29 / 32
第二十八話
しおりを挟む
隆は電話より圭太の顔を見たいと思って施設に向かうと、妊夫の男性が道で蹲っていたので声を掛けると妊夫は、どうやら陣痛だということが判ったので、慌ててタクシーを拾って一緒についっていった。
そして病院につくと、すぐに出産準備に入り何故か隆も中に入り妊夫の男の手を握ることを言われて握りながら出産に立ち合うことになっていることになってしまった。
そして数時間後、声を掛けていた隆も疲れ切っていたが命の誕生に感動して涙が零れた。抱きかかえられているのは女の子だが、元気な泣き声で部屋の外まで聞こえているんじゃないだろうか?
「ありがとう、君がいなかったら・・・この子は死んでいたよ。僕もね」
「いえ、でも俺が立ち合ってしまって、旦那さんに悪い事をしましたね」
「あはは。そうでもないさ、まぁけど絶対立ち合うんだーと言っていたけどね。居ないんだから仕方ないよ」
と、そこに慌てた様子で着替えて入ってくる男が入って来た。
「あ、遅いよバーカ」
「これ・・でも・・・はぁはぁ・・・いそいだほうだ」
どうやら旦那さんの登場のようだ。
「君が助けてくれたのか?ありがとう、・・・ん?」
生まれてきた赤子を抱きかかえながら旦那は隆の方をジッと見てきた。
「田中隆君じゃないか?」
「え?なんで俺の名前・・・」
「知ってるの?」
「ほら君の番が窓ガラス割った施設の職員だよ。今は陣さんの代わりに働いてくれているけど」
「不思議な縁ですね。けれどあの施設で匂いとか判りませんけど・・・」
「防護服や薬もあるけどね、番以外には滅多にヒートにはならないようになってるはずだが?」
「確かに防護服を着てましたね。けど陣さんは?」
「あの人か、あの人は常に薬で制御してたけれど恐らく反動があって番のΩには見ただけでも発情するんじゃないかな?」
ふと、太田の顔が浮かんだ。保健室で倒れている時に襲われていたのを思い出すと太田が巣作りに入ったらすごいことになるのではないだろうか?と思ってしまい、何も聞けないが・・・
「えっと田中君だっけ?本当にありがとう。君がいなかったら僕もこの子も死んでいたよ。情けない番の所為で」
「うーわー、遠回しの言い回しは酷くないか?」
「田中君、どこかに行く途中だったんじゃない?ごめんね、僕の所為で」
「いえいえ、今からでも間に合いますよ」
と話をしていると携帯が鳴り隆は慌てて病室を出て電話を確認せずに出ると声を聞いただけで心臓が跳ね上がった。
『たかちゃん?ひさしぶりー、最近どう?元気にしてる?かまってあげられなくてごめんねぇ?』
声を聞いてこみ上げてきたのは涙だった。何か分からないが出産での興奮が治まらないのもあるかもしれない。けれど圭太の声を聞き、よくわからない感情がこみ上げ、涙が零れ心臓が苦しく感じた。
『たかちゃん?どうしたの?泣いてる・・・?』
「・・・ぃ・・いや、違う・・・久々に・・・お前の声聞いたなって」
『うふふ、たかちゃんったら、今日は甘えん坊ね?』
「うっせー!つか陣さんはいつ戻るんだよ!」
『兄さん?そうねまだ発情期期間があるし、いつも通りならまだ続くわね』
「そうか・・・、まだまだ忙しそうだな」
『あら?本当にどうしたの?』
「誠也からの話は聞いてる。あと今日、妊夫の出産に立ち会った」
それを聞いて圭太が何を思ったのかは分からないが、隆自身も何が言いたいのか分からなかった。
そして病院につくと、すぐに出産準備に入り何故か隆も中に入り妊夫の男の手を握ることを言われて握りながら出産に立ち合うことになっていることになってしまった。
そして数時間後、声を掛けていた隆も疲れ切っていたが命の誕生に感動して涙が零れた。抱きかかえられているのは女の子だが、元気な泣き声で部屋の外まで聞こえているんじゃないだろうか?
「ありがとう、君がいなかったら・・・この子は死んでいたよ。僕もね」
「いえ、でも俺が立ち合ってしまって、旦那さんに悪い事をしましたね」
「あはは。そうでもないさ、まぁけど絶対立ち合うんだーと言っていたけどね。居ないんだから仕方ないよ」
と、そこに慌てた様子で着替えて入ってくる男が入って来た。
「あ、遅いよバーカ」
「これ・・でも・・・はぁはぁ・・・いそいだほうだ」
どうやら旦那さんの登場のようだ。
「君が助けてくれたのか?ありがとう、・・・ん?」
生まれてきた赤子を抱きかかえながら旦那は隆の方をジッと見てきた。
「田中隆君じゃないか?」
「え?なんで俺の名前・・・」
「知ってるの?」
「ほら君の番が窓ガラス割った施設の職員だよ。今は陣さんの代わりに働いてくれているけど」
「不思議な縁ですね。けれどあの施設で匂いとか判りませんけど・・・」
「防護服や薬もあるけどね、番以外には滅多にヒートにはならないようになってるはずだが?」
「確かに防護服を着てましたね。けど陣さんは?」
「あの人か、あの人は常に薬で制御してたけれど恐らく反動があって番のΩには見ただけでも発情するんじゃないかな?」
ふと、太田の顔が浮かんだ。保健室で倒れている時に襲われていたのを思い出すと太田が巣作りに入ったらすごいことになるのではないだろうか?と思ってしまい、何も聞けないが・・・
「えっと田中君だっけ?本当にありがとう。君がいなかったら僕もこの子も死んでいたよ。情けない番の所為で」
「うーわー、遠回しの言い回しは酷くないか?」
「田中君、どこかに行く途中だったんじゃない?ごめんね、僕の所為で」
「いえいえ、今からでも間に合いますよ」
と話をしていると携帯が鳴り隆は慌てて病室を出て電話を確認せずに出ると声を聞いただけで心臓が跳ね上がった。
『たかちゃん?ひさしぶりー、最近どう?元気にしてる?かまってあげられなくてごめんねぇ?』
声を聞いてこみ上げてきたのは涙だった。何か分からないが出産での興奮が治まらないのもあるかもしれない。けれど圭太の声を聞き、よくわからない感情がこみ上げ、涙が零れ心臓が苦しく感じた。
『たかちゃん?どうしたの?泣いてる・・・?』
「・・・ぃ・・いや、違う・・・久々に・・・お前の声聞いたなって」
『うふふ、たかちゃんったら、今日は甘えん坊ね?』
「うっせー!つか陣さんはいつ戻るんだよ!」
『兄さん?そうねまだ発情期期間があるし、いつも通りならまだ続くわね』
「そうか・・・、まだまだ忙しそうだな」
『あら?本当にどうしたの?』
「誠也からの話は聞いてる。あと今日、妊夫の出産に立ち会った」
それを聞いて圭太が何を思ったのかは分からないが、隆自身も何が言いたいのか分からなかった。
0
あなたにおすすめの小説
運命じゃない人
万里
BL
旭は、7年間連れ添った相手から突然別れを告げられる。「運命の番に出会ったんだ」と語る彼の言葉は、旭の心を深く傷つけた。積み重ねた日々も未来の約束も、その一言で崩れ去り、番を解消される。残された部屋には彼の痕跡はなく、孤独と喪失感だけが残った。
理解しようと努めるも、涙は止まらず、食事も眠りもままならない。やがて「番に捨てられたΩは死ぬ」という言葉が頭を支配し、旭は絶望の中で自らの手首を切る。意識が遠のき、次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
愛などもう求めない
一寸光陰
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
劣等アルファは最強王子から逃げられない
東
BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。
ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる