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第七話 ボディガード
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ガラッと扉が開くとスーツ姿の女性が立っていた。αともβともΩでもない、何も匂わない不思議な女が出てきたのだ。まるで訓練されたようにピシと立ったままの状態で陣の後ろに居た。
「兄さん?その人は?」
「ちょっと特殊な人物でね。気づいているだろうが、αもβでもΩでもない。今までにないタイプの人間とも言えるが彼女は、それで護衛を任されることが多いんだよ。発情期でも同じ部屋に居ても問題はない」
「いやよ!たかちゃんの部屋に女なんて入れるなんて!」
「はい最後まで話を聞く」
ベシッとチョップをかまされて圭太は立ち上がって異論していたところを座った。そして彼女を睨みつけるが彼女は無表情で、どこを見ているか分からないが整った顔立ちである。圭太は番である隆を取られまいか不安になるが、逆に自分が襲ってしまっている以上、何も言えない。
「彼女には学校と出先だけだ。数値が下がれば彼女も居なくなる。お前も気楽に接していい」
目覚めると隆はカーテンに囲われたベッドの中に居た。点滴をされた状態で少しだけ発情しているのか息が荒い。何をしてたんだっけ?と考えると、あぁ圭太と弁当を食べようとして・・・
「ふざけるな!!」
いきなり奇声のように叫んだ。思いだしたのは圭太を求める自分自身だ。番だと言われても納得はいかない!!圭太が嫌いなわけではない!!何故!圭太なのだと思う。
女性なら納得するというわけでもないが、自分がβなら良かったと思うだけで、それだけで圭太とも普通に過ごせただろうと項垂れる。
「いきなり奇声をあげるなよぉ・・先生めぇさめたじゃぁ・・・ふぁぁぁ」
ガスマスクをした保険医が眠たそうにカーテンを開けると、血圧と採血、点滴を外してくれた。丁度、点滴が外す時間だったらしい。
「俺は・・・?」
「んぁ?発情しながらぁ・・・入って来た・・・、よく襲われなかったなぁ・・・。俺も初めはヤバかった・・ふぁぁー」
あくびを連続にしながら保険院は点滴を外し、己のガスマスクも外した。机に突っ伏していたのかガスマスクの跡が付いている。
「無意識に人が通らないところに行ったのかなぁ・・・。陣が居てくれて良かったよ・・・。どうせ初日からヤバいだろうって見張っててくれて、睡眠妨害されてた」
寝てたかったのか、不満そうに片づけをする保険医は微かに甘い匂いはするもののαではないと思った。どうやら隆は匂いは嗅ぎ分けられるようにはなっているようだ。
「でぇ・・・沢田と番になるのは、三年後?それまで辛くないか?」
「俺は認めません!俺は認めない!!」
カリカリとメモのようなものを書き記す保険医は、真剣な面持ちになっており隆の話を聞いていた。さっきとは別人のように思われるが、時折あくびをするので無理矢理かなとも思った。
「けどなぁ・・・運命の番を見つけないと、襲われるぞ?」
「そういう先生は、どうなんですか?」
チラッと隆の方に視線を向けると、隆の視線は左手の薬指に向けられている。まぁ、隠すつもりもなかったしと保険医は手のひらを揺らしながら。
「俺も既婚者、相手はαあぁ勘違いするなよ?俺はβだった」
「だった?」
βが変化することがあるのだろうかと、疑問が顔に向けられていたのか保険医は、めんどくさそうに
「αに毎日頸を軽く噛まれると少なくとも一年でΩになる。しかも番」
「は?」
「馬鹿なのなー。こんなの番にしたところで何の得があるんだかなぁ・・・・ふぁぁ・・・」
βだったとしても、αに軽く毎日噛まれるだけでΩに変身とは、奇妙な話であるが・・・逆に考える。
もしもβだったとしても圭太が知っていたならば、実行していたかもしれないし自分もじゃれているだけだと放置していたかもしれない。正直に言おう、ゾッとした。
扉が開き女性を連れた陣が現れた。後ろに立つ女性は無表情で何を考えているか分からないので少し怖くも思える。が、陣がニコニコとしているので聞かずとも答えてくれるだろうと待っていると
「今日から、お前のボディガードだ」
「へ?けど、その人・・・」
「うん、よく気づいたな。この人にはαもΩも、βも関係ないんだ。だから安心しろ。ちなみに学校では教師として潜伏してもらい、家に着くまでの道のりも彼女がやってくれる」
「あの・・・圭太は?」
「何?また襲われたいの?」
「俺は番とは認めません」
「三年間操を守ってなー」
奇妙な女性とのボディガード生活が始まる。
「兄さん?その人は?」
「ちょっと特殊な人物でね。気づいているだろうが、αもβでもΩでもない。今までにないタイプの人間とも言えるが彼女は、それで護衛を任されることが多いんだよ。発情期でも同じ部屋に居ても問題はない」
「いやよ!たかちゃんの部屋に女なんて入れるなんて!」
「はい最後まで話を聞く」
ベシッとチョップをかまされて圭太は立ち上がって異論していたところを座った。そして彼女を睨みつけるが彼女は無表情で、どこを見ているか分からないが整った顔立ちである。圭太は番である隆を取られまいか不安になるが、逆に自分が襲ってしまっている以上、何も言えない。
「彼女には学校と出先だけだ。数値が下がれば彼女も居なくなる。お前も気楽に接していい」
目覚めると隆はカーテンに囲われたベッドの中に居た。点滴をされた状態で少しだけ発情しているのか息が荒い。何をしてたんだっけ?と考えると、あぁ圭太と弁当を食べようとして・・・
「ふざけるな!!」
いきなり奇声のように叫んだ。思いだしたのは圭太を求める自分自身だ。番だと言われても納得はいかない!!圭太が嫌いなわけではない!!何故!圭太なのだと思う。
女性なら納得するというわけでもないが、自分がβなら良かったと思うだけで、それだけで圭太とも普通に過ごせただろうと項垂れる。
「いきなり奇声をあげるなよぉ・・先生めぇさめたじゃぁ・・・ふぁぁぁ」
ガスマスクをした保険医が眠たそうにカーテンを開けると、血圧と採血、点滴を外してくれた。丁度、点滴が外す時間だったらしい。
「俺は・・・?」
「んぁ?発情しながらぁ・・・入って来た・・・、よく襲われなかったなぁ・・・。俺も初めはヤバかった・・ふぁぁー」
あくびを連続にしながら保険院は点滴を外し、己のガスマスクも外した。机に突っ伏していたのかガスマスクの跡が付いている。
「無意識に人が通らないところに行ったのかなぁ・・・。陣が居てくれて良かったよ・・・。どうせ初日からヤバいだろうって見張っててくれて、睡眠妨害されてた」
寝てたかったのか、不満そうに片づけをする保険医は微かに甘い匂いはするもののαではないと思った。どうやら隆は匂いは嗅ぎ分けられるようにはなっているようだ。
「でぇ・・・沢田と番になるのは、三年後?それまで辛くないか?」
「俺は認めません!俺は認めない!!」
カリカリとメモのようなものを書き記す保険医は、真剣な面持ちになっており隆の話を聞いていた。さっきとは別人のように思われるが、時折あくびをするので無理矢理かなとも思った。
「けどなぁ・・・運命の番を見つけないと、襲われるぞ?」
「そういう先生は、どうなんですか?」
チラッと隆の方に視線を向けると、隆の視線は左手の薬指に向けられている。まぁ、隠すつもりもなかったしと保険医は手のひらを揺らしながら。
「俺も既婚者、相手はαあぁ勘違いするなよ?俺はβだった」
「だった?」
βが変化することがあるのだろうかと、疑問が顔に向けられていたのか保険医は、めんどくさそうに
「αに毎日頸を軽く噛まれると少なくとも一年でΩになる。しかも番」
「は?」
「馬鹿なのなー。こんなの番にしたところで何の得があるんだかなぁ・・・・ふぁぁ・・・」
βだったとしても、αに軽く毎日噛まれるだけでΩに変身とは、奇妙な話であるが・・・逆に考える。
もしもβだったとしても圭太が知っていたならば、実行していたかもしれないし自分もじゃれているだけだと放置していたかもしれない。正直に言おう、ゾッとした。
扉が開き女性を連れた陣が現れた。後ろに立つ女性は無表情で何を考えているか分からないので少し怖くも思える。が、陣がニコニコとしているので聞かずとも答えてくれるだろうと待っていると
「今日から、お前のボディガードだ」
「へ?けど、その人・・・」
「うん、よく気づいたな。この人にはαもΩも、βも関係ないんだ。だから安心しろ。ちなみに学校では教師として潜伏してもらい、家に着くまでの道のりも彼女がやってくれる」
「あの・・・圭太は?」
「何?また襲われたいの?」
「俺は番とは認めません」
「三年間操を守ってなー」
奇妙な女性とのボディガード生活が始まる。
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