異世界だろうがソロキャンだろう!? one more camp!

ちゃりネコ

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第二部 二章 新たな仲間、新たな岐路

無慈悲な証拠

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 悪党にとって阿鼻叫喚の一夜が明け、改めて周囲を見渡すと昨夜の騒動がどれほど大きかったのか、周辺の惨状を目撃して改めて思い知る。
 そこかしこの地面には大型重機によって掘り起こされたかと思うような大穴が開けられ、殆どの樹木は根こそぎぎ倒されていた。
 唯一残された大木に縛りつけられ、憔悴しょうすいしきった表情を浮かべる総勢32名の野盗。
 全員が無事――とは言えないものの、ちゃんと生きているという事は手加減した証拠だろう。

「ッパ、当方不敗よなぁ!
 おい、次はもっと大勢連れてこいよ」

 万治郎に声を掛けられた男達から短い悲鳴が上がり、余程のトラウマを植えつけられたのが見てとれる。
 結局、野盗退治は2mもの木刀を十全に振るった万治郎がリーチに物を言わせ、勝利を納めたらしい。
 誇らしげに悠々とした態度で初音のおかずを取り上げ、これみよがしに平らげる。

「くぅぅうう! ああああ!!
 この屈辱、どう晴らしてくれようかああ!!」

 大地を振動させる咆哮に怯え、この世の終わりみたいな表情で許しを乞う野盗の首領。
 彼の気持ちも分からんでもない。
 たかが朝食のおかず一品の為にボッコボコにされ、理不尽な憎悪の対象にまでされた彼らの不幸は計り知れない。

「まぁ、自業自得なんだけどな」

 近くの村へ連絡する前に、彼らに対して聞いておかなければならない事がある。

「ちょっと聞きたいんだけどさ。
 最近、君らを退治してる鬼夜叉おにやしゃについて――」

 鬼夜叉おにやしゃについて口にした途端、彼らの顔色は様々に豹変していき、本格的に命乞いをする者や明らかな敵意を向ける者などが多数現れ、尋常じんじょうではない空気が漂う。

「お前らの処遇なんざ当方にとっちゃどーでもいい。それよりも聞きてぇのは…」

 ゆっくりとした所作で言葉を切った万治郎の顔は徐々に強張《こわば》り、これから口にする質問がどれ程の重みを持つのかを物語る。

鬼夜叉おにやしゃってぇのは…顔に傷のある老齢の男か?」

 自身の父親とは別人であると否定していた万治郎だったが、口にした質問は八兵衛さんの特徴を端的に捉えていた。
 態度こそ平静を装ってはいたものの、彼の額には大粒の汗が光る。

「…直接見たって訳じゃあねぇ。
 見た奴は――全員斬り殺されちまったからな」

「みなごろ…!」

 言葉を打ち消す程の衝撃が走った。
 これだけの手下を引き連れた盗賊団にも関わらず、一人の目撃者さえ出さず、一方的に殺戮を行うなどと…一体、どれだけの腕前を持てば可能なのだろうか?

「姿は見てなくてもよぉ、声くれぇは聞いてんじゃあねぇのか? よく思い出しやがれ!」

 万治郎は縛ったロープを引き千切る勢いで首領を締め上げ、尋問は更に過激さを増していく。

「おい、やり過ぎだ!
 お前らしくないぞ万治郎!」

 彼は元来、動けない者を痛ぶるような男ではない。
 やはり、確かな証拠を手に入れたくて焦っているのだろう。
 そんな迷える青年に神は救いの手を――いや、無慈悲で冷酷極まりない裁きを下す。

「こ、コイツ……間違いねぇ!
 俺のダチが最後に言ってた男の顔に…そっくりだ!」

 野盗の一人が口にした鬼夜叉おにやしゃの特徴と万治郎の顔。
 その言葉の意味する所は到底無視できない。
 嘘であって欲しいという願望に突き動かされ、わめき散らす男を問い詰めるつもりだったが、伝搬した恐怖は既に会話をするどころではなくなっていた。

「た、頼む! 俺達を…御上おかみに突き出してくれぇえ!!」

 言葉では言い表せない異様な光景。
 数々の罪を犯してきた野盗は捕まったが最後、ロクに裁判も受ける事なく処刑されてしまうのに――自分から突き出して欲しいなどと…!

「…あしなよ、此奴こやつらの処遇は最寄りの村に任せようぞ。ワシらは先を急がねばならん!」

「ああ、行くぞ万治郎」

 返事はなかった。
 青年は空虚な風を背中に受け、まとわりつく邪推を振り払おうと六本足の馬を駆り立てた。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

ここまでのAwazonポイント収支

『オワセヤマドリを採取――3000ポイント』
『野盗の一団を撃退――30000ポイント』

以下を購入

『ティピーテント――17000ポイント』
『ペグハンマー――1600ポイント』
『ダッチオーブン(12インチ)ー――8300ポイント』

 現在のAwazonポイント――309,590P
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