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鉄の橋と石の駅 ~みのり~
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ここは宇宙の片隅のどこかにあるレトロな喫茶店。
いつもカウンターの端の席にいる白髪の男の姿が今日はありません。でもそれは珍しいことではありません。仕事なのか、はたまた観光なのかはわかりませんがミドルはふらっと姿を消してしまいます。
昨日、ミドルはこんなことを言っていました
「決着の地を見て来る」
どうやら大河ドラマの話しをしていたので、行き先はあの辺りということでしょう。
ミドルは地球に来てから40年以上静岡県の沼津という街で暮らしていました。隣の清水町の黄瀬川八幡神社は頼朝、義経兄弟が対面した場所です。
私はミカン星人の特殊能力のひとつである【衛星中継】を使ってミドルの後を追ってみました。
-------------------------------------------------
本州と九州は関門海峡で隔てられています。
その離れた陸を大きな鉄の橋【関門橋】が繋いでいます。
「おーい、みのりさん!ひさしぶり!」
「あー、ミドル。相変わらず元気そうね。最近は名言のキレ味が落ちてるみたいだけどずっと覚えてるよ」
「名言? 俺、なにか言ったかな?」
「小さなことは気にしない…」
「なんか普通だな、誰でも言いそうだけど」
「ミドルはその後が面白いのよ」
「ああ、そうだったな。『小さなことは気にしない、大きなことはわからない』」
「その通り!」
去年、買ったばかりのクロスカブに乗ってGRAVITYを訪れたみのりさんでしたが免許も取り直してホンダ レブルに乗り換えたようですが今日はミドルに合わせて電車で来ています。
「俺、思いっきり勘違いしてたんだけど、壇ノ浦も巌流島も関門海峡の一番狭いあたりだからすっかり九州だと思ってたよ」
「まあまあ、小さなことは気にしない!歩いて行けばいいじゃないか!」
「えっ、この橋って自動車専用の高速じゃないの?」
「上がダメなら下がある」
「下ってトンネル?」
「新幹線の新関門トンネルと電車の関門トンネルと国道2号線の関門トンネルがあって、国道のトンネルは歩いて渡れるの、15分ぐらいだから歩こうよ」
お2人はエレベーターで海底トンネルに下りて歩いて山口県下関市に渡りました。
「海底トンネルを歩いたのは初めてだ。いくつになっても初めての体験っていいもんだなあ。おまけにトンネルならみのりさんの後ろをついて行っても迷子になる心配はない」
「まあ失礼ね。お互いに集団行動できないタイプだからこのぐらいがちょうどいいね。ミドルは壇ノ浦も初めてなの?」
「そんなことないなあ、車では何回か来てるけど今回の大河ドラマの義経があまりにもぶっ飛んでるから急に来てみたくなったんだ」
「確かにちょっとイケイケな義経よね。あれじゃあ兄貴に嫌われちゃう。ねえ、赤間神宮の前に素敵なカフェがあるから冷たいもの飲もうよ」
「歩いたから糖分も補給しようよ。コーヒーフロート」
「大賛成!でもお参りしてからね」
赤間神宮は壇ノ浦の戦いで海に沈んだ幼い帝【安徳天皇】を祭神とし、平家一門の墓や小泉八雲の怪談【耳なし芳一】の木像も祭られている厳かな神宮です。道を渡ると目の前に旅館をリノベーションしたカフェ&ゲストハウスがあって海峡を眺めながら食事ができます。
揃ってコーヒーフロートを飲みながら
「ねえ、ミドルって今日どうやって来たの?」
「新幹線。うちからここまで乗換たったの2回だぜ。始発で出れば午前中には着くよ」
「広いようで狭いんだね、日本」
「それでも東京とここだと日の出の時間もかなり違うんだろうな」
実際に今日の日の出は東京が4時40分、福岡は5時20分と40分も違いがあります。新幹線で移動していると、太陽の角度があまり変わらないように感じることがあるのはそのせいでしょうか。
「そう言えば、門司港の駅、きれいになってたね。前回来たのは2016年だったから仮駅舎だった感じがする」
「19年に完全にリニューアルしたのよ。周りの倉庫のレトロな雰囲気とぴったりでしょ。この駅はこの街の中心で宝物よ。石と煉瓦の建物がたくさんあって明治時代みたいな雰囲気でしょ」
「門司は駅が宝物なら、小倉はお城が宝物だね?」
「小倉にはあと2つ宝物があるの」
「2つ? 1つはわかったシロヤベーカリーのオムレットとサニーパン。もう1つは?」
「ぷらっとぴっと!」
「なんだか海外のイケメン俳優みたいだな。ん?なんか駅の改札の前で見たぞ。お弁当屋さんだ」
「在来線のホームには立ち食いうどんもあるのよ」
その日の夕方、ミドルは小倉駅で新幹線に乗る前にぷらっとぴっとで名物のかしわうどんをいただいたようです。
ミドルのお帰りをお待ちしています。
いつもカウンターの端の席にいる白髪の男の姿が今日はありません。でもそれは珍しいことではありません。仕事なのか、はたまた観光なのかはわかりませんがミドルはふらっと姿を消してしまいます。
昨日、ミドルはこんなことを言っていました
「決着の地を見て来る」
どうやら大河ドラマの話しをしていたので、行き先はあの辺りということでしょう。
ミドルは地球に来てから40年以上静岡県の沼津という街で暮らしていました。隣の清水町の黄瀬川八幡神社は頼朝、義経兄弟が対面した場所です。
私はミカン星人の特殊能力のひとつである【衛星中継】を使ってミドルの後を追ってみました。
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本州と九州は関門海峡で隔てられています。
その離れた陸を大きな鉄の橋【関門橋】が繋いでいます。
「おーい、みのりさん!ひさしぶり!」
「あー、ミドル。相変わらず元気そうね。最近は名言のキレ味が落ちてるみたいだけどずっと覚えてるよ」
「名言? 俺、なにか言ったかな?」
「小さなことは気にしない…」
「なんか普通だな、誰でも言いそうだけど」
「ミドルはその後が面白いのよ」
「ああ、そうだったな。『小さなことは気にしない、大きなことはわからない』」
「その通り!」
去年、買ったばかりのクロスカブに乗ってGRAVITYを訪れたみのりさんでしたが免許も取り直してホンダ レブルに乗り換えたようですが今日はミドルに合わせて電車で来ています。
「俺、思いっきり勘違いしてたんだけど、壇ノ浦も巌流島も関門海峡の一番狭いあたりだからすっかり九州だと思ってたよ」
「まあまあ、小さなことは気にしない!歩いて行けばいいじゃないか!」
「えっ、この橋って自動車専用の高速じゃないの?」
「上がダメなら下がある」
「下ってトンネル?」
「新幹線の新関門トンネルと電車の関門トンネルと国道2号線の関門トンネルがあって、国道のトンネルは歩いて渡れるの、15分ぐらいだから歩こうよ」
お2人はエレベーターで海底トンネルに下りて歩いて山口県下関市に渡りました。
「海底トンネルを歩いたのは初めてだ。いくつになっても初めての体験っていいもんだなあ。おまけにトンネルならみのりさんの後ろをついて行っても迷子になる心配はない」
「まあ失礼ね。お互いに集団行動できないタイプだからこのぐらいがちょうどいいね。ミドルは壇ノ浦も初めてなの?」
「そんなことないなあ、車では何回か来てるけど今回の大河ドラマの義経があまりにもぶっ飛んでるから急に来てみたくなったんだ」
「確かにちょっとイケイケな義経よね。あれじゃあ兄貴に嫌われちゃう。ねえ、赤間神宮の前に素敵なカフェがあるから冷たいもの飲もうよ」
「歩いたから糖分も補給しようよ。コーヒーフロート」
「大賛成!でもお参りしてからね」
赤間神宮は壇ノ浦の戦いで海に沈んだ幼い帝【安徳天皇】を祭神とし、平家一門の墓や小泉八雲の怪談【耳なし芳一】の木像も祭られている厳かな神宮です。道を渡ると目の前に旅館をリノベーションしたカフェ&ゲストハウスがあって海峡を眺めながら食事ができます。
揃ってコーヒーフロートを飲みながら
「ねえ、ミドルって今日どうやって来たの?」
「新幹線。うちからここまで乗換たったの2回だぜ。始発で出れば午前中には着くよ」
「広いようで狭いんだね、日本」
「それでも東京とここだと日の出の時間もかなり違うんだろうな」
実際に今日の日の出は東京が4時40分、福岡は5時20分と40分も違いがあります。新幹線で移動していると、太陽の角度があまり変わらないように感じることがあるのはそのせいでしょうか。
「そう言えば、門司港の駅、きれいになってたね。前回来たのは2016年だったから仮駅舎だった感じがする」
「19年に完全にリニューアルしたのよ。周りの倉庫のレトロな雰囲気とぴったりでしょ。この駅はこの街の中心で宝物よ。石と煉瓦の建物がたくさんあって明治時代みたいな雰囲気でしょ」
「門司は駅が宝物なら、小倉はお城が宝物だね?」
「小倉にはあと2つ宝物があるの」
「2つ? 1つはわかったシロヤベーカリーのオムレットとサニーパン。もう1つは?」
「ぷらっとぴっと!」
「なんだか海外のイケメン俳優みたいだな。ん?なんか駅の改札の前で見たぞ。お弁当屋さんだ」
「在来線のホームには立ち食いうどんもあるのよ」
その日の夕方、ミドルは小倉駅で新幹線に乗る前にぷらっとぴっとで名物のかしわうどんをいただいたようです。
ミドルのお帰りをお待ちしています。
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