続・上司に恋していいですか?

茜色

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甘い休日

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上になった澪が、せつなげな声を漏らしながら腰を振っている。
動くたびに小ぶりな乳房が可愛らしく揺れ、昇吾は尖った乳首を弄りたくなって手を伸ばした。
ふたつの薄紅色の蕾を下から指で摘んでやると、澪はいっそう甘い息をこぼして身をよじらせる。
「あっ、ダメ・・・。昇吾さん・・・」
ダメと言いながら、もっとねだるように腰が蠢く。昇吾はそんな澪を苛めるように、指先で乳首をクリクリと捏ねてやった。
「ああっ・・・やぁ、んっ・・・!」
「好きなくせに。澪はここ弄られるの、大好きだよな」
「好き・・・。はっ・・・あぁっ」
澪が泣きそうな声を出して昇吾の右手に自分の手を重ねた。それが合図のように、昇吾が仰向けに寝ていた身を起こし、座位の体勢になった。腰をグッと引き寄せてやると、繋がっている部分がより一層深くなる。どちらの吐息もますます熱く乱れ、唾液が滴るようなキスを貪った。
そのまま昇吾は下からゆっくりと突き上げ、澪の感じやすい場所を丁寧に攻めていく。澪の細い身体が震え始め、昇吾にしがみつく肌に汗が滲み始めた。

なかの粘膜の収縮具合で、そろそろ澪が絶頂を迎えそうなのが分かる。昇吾はそのままベッドの上に倒れ込むようにして澪の身体を仰向けに寝かせ、細い両脚を抱え込んで抽送のスピードを速めた。パンパンと肌が打ち合う音が部屋に鳴り響き、全身から汗が噴き出してくる。
「んあっ・・・昇・・・!ああん・・・っ、イッちゃう・・・!」
「俺も、一緒に・・・!ふっ・・・うっ・・・!」
いつもは恥ずかしそうに「昇吾さん」と呼ぶのに、セックスの最中だけ時々「昇」と呼ぶようになった澪が愛おしい。昇吾は恋人の頭をギュッと抱き寄せながら、激しくうねる膣内で勢いよく射精した。自分の身体の下で、澪が喘ぎながらひくひくと腰を震わせている。必死に背中にしがみついてくる様子が、いじらしかった。まだイッている最中の澪のこめかみに昇吾は唇を押し当て、目尻を濡らしている涙を舐めた。

成瀬省吾が同じ会社の椎名澪と恋人関係になってから、半年の時が流れた。
去年、5年ぶりの人事異動で今の営業部に戻ってきた。そこで澪と再会し、数年越しの想いを通いあわせて晴れて結ばれた。
澪とは同じ部署の上司と部下であり、仕事上でもコンビを組んでいる。そのため澪とのプライベートな関係は、周囲には極力知られないよう気を付けてきた。その分、週末はいつも昇吾のマンションに澪が泊りに来て、ふたりきりで親密な時間を過ごすようにしている。
本当はすぐにでも結婚して、この部屋に澪を住まわせたいと思っている。ただ、結婚するとなると、どちらかが部署を異動しなくてはならない。そこがネックだった。
自分たちは恋人としてだけでなく、仕事上のパートナーとしても非常に相性が良いと感じる。昇吾は澪のサポートをとても頼りにしているし、澪もまた昇吾の下に就いてから、仕事の面白さに改めて目覚めたようだった。もう少し一緒に仕事を続けたい。お互いのそういう気持ちが、結婚を様子見している理由でもあった。
澪は、駅から遠い場所に小さなアパートを借りて暮らしているが、昇吾はそれが心配で仕方ない。そのため、結婚はまだ先でもいいから一緒に暮らそうと澪に何度か持ちかけているが、澪はそういうところは妙に真面目で固いところがあって、なかなか首を縦に振らない。同棲という形に抵抗があるのだと言う。田舎の保守的な両親の顔が脳裏に浮かぶのだそうだ。
一緒に暮らすのは、結婚するとき。きちんと親の承諾を得てからにしたい。・・・そういう澪の生真面目なところが、昇吾はとても好きだったりする。

ようやく澪の呼吸が落ち着いてきた。汗がひいて少し体温が下がった華奢な肩を、自分の方へと引き寄せる。ふたりの身体の上にブランケットを掛けると、澪は幸せそうな顔で眼を閉じて昇吾の胸に頭を摺り寄せてきた。
頬が上気してピンクに染まっているのが、薄明りの下でも分かる。口元がまだ艶っぽく濡れていて、先程この小さな唇が昇吾の性器を一生懸命しゃぶっていたのを思い出し、下腹部がまた疼きそうになった。
つきあい始めた頃、澪は性の経験が浅く臆病だったが、それでも必死に昇吾に応えようと身体を開き、乱れる姿がたまらなかった。感じやすくて繊細で、時折ドキッとするほど大胆になり、ひどく色っぽい顔をする。触れれば触れるほど色づいてゆく果実のような澪の肌に、昇吾は年甲斐もなく夢中になっていた。
澪が快感をひとつずつ覚えていくたびに、自分の手で澪を花開かせているような気持ちになって、ますます愛おしさが込み上げてくる。
今ではもう、澪なしの人生なんて考えられない。昇吾は澪がこの部屋にやってくるたびに、このままアパートには帰さず、籍を入れてしまおうかと本気で思うのだった。

「昇吾さん、明日は朝から会議でいないんでしょ?」
5月最後の日曜の夜。ふたりとも気に入っている定食屋で夕飯を済ませた後、車の中で澪が尋ねてきた。
「うん、例の新規プロジェクトの定例会があるからな。夕方には課に戻るけど」
今年の初めから立ち上がっている社を挙げての新たな事業の委員会に、昇吾もメンバーとして声がかかっていて、定期的に合同会議に出席している。束ねているのが昇吾たちの上司である森山部長なので、抱えている仕事を後回しにしてもその会議には出席しなくてはならなかった。
「悪いな。D社の発注確認、おまえに任せてもいいか?」
「うん、もちろん。金曜のうちに一応済ませてあるから、明日もう一回チェックすれば大丈夫」
「サンキュ。いつも澪のおかげで助かってるよ」
そう言いながら澪のアパートの前に車を停めると、昇吾は澪の肩を抱き寄せて優しくキスした。澪はすぐに応え、唇を開いて昇吾の舌を受け入れる。それどころか、恥じらいながらも情熱的に舌を絡ませ、惜しみなく昇吾への愛情を伝えてくるのがなんとも愛おしい。

「はぁ・・・。毎度この時間になると、澪を帰したくなくなる」
唇を離して澪の顔を覗き込みながら、昇吾は正直な気持ちを伝えた。本当に今すぐにでもUターンして、自分のマンションに連れて帰りたいのだ。
「私も・・・。ほんとは離れたくない」
澪がギュッとしがみついてきた。甘えるのはいつものことだが、なんだか今日は少し様子が違うような気がする。どこか不安げで心細そうな声。
「・・・澪、なんかあった?心配事でもあるんじゃないか?」
実は少し前から、澪の様子がどことなくおかしい気がしていた。会社でも、ふたりで出掛けているときも、時折ふっと人目を気にしたり、何かに脅えたような表情をしていたり。さりげなく問いかけても、「なんでもないよ。気のせい」とにっこり笑い返してくるので、それ以上聞かずにいたのだが・・・。

「この前から、何か悩んでるような顔してるぞ」
「えっ、そんなことないよ、全然。昇吾さんの気のせい」
「隠しごとなんてするなよ?何か困ったことがあるなら、何でも言ってくれよ」
「うん、ありがとう。でも本当に何もないの。ちょっとここのところ仕事が多かったから、いつもより疲れてただけよ」
そう言って澪は柔らかく微笑むと、昇吾の頬にチュッとくちづけて「心配しないで」と囁いた。しつこく問い詰めれば余計に黙り込むような気がして、昇吾はそれ以上追及できなかった。もう一度、おやすみのキスをゆっくり交わす。
くちづけが長引けば、キスだけで終わらなくなる。昇吾はなんとか自制心を奮い起こし、澪を車から降ろした。
アパートへ入っていく恋人の後ろ姿を、車の中からしばらく見守っていた。日曜の夜のこの時間は、いつだって複雑な気持ちになるのだった。


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