あいつが俺の番なわけない

嵯乃恭介

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第二十三話 少しだけ罪悪感がありました

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施設に入れられた雷の脳波を調べ、過去の詳細などを調べ上げられる。ガラス越しでも武は怯えている状態で四人の後ろから見ていた。番の双子にしては本当に性格が違うのか、番の方の蓮という人物も同じような性格だったのかは不明だ。
 検査を一通り終えたか、陣が出てきた。陣は難しい顔をしながら五人の居るガラス越しで雷の様子が見える場所に行くが、場所を変えて会議室のようなところに移動した。ペラっと一枚の紙を机の上に置き、大きなため息を吐き捨てる。

 「武・・・、お前の番もだろ?お前を番にしたことで安定して穏やかな性格になったんだろ?」

武は言いづらそうにするが、静かにうなづいた。
 話をすれば二人は「竜の逆鱗」と呼ばれており、怒らせると何をするか分からないくらい気性がアンバランスだったらしい。当然のごとくだが、二人を怒らせないように周りも常に警戒しつつ穏やかにしていたが、武のΩの匂いで周りがざわつき始め、二人はお互いに殴り合いをし、どちらかが死ぬかもしれないと思うくらいの喧嘩だったらしい。
 そして武が止めに入り、選んだのが昔から助けてもらっていた蓮との接触だったらしい。
 その分、嫌がるのは当然だが、二人のどちらかが死んでも嫌だと思った結果の事だ。蓮は許しを得てニコニコとしながら嫌がる武にモーションをかけていたわけだが、逆に雷の方は気性が激しくなり学校から姿を消したと説明を受けた。
 
 「で、正式に番になった武と蓮は、一緒に暮らしてたけど・・・まぁ知っての通りだな。どこで聞いたのか雷君が来た訳だ。まぁ連絡は行ったんだろうね。ここまで探し当てるのは凄いと思うよ?」

 「そうねぇ、私も一卵性で双子だったら兄であろうが殺してでも、たかちゃん捕まえるつもりよ~」

隆と目が合って、パチンとウィンクをされて思わず視線を外し、武に向けると青ざめていた。番の双子の弟、しかも番になる可能性があった相手に対して、今の状態を聞かされて武の頭の中は、きっと混乱しているだろう。
 それでも兄の蓮を忘れられないと判っている。いきなり弟に乗り換えろとは言えないし、本人も変える気がないだろう。
 陣は一つの提案をすることにする。

 「武君、少しずつでも良いから雷君の話し相手になってくれないか?もちろん拘束はしておくし、手出しできないようにはしておくし」

 「え・・・。ら・・雷のリハビリなら・・」

 「気性が激しい状態で、周りをウロウロされたりしたら怖いだろうし、いつまでも施設で居てもらっても困るし。ここはフェロモンがキツイΩやαの為の施設だからね。いつまでも預かるわけにはいかないんだよ」

武は申し訳なさそうな顔をしながら、わかりましたと頷いた。それを聞いた陣は手続きの為に出て行く。

 「大丈夫なのか?」

 「せやで。あんたの番の気性の激しさは判ったけど、それを背負う必要はあるんか?絶対後悔するで?」

 「まぁまぁ、二人ともαにも耐えがたいのよ?どうやってでも捕まえたい気持ちがね?」

その時、隆と圭太は目が合い圭太は今までにない少しだけ悲しげな顔をしていた。
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