あいつが俺の番なわけない

嵯乃恭介

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第八話 嫉妬と安心

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家に帰ると父も母もボディーガードの説明を受けていたのか、すんなりとボディガードの女性を受け入れた。安心もあり、彼女の特異体質の事も聞いたのであろう。

 「えっと、なんとお呼びすればいいのかしら?」

 「私は加納理恵と申します」

 「加納さんは、何故αでもβでもないのかね?」

 「生まれつきです」

父と母の質問攻めになっているが淡々と答える彼女は本当に本音で語っているようだった。だが問題はこれからだ。圭太も話に聞いているだろうが、きっと嫉妬するに違いないだろう。
睡眠時になり、隆は課題を済ませて眠りに入ろうとすると、加納が点滴をもってやってきた。そういえば点滴をしにいくのを忘れていたし、学校でしてきたので大丈夫だと思っていた。

 「貴方はΩとして、数値が高すぎるため、寝ている間にも少しだけ点滴をさせていただきます」

 「あ、そういう事でしたか。てっきり学校の帰りにしなかったからと思いました」

 「それもありますが、薬の後にも点滴をすることになっております」

うーわ、どんだけ薬漬けだよ!!とまぁ思っていたが、落ち着くまでは仕方のないことだと諦めることにする。腕にチクリと刺されて加納は出て行き、俺は点滴を見上がながら眠る。睡眠効果もあるのか眠たくなってきたのだ。



 
その頃、圭太は感触が忘れられないのか、自分の唇をプニプニと触っていた。
 やわらかかった、それに甘くて全部食べたくなるほどの魅力的な、あの艶顔の隆の顔が忘れられない。けれど悔しいのは、これからボディガードが女であり、αでもβでもΩでもない女。気が狂うかと思った。
 もしも隆がその女を気に入って付き合いだしたとしたら?この三種類の匂いを持たない彼女となら普通に生活は遅れるかもしれないけれど!!!!隆を取られたくない。
 ソファーで天井を見上げていると、陣が入ってきて圭太のだらけた姿にビックリして一歩下がった。

 「何やってんだ?」
  
 「なんでもないわ・・・」

 「ボディガードの彼女の事を考えてるんだろ?あの子は、あの子で可哀そうなんだよ。三年間だけ、待てよ」

可哀そうとは一体どういうことかと首を傾げると、それを分かったのか陣はコーヒーのカップを机に置き、対面するように座ると真剣な面持ちになり、今まで何度か見てきたが今回は何やら悲しげにも見えた。

 「αでもβでもΩじゃないと・・・運命の番なんて見つからないだろう?検査をすると彼女には子宮もないんだ・・・女として見れないと言って家族とも縁を切られ、施設でのボディーガードとしての訓練を受けていたというわけだ」

 「そんな・・・でも!私は許さないわよ!たかちゃんの傍に居るのは私なのよぉぉぉ!」

言っても無駄だと陣は諦めた。
 かと言って彼女の事をこれ以上いう訳にも行かないと思う。
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