天魔の作り方

嵯乃恭介

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二章

十年前の思い出

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埃が多少舞う部屋でシザーメとユキルは床に座る。
お互いに思うのは十年前に消えた弟の事だが、沈黙が続く・・・
そこで何か口に出そうとしたユキルの頭を扉が叩いた。
ゴツンと良い音がなったが、部屋に入って来たのはタオだった。

「先ほどの子の話でしょう?」

言いにくい話題だったが、二人とも頷いた、タオには話してなかったが、聞くとしたら彼しかいないと思ってはいた。
それでも言いにくいものがある。
タオは同じように部屋に座ると、手を握りしめて目は瞑っているが、真剣な声で聞いてきた。

「先ほどの彼は、君たちの兄弟ではないかな?確か探していると聞いていたが?」

二人は頷く。
そう事件は十年前にさかのぼる。


十年前

ラック15歳
彼には恋人がいた、大人しく淑やかな彼女だった。
ラックもその彼女には何でもしてあげたいと、彼女が望むことはしていたようだ。
働いて稼いだお金をも使って街で買い物などしてきた。
見かねたユキルは彼女の妙な噂を聞いたことがあったので、止めに入るのは当然だ。
大事な弟の恋人の本性。

「ラック、あの女はお前が思っているような女じゃない!」

「兄さんには関係ない!僕は彼女と一緒になるんだ!」

そう言って飛び出していき、彼女がいつもいる場所に向かうと、淑やかさも感じさせない露出した肌、胸を男の体にピッタリとくっつけて歩く彼女の姿。
彼女もラックに気が付いたらしく赤く塗った唇でニヤリと笑った。

「もぉバレちゃった?あんたもいい夢見れたでしょ?私があんたみたいな平凡な男と付き合うわけないじゃない」

下品に笑う声。
傍に居た男も一緒に笑う。

「マジで?お前騙され続けてたわけ?ばっかじゃねぇの?」

ラックは地面に膝が落ちて、手で顔を覆った、その指の隙間から二人の姿が見える。
彼女は手を振って舌を出していた。
ラックの頭の中で一つの言葉が浮かんだ。


『あれは彼女じゃない、そうだ偽物だ。きっと彼女は捕まっているんだ。そうだ、そうに違いない。助けなきゃ!助けなきゃ助けなきゃ助けなきゃ助けなきゃ助けなきゃ助けなきゃ助けなきゃ助けなきゃ助けなきゃたすけなきゃ!!!!・・・でも、その前に「偽物」を消さないと』

気がつけばラックは肌黒くなっており、伸び切った鋭い爪と指で男の顔を引き裂き、女が逃げようとしたところを手で鷲掴みにしていた。

「きゃぁぁぁぁぁぁ!!助けて助けて!!!」

『彼女を助けるために殺さなきゃ殺さなきゃ殺さん殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ』

メキリという音を立てて彼女の頭は瞑れた。
そして悲鳴を上げて逃げる人々の間からユキルとシザーメが割り込んできた。
ラックの姿は、魔物そのものでしかないが、それでも穏やかに笑っていた、そしてユキルに向かって涙をこぼして謝って来た。

「ごめん・・・兄さん・・・僕、もぉダメだ・・・」

「何言ってるんだ!早く家に帰るぞ!!」

手を伸ばしてラックを掴もうとしたが、ラックは素早く立ち上がり森の方へと走り去っていった。
人外を思わせる速さで森の中を走り回るラックだったが、同じく魔族だったシザーメには追い付かれて捕まえられた。

「ノンノン逃がさないよー」

「離して・・・シザーメ兄さん・・・もぉ僕は」

「ばーか、お前が何をしでかしても俺らが守ってやるよ」

「もぉ、僕は誰も信じない!!」

黒い煙がラックから発生し、シザーメの手からヌルっと血のりでラックの腕が外れた。
慌てて掴みなおそうとするが、煙が消えるときには既に、ラックの姿はなかった。
追い付いたユキルは、大きなため息を吐いた。

「馬鹿野郎・・・」

そこからラックを探すという名目で、タオと共に異端や暴走した者たちを見つけて話が通じる相手を探したり、処分したりしていたが、ラックの行方は判らなかった。

しかしこんな所で出会うとは思わなかった。

「それが、私の姪っ子と一緒に居てたというわけですか」

「そう・・・ですね・・・・。暴走したままと思ってましたが、まさか理性を取り戻して、レイと一緒に居たのは驚きです」

タオはフムと考えると、ウンウンと頷き、指を一本立てた。
その意味が判らないので、二人して真剣な顔でタオに視線を向けた。

「レイの双子のレノが




話が終り、三人は部屋を出てきた。
食器は既に片付けられており、レンの姿もない何か聞かれたかと不安になる。
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