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第一部 ニ章 異世界キャンパー編
ダイ・ハード
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――暗い――それに……――酷く、冷たい――。
ほんの僅かに残された光が閉ざされていく。
自分が世界から切り離された疎外感を感じる一方、遂に安息の地に辿り着いたという相反した充足感を得ていた。
――初音――ギンレイ――飯綱に――女媧も…。
皆が悲しみに暮れ、最後の別れを惜しむ様子は、さながら厳粛な葬儀を思わせた。
………………誰の?
おいおいおい、どうして俺に土を投げつける!?
い、息が……このままだと全部埋もれ……!
初音に至っては――デカい岩まで持ち上げて……俺の体を押し潰すつもりか!?
「あしな、成仏致せよ…」
岩が地面へ落とされる寸前、仰向けの姿勢から飛び起きてガッチリと受け止めた!
「俺は死んでねぇ! 勝手に殺すな!」
この時の空気は…多分、生涯忘れないだろう。
まさに場が凍りついたと表現するには十分なもので、飯綱は直後に失神してしまい、女媧ですら驚愕と呼べる表情で俺を見ている。
しかし、最も大きな問題は初音だった。
「早くも化けて出たか!
墓の下で静かに眠るがよい!」
「アホかぁああああ!!
こんなにもアグレッシブな死人が居て堪るか!」
大岩を挟んで繰り広げられる舌戦。
ここで押し負ければ生きたまま下敷きにされる!
自分の葬儀を自分でブチ壊しにするという前代未聞の茶番劇は、喜びを爆発させたギンレイが割って入るまで続いた。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
不穏当極まりない誤解を解くまでに、随分と時間が掛かった。
こんな時はいつも冷静な態度で忠告してくれる男の姿が見えなかったので、初音に聞いてみたのだが酷く歯切れが悪い。
「まさか……八兵衛さんは……もう…」
「ここに居ないからって勝手に殺すなや。
そっから先はアタシが説明してやンよ」
気を失っていた飯綱はコットの残骸から身を起こすと、事の顛末を教えてくれたのだが…。
「結論から言やぁ爺さんは生きてるぜ。
空間転移装置で二人まとめてキレーに巻き込ンだからな。問題はどこに吹っ飛ばされたのかアタシにも分かンねぇってコトと、あのヤバい女と一緒にいるってコトさ」
――コイツ、マジに言ってんのか…?
だが、薄々気づいてはいた。
飯綱が俺や初音とは別世界の人間だって事は、空間転移装置とかいう遥かに高度な技術が証明しているのだ。
しかし、初音は納得できない様子で飯綱に詰め寄ってしまう。
「お主が自《みずか》らやったというに…どうして爺の居場所が分からんのじゃ!」
「しょーがねェだろうが!
そもそも、お前らのお陰で全財産スッちまったんだぜ? そっちこそ、どう落とし前つけてくれンだよ、あぁ!?」
マズい、初音と飯綱が口喧嘩を始めてしまった。
確かにどちらの言い分も理解できるけど、まずは行方不明の八兵衛さんを探さなくてはならない。
しかし、ヒートアップする両者は互いに譲らず、一触即発の雰囲気まで漂い始めた矢先、意外な人物が仲裁に入る。
『なかよく…ね?』
残飯を奪い合う野良猫みたいだった二人の頭を、抱えるようにして優しく説き伏せる女媧。
母の慈愛を思わせる声は離れた場所に居た俺の胸にまで届き、直接触れた者は夢心地の表情を浮かべ、彼女の言葉に耳を傾ける。
「流石は神サマと言うべきか……。
そろそろ次の行動に向けて話を進めたいんだけどさ、俺の案を聞いて欲しい」
ほんの僅かに残された光が閉ざされていく。
自分が世界から切り離された疎外感を感じる一方、遂に安息の地に辿り着いたという相反した充足感を得ていた。
――初音――ギンレイ――飯綱に――女媧も…。
皆が悲しみに暮れ、最後の別れを惜しむ様子は、さながら厳粛な葬儀を思わせた。
………………誰の?
おいおいおい、どうして俺に土を投げつける!?
い、息が……このままだと全部埋もれ……!
初音に至っては――デカい岩まで持ち上げて……俺の体を押し潰すつもりか!?
「あしな、成仏致せよ…」
岩が地面へ落とされる寸前、仰向けの姿勢から飛び起きてガッチリと受け止めた!
「俺は死んでねぇ! 勝手に殺すな!」
この時の空気は…多分、生涯忘れないだろう。
まさに場が凍りついたと表現するには十分なもので、飯綱は直後に失神してしまい、女媧ですら驚愕と呼べる表情で俺を見ている。
しかし、最も大きな問題は初音だった。
「早くも化けて出たか!
墓の下で静かに眠るがよい!」
「アホかぁああああ!!
こんなにもアグレッシブな死人が居て堪るか!」
大岩を挟んで繰り広げられる舌戦。
ここで押し負ければ生きたまま下敷きにされる!
自分の葬儀を自分でブチ壊しにするという前代未聞の茶番劇は、喜びを爆発させたギンレイが割って入るまで続いた。
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不穏当極まりない誤解を解くまでに、随分と時間が掛かった。
こんな時はいつも冷静な態度で忠告してくれる男の姿が見えなかったので、初音に聞いてみたのだが酷く歯切れが悪い。
「まさか……八兵衛さんは……もう…」
「ここに居ないからって勝手に殺すなや。
そっから先はアタシが説明してやンよ」
気を失っていた飯綱はコットの残骸から身を起こすと、事の顛末を教えてくれたのだが…。
「結論から言やぁ爺さんは生きてるぜ。
空間転移装置で二人まとめてキレーに巻き込ンだからな。問題はどこに吹っ飛ばされたのかアタシにも分かンねぇってコトと、あのヤバい女と一緒にいるってコトさ」
――コイツ、マジに言ってんのか…?
だが、薄々気づいてはいた。
飯綱が俺や初音とは別世界の人間だって事は、空間転移装置とかいう遥かに高度な技術が証明しているのだ。
しかし、初音は納得できない様子で飯綱に詰め寄ってしまう。
「お主が自《みずか》らやったというに…どうして爺の居場所が分からんのじゃ!」
「しょーがねェだろうが!
そもそも、お前らのお陰で全財産スッちまったんだぜ? そっちこそ、どう落とし前つけてくれンだよ、あぁ!?」
マズい、初音と飯綱が口喧嘩を始めてしまった。
確かにどちらの言い分も理解できるけど、まずは行方不明の八兵衛さんを探さなくてはならない。
しかし、ヒートアップする両者は互いに譲らず、一触即発の雰囲気まで漂い始めた矢先、意外な人物が仲裁に入る。
『なかよく…ね?』
残飯を奪い合う野良猫みたいだった二人の頭を、抱えるようにして優しく説き伏せる女媧。
母の慈愛を思わせる声は離れた場所に居た俺の胸にまで届き、直接触れた者は夢心地の表情を浮かべ、彼女の言葉に耳を傾ける。
「流石は神サマと言うべきか……。
そろそろ次の行動に向けて話を進めたいんだけどさ、俺の案を聞いて欲しい」
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