も兼ねて指定したとのことだ。
ゲオルグがそれが、吐き出してしまいそうなほど気に食わなかった。
(雑魚呪術師なんか必要無い! 術師ならもっと広く術が使えなきゃ役に立たねぇってのに二つしか使えねぇし、そのくせ女に持て囃される顔をしているからって調子に乗りやがって!)
魔術と呪術は、利用する力の源は全く違うが共通点はいくつかある。
それは、適性ある人間には生まれついて最低でも一つの術式、魔術なら生得魔術、呪術なら生得呪術を持っているということ。
そして生まれ持った術式の内容からどの術に向いているかが把握でき、その方面の教育ができる。
生まれ持った術式が攻撃関連であれば、攻撃魔術特化の魔術師に育てられる。回復系だったら回復魔術師、支援形だったら支援魔術師と、一生の術師人生に大きく影響する。
ユウナは稀な二つの術式を持って生まれたらしいが、その二つだけで全ての容量を使い果たしているかのように、他の呪術を覚えることができない。
これはいわゆる欠陥で、見下される傾向にある。ゲオルグもまた、欠陥を抱えるユウナのことを見下していた。
「あれ、ユウナ先生は?」
「いつもここにいるのに、おかしいなー」
「今日はたくさんの魔物に囲まれた時の対処法とか、詳しく教えて欲しかったのに」
三杯目の発泡酒を注文したところで、女性陣三名が酒場にやってくる。
いつ見ても美人、美少女揃いだ。これからは余計な男を視界に収めることなく、白髪高身長スレンダーに黒髪眼鏡っ娘巨乳、金髪清楚系美少女を拝むことができると思い、鼻の下を伸ばす。
「あぁ、あいつなら出て行った」
「はぁ!? 先生が出て行った!? なんで!?」
ユウナのことを先生と呼んで慕う白髪スレンダーの美女アリシアは、ゲオルグの言葉が信じられずに大きな声を出してしまう。
「もう面倒が見きれないんだとさ。お前たち、分からないことがあったらなんでもあいつに頼っていたじゃないか」
「そ、それは先生がなんでも好きな時に好きなだけ聞いてもいいって言っていたから……」
金髪清楚系の美少女リリアは、二つの呪術しか使えないのに幅広い知識を持っているユウナを尊敬し、新しいことを教えてもらうことが嬉しくて仕方が無かった。なので、三人の中で最もユウナに質問を繰り返していた。
「ありえない。ユウ先生は確かに生得呪術しか使えないけど、数が少ない分それだけを極めたすごい人。自分の呪術と似た系統の魔術を広く研究しているし、自分でも超が付くお節介焼きって言ってたから、面倒を見きれなくなって出て行くなんてあるはずがない」
黒髪眼鏡っ娘のリンが、疑わしい目を向けながら言う。リンもまた呪術師だが、遅延・阻害といった弱体化系の呪術専門だ。
あまり戦闘には役に立たないと思っていたが、ユウナと出会い魔術からヒントを得ることで術式の幅が広がり、敏腕弱体特化呪術師となった。
三人が三人、ユウナのことを先生と慕う。恩返しをしたいから呼んだということもあってか、突然抜けたと言われてかなりショックを受けているようだ。
「面倒を見きれないのもそうだが、やはりというか劣等感を感じていたらしいぞ? 同じ術師なのに、生得呪術以外何も使えないのに対して、お前たちはあいつが教えたことをスポンジのように吸収する。自分にできないことを目の前でやられてみろ。普段温厚なあいつでも、劣等感や嫉妬心くらい抱く」
悪びれも無く嘘を伝えるゲオルグ。ここで素直に追い出したなんて言ってしまえば、この三人は速攻でこのパーティーを抜けてゆうなを追いかけて行くだろう。それだけは避けたい。
ゲオルグの目的は一つ。アリシアたち三名の尊敬の眼差しを自分に向けさせて従順な女にして、好きなようにして最高のハーレムライフを送ること。
どんな強い女でも、危機一髪のところで助けられればその時の動悸を恋のものと勘違いする。
それを何度も重ねていけば、いずれピンチの時に助けてくれるのはゲオルグだと認識して、頼るようになる。そんなお粗末な計画を、頭の中で思い浮かべている。
「所詮あいつは、才能のない凡人だ。比べてお前たちは、次々と後得こうとく魔術、後得呪術を習得している。世の中生きていけるのは、優れた才能を生まれ持った人間だけなのだろうな」
意気消沈といった様子の女性三人に言うが、それは届かなかった。
アリシアとリリアはただ、なんでも知っているユウナから様々なことを教えてもらうことが楽しくて嬉しくて仕方がなかっただけだったのに、教えてもらって次々と習得していったことが彼を傷付けていたのかと思い、目尻に涙を浮かべる。
唯一リンは、ゲオルグの言葉に疑問を強く抱いていたが、今この場に当の本人がいないので真偽の確かめようも無く、ゲオルグの完全独断で勝手に追い出したのか、もしかしたら本当に自分たちに嫌気がさして出ていったのではないかと考えを巡らす。
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