天魔の作り方

嵯乃恭介

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一章

礼儀

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死んだように眠るレイとそっくりな彼女の髪を確認するように触れるラック。
起きていては、問題が発生するためだ。
血による支配がある以上、彼女には逆らえないし自分の意志さえ消えてしまう。
レイに告げた時に、丁度呼ばれてしまい少しでも抗おうとして苦しかった。

だが、今なら彼女は寝ている。
今がチャンスだが、あの二人が居る以上、どうして良いか判らなかった。
それでもレイに会いたいという気持ちが大きかった。

それにしても、目の前に眠る彼女が従う男は一体何だろうか?
ラックの潜在能力に近づき、そして彼女の血の支配よりも強力だったが、今は彼女だけの支配だ。
闇の底に突き落とされる感触のような不愉快な感覚。

「本当に・・・僕は・・・。お人よしだ・・」

自傷のようにつぶやき、レイに会いたいという気持ちが大きく出てしまい、その場から消えた。



「ごちそーさまでしたー!」

パンと言った音を鳴らし、レイは御馳走さまの言葉を出す。
普通のことだが、それを見ていた三人は驚いている。

「礼儀はあるんだな」

「ん?一回死んどく?」

目が笑っていない状態でユキルに詰め寄ると、ユキルは青ざめて首を振った。
タオも笑っていたが、両親とのつながりがあるとして、カウントされず、もちろんレンと、シザーメも驚いていたのは事実だ。

「これは礼儀以前の問題だろ~?作ってくれた相手にも、何より栄養になってくれた食物にもな」

「教育はなっているようだね。安心したよ」

タオが安心したというと、レンも頷いてレンの頭を撫でた。

「良い人に育ててもらって、俺は嬉しいぞ?レイ」

「んだよ、子ども扱いするなよ」

口をとがらせ、文句を言うが、レイにとって嬉しい感覚だった。
育ての親繋がりで出会ったばかりなのに、これほどまで安心したのは、いつぶりだろうかと思う。
山奥で育ったレイは、町にさえ出なかった。
何度か行ったことはあるが、本の影響で普通の人の目さえ疑心暗鬼になっていたのだ。
おかげでレイは山育ちで、言葉遣いが丁寧とは言えなかった。

「お風呂沸かしておくよ、叔父さんもはどうする?」

「そうだね、一番最後で良いよ。客人が先だね」

そういってユキル、シザーメを見ると、二人とも驚いていたが、悩むように項垂れる。
二人の視線が合うと

「レイから入って?」

「お?おう?」

何故に悩んだか判らないが、レイはレンに服を渡されて風呂場へと向かっていった。
ユキルとシザーメも席を立つと、レンとタオが首を傾げている。

「えっと、ちょっと気になることがあるんで、俺らも部屋借りますね?」

「あ、はい」

レンの言葉を受けて、そそくさに小さな部屋に入ると、昼間見たラックの話になってしまうのは当然だった。
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