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第四章
クロノトール
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「――馬鹿なことを! 女などと一騎打ちができるか!」
ンシモナは、きっぱりと拒絶の意思をしめす。
するとザラマ方面から誰かの声が響いた。
「聞いたか、魔王軍の将軍さまは、女からの一騎打ちも断るとよ!!」
「女相手にびびって、手が震えてるじゃねえか!」
「ヘタレのくせに、ノコノコこんなところまで何しにきたんだ!!」
容赦ない罵声に、誇り高そうなンシモナの表情がゆがむ。
そのタイミングで、隊長コートオアが叫んだ。
「よし皆のもの、あの腰抜け将軍を笑ってやれ!」
ドワッハッハハハと、嘲笑がザラマからとどろいた。
そのとびきりの侮蔑には、さすがにンシモナも赤面するしかない。
わなわなと怒りに震える手で、腰剣の柄をつかむ。
「小娘が! 女の分際で、この鋼魔将ンシモナに一騎打ちなどと、身の程知らずめ! その身をもって後悔させてやる!!」
怒り心頭、剣を抜いたンシモナは、クロノトールに向き直った。
さすが魔王軍1万を預かる将らしく、立派な体格を誇っている。
上背こそクロノが上だが、ほぼ差は感じさせず、横幅は圧倒的に上だ。よく見ると、顔のいたるところに細かな古傷が見える。
剣の実力、叩き上げでここまでのし上がってきたであろうことは、容易に想像がついた。
それは、一方のクロノトールもそうだ。剣奴隷として、死の匂いの充満する円形闘技場で、ひたすら闘い続けた日々がある。
そして一度たりとて敵の剣にかかることなく、見事、自由を勝ち取った真の戦士である。
両雄は静かに相対した。
クロノはゆっくりと、バスタードソードと、タートルシールドを構えた。
ンシモナは剣を水平に構え、電光さながらに斬りかかった。
クロノも応戦する。
突き、斬り、薙ぐ。
受け、さばき、かわす。
互いの技量のすべてをぶつけあうすさまじい攻防に、ザラマの市壁から歓声がもれる。魔王軍も冒険者たちも、この闘いを阻害しようとはしない。
一騎打ちが成立した場合は、原則として周囲は手出し無用。
互いの名誉のため、ひたすら傍観するしかないのだ。
十合、二十合、互いに斬り合うが勝負がつかない。
勝負の趨勢はどちらに転ぶか、まったくわからない。
それだけ、両者の実力が伯仲しているということだろう。
ザラマの町の中では不謹慎にも、この勝負に金を賭けるものまで出始める有様だ。
両者の斬り合いは、やがて三十合を数えた。
剣と盾のぶつかりあう音、荒い呼吸音、ほとばしる汗。勝負は長丁場の様相を呈しはじめた。それがどちらへ有利に働くのか、誰もわからない。
「やるな女! 魔王軍にもこれほどの女傑はおらぬ!」
「……うん、あなたも強い……」
互いを好敵手として認め合ったのも束の間、じょじょにこの勝負の優劣が明白になりはじめた。
ンシモナの剣が、クロノを圧倒しつつあった。
クロノが退がる。体力が底を尽きはじめているのだ。
「どうした、剣先がにぶっておるぞ!」
俄然、勢いづき、どんどん前に出るンシモナ。
ダーが製作した装甲の頑丈さで、かろうじて命をたもっているものの、致命的となりうるンシモナの斬撃が幾度も鎧をかすめた。
以前のビキニアーマーのままであったなら、とうに勝負はついていたかもしれない。
がつん。
クロノは頭部に衝撃を受けた。
ンシモナの痛烈な一撃が兜をかすめたのだ。
脳が揺らされ、無意識に膝が落ちる―――
まずい―――……
「……この娘がいいな、いまは痩せているが、骨格がいい」
やや小太りの男の態度は傲慢だった。
一方の男は下卑た笑みを浮かべつつ、
「へへ、お買い上げくださって何よりです」
と言った。これが私の父親なのだろうか。
あまりに昔のことすぎて、よく覚えていない。
私はそれから護送馬車にほうりこまれ、剣闘士養成所につれていかれた。
練成場では筋トレや短距離、鉄棒などを行い、各部位の筋肉を徹底的に鍛え上げさせられた。
さらに、毎日のように聞かされる言葉があった。
「貴様らは最低の存在で、たった銀貨2枚で買われた命だ。いつくたばってもいいが、できるだけ長持ちしろ」
地獄のようなトレーニングが終わると、一列にならんで、毎日同じメニューの食事を与えられ、硬い樫の木に座らされて食った。朝が来れば、またトレーニング。
やがて体ができた、とやつらに判断されると、私たちは剣やさまざまな武器の練習に入る。
死の舞台に立つために。
剣闘士たちは闘技場の地下で、ひたすら出番を待ちつづける。そして複数の人間にとりかこまれて移動し、まず観衆が自由に見ることが出来る檻に入れられる。
観客はそこで剣闘士の姿を見て、賭け金を決める。
それが済むと、ふたたび地下におしこめられる。やがて運命の時を知らせるラッパが、けたたましいファンファーレを鳴り響かせ、太鼓が派手な音を立てて打ち鳴らされる。
巨大な円形闘技場の雄大な門扉がひらき、それぞれの剣闘士がアリーナへと姿を現したとき、周囲から金切り声のような歓声がひびきわたる。
観客はみな、等しく血に飢えていた。
私は孤独だった。ずっと孤独だった。
いつか一緒にここを出ようと言ってくれた男もいた。
数日後、その男は、アリーナで死んだ。
私が、彼の相手をつとめた。
人々の娯楽のためだけに身体を鍛え、人々の快楽のためだけに殺し合い、そしてつかの間の勝利の後、助かった安堵感と、犯した罪の重さにすすり泣く。
それが剣奴隷という存在だった。
いつかきっと、ここから出て行く。
自らの両足で。
死体袋に詰められた肉塊としてではなく、生きた人間として。
その意思の力だけが、地獄の日々で自分を支えてくれた。
そして今日もわたしは――
「……――クロノ」
「――クロノトール!! しっかりせい!」
ダーの雷鳴のような大音声がひびいた。
われを取り戻したクロノは、本能的に頭上から落ちてきた剣を弾きかえし、盾で相手を突き放して、うしろへ跳び下がった。
どれくらい意識を失っていたのか。
記憶が混濁したまま、かろうじて相手の攻撃をさばくクロノ。
立っているのがやっとなほど、ふらふらになっている。
「クロノ、お前の師は誰だ! お前の仲間は誰だ!!」
ぱちくりとした目で、遠くにいるダーをクロノは視認した。
そうだ。
クロノはもう、孤独ではなかった。
仲間もいる。愛するものもいる。
クロノは安心させるように、できる限りの笑顔で、ゆっくりとうなずいた。
アリーナに囚われていた奴隷は、ここにはいない。
そう、もう彼女は剣闘士ではない。自由に生きる冒険者だ。
自由気ままに生きて、生き延びる。
だからクロノはダーに憧れたのだ。
その自由な生きざまに。闘い方に。
あんなふうに、なれたら。
――ああ、そうだった。私は、自在に闘える。
彼女は半身の姿勢になった。大きな身体をぐっと、低くする。
「むう、気配が変わったな?」
魔将ンシモナは、さすがに並の相手ではなかった。
クロノの変化を敏感に察して、剣を構え直す。
「……――私のすべてを、この剣技にこめる……」
「ほう、ならばこれを打ち破れば、我の勝ちということだな」
――クロノは応えない。
すでに技に入っていたのだ。
クロノはびゅんと旋回し、横なぎに剣を放った。
さらに踏み込みつつ旋回し、また剣を叩き込む。
「……クロノ式旋風剣、開眼というべきかな」
ダーは笑みをたたえたまま、目を細めた。
「馬鹿めが、しょせんにわか仕込みのつけ焼き刃よ!」
ンシモナはこの技の弱点を早々に見切った。
「敵に背を向ける馬鹿がいるか!!」
回転して背をむけた隙に、斬りかかった。
ただでさえ、背の高いクロノの背は、格好の目標だった。
だが、その剣は横にスライドするように弾かれた。
「なにいっ!!?」
ブラックタートルシールド、その大きい盾面を、片腕に装着している。ダーの細工によるものだった。
並の人間の膂力では不可能なことであった。盾の重さに振り回されるか、バランスを崩して転倒してしまうだろう。
だが、クロノトールの潜在能力は並大抵のものではない。
それはダーが、日ごろのベアハッグで嫌というほど理解していたことだった。
黒い剣は旋回し、ンシモナの胸甲をかすめる。
さらに旋回し、肩当を吹き飛ばす。
さらに旋回し、ガントレットを砕く。
隙をみて反撃するンシモナだが、ことごとくタートルシールドの巨大な面に防がれ、まるで当らない。
その剣はやがて――
ンシモナの兜を打ち砕いた。
一瞬、脳震盪をおこし、身体をぐらつかせるンシモナ。
あたかも先程のクロノと逆の状態となった。
しかし、連撃に入っているクロノに停滞はない。
容赦ない踏み込みとともに、横なぎの斬撃が襲った。
周囲の大地を、薔薇よりも鮮烈な紅が彩った。
ンシモナの頭蓋は、砕けちった。
ザラマの町の方面から、雷鳴のような大歓声が鳴り響いた。
次の瞬間、クロノはがっくりと両膝をついた。
「――勝者、クロノトール!!」
勝負を見届けたダーが叫んだ。
思わず、クロノの口許に笑みがこぼれる。
力なく垂れ下がった腕は、ぐっと空を掴み、さらに天へと突きあがる。
今日もまた、彼女は生き延びたのだ。
ンシモナは、きっぱりと拒絶の意思をしめす。
するとザラマ方面から誰かの声が響いた。
「聞いたか、魔王軍の将軍さまは、女からの一騎打ちも断るとよ!!」
「女相手にびびって、手が震えてるじゃねえか!」
「ヘタレのくせに、ノコノコこんなところまで何しにきたんだ!!」
容赦ない罵声に、誇り高そうなンシモナの表情がゆがむ。
そのタイミングで、隊長コートオアが叫んだ。
「よし皆のもの、あの腰抜け将軍を笑ってやれ!」
ドワッハッハハハと、嘲笑がザラマからとどろいた。
そのとびきりの侮蔑には、さすがにンシモナも赤面するしかない。
わなわなと怒りに震える手で、腰剣の柄をつかむ。
「小娘が! 女の分際で、この鋼魔将ンシモナに一騎打ちなどと、身の程知らずめ! その身をもって後悔させてやる!!」
怒り心頭、剣を抜いたンシモナは、クロノトールに向き直った。
さすが魔王軍1万を預かる将らしく、立派な体格を誇っている。
上背こそクロノが上だが、ほぼ差は感じさせず、横幅は圧倒的に上だ。よく見ると、顔のいたるところに細かな古傷が見える。
剣の実力、叩き上げでここまでのし上がってきたであろうことは、容易に想像がついた。
それは、一方のクロノトールもそうだ。剣奴隷として、死の匂いの充満する円形闘技場で、ひたすら闘い続けた日々がある。
そして一度たりとて敵の剣にかかることなく、見事、自由を勝ち取った真の戦士である。
両雄は静かに相対した。
クロノはゆっくりと、バスタードソードと、タートルシールドを構えた。
ンシモナは剣を水平に構え、電光さながらに斬りかかった。
クロノも応戦する。
突き、斬り、薙ぐ。
受け、さばき、かわす。
互いの技量のすべてをぶつけあうすさまじい攻防に、ザラマの市壁から歓声がもれる。魔王軍も冒険者たちも、この闘いを阻害しようとはしない。
一騎打ちが成立した場合は、原則として周囲は手出し無用。
互いの名誉のため、ひたすら傍観するしかないのだ。
十合、二十合、互いに斬り合うが勝負がつかない。
勝負の趨勢はどちらに転ぶか、まったくわからない。
それだけ、両者の実力が伯仲しているということだろう。
ザラマの町の中では不謹慎にも、この勝負に金を賭けるものまで出始める有様だ。
両者の斬り合いは、やがて三十合を数えた。
剣と盾のぶつかりあう音、荒い呼吸音、ほとばしる汗。勝負は長丁場の様相を呈しはじめた。それがどちらへ有利に働くのか、誰もわからない。
「やるな女! 魔王軍にもこれほどの女傑はおらぬ!」
「……うん、あなたも強い……」
互いを好敵手として認め合ったのも束の間、じょじょにこの勝負の優劣が明白になりはじめた。
ンシモナの剣が、クロノを圧倒しつつあった。
クロノが退がる。体力が底を尽きはじめているのだ。
「どうした、剣先がにぶっておるぞ!」
俄然、勢いづき、どんどん前に出るンシモナ。
ダーが製作した装甲の頑丈さで、かろうじて命をたもっているものの、致命的となりうるンシモナの斬撃が幾度も鎧をかすめた。
以前のビキニアーマーのままであったなら、とうに勝負はついていたかもしれない。
がつん。
クロノは頭部に衝撃を受けた。
ンシモナの痛烈な一撃が兜をかすめたのだ。
脳が揺らされ、無意識に膝が落ちる―――
まずい―――……
「……この娘がいいな、いまは痩せているが、骨格がいい」
やや小太りの男の態度は傲慢だった。
一方の男は下卑た笑みを浮かべつつ、
「へへ、お買い上げくださって何よりです」
と言った。これが私の父親なのだろうか。
あまりに昔のことすぎて、よく覚えていない。
私はそれから護送馬車にほうりこまれ、剣闘士養成所につれていかれた。
練成場では筋トレや短距離、鉄棒などを行い、各部位の筋肉を徹底的に鍛え上げさせられた。
さらに、毎日のように聞かされる言葉があった。
「貴様らは最低の存在で、たった銀貨2枚で買われた命だ。いつくたばってもいいが、できるだけ長持ちしろ」
地獄のようなトレーニングが終わると、一列にならんで、毎日同じメニューの食事を与えられ、硬い樫の木に座らされて食った。朝が来れば、またトレーニング。
やがて体ができた、とやつらに判断されると、私たちは剣やさまざまな武器の練習に入る。
死の舞台に立つために。
剣闘士たちは闘技場の地下で、ひたすら出番を待ちつづける。そして複数の人間にとりかこまれて移動し、まず観衆が自由に見ることが出来る檻に入れられる。
観客はそこで剣闘士の姿を見て、賭け金を決める。
それが済むと、ふたたび地下におしこめられる。やがて運命の時を知らせるラッパが、けたたましいファンファーレを鳴り響かせ、太鼓が派手な音を立てて打ち鳴らされる。
巨大な円形闘技場の雄大な門扉がひらき、それぞれの剣闘士がアリーナへと姿を現したとき、周囲から金切り声のような歓声がひびきわたる。
観客はみな、等しく血に飢えていた。
私は孤独だった。ずっと孤独だった。
いつか一緒にここを出ようと言ってくれた男もいた。
数日後、その男は、アリーナで死んだ。
私が、彼の相手をつとめた。
人々の娯楽のためだけに身体を鍛え、人々の快楽のためだけに殺し合い、そしてつかの間の勝利の後、助かった安堵感と、犯した罪の重さにすすり泣く。
それが剣奴隷という存在だった。
いつかきっと、ここから出て行く。
自らの両足で。
死体袋に詰められた肉塊としてではなく、生きた人間として。
その意思の力だけが、地獄の日々で自分を支えてくれた。
そして今日もわたしは――
「……――クロノ」
「――クロノトール!! しっかりせい!」
ダーの雷鳴のような大音声がひびいた。
われを取り戻したクロノは、本能的に頭上から落ちてきた剣を弾きかえし、盾で相手を突き放して、うしろへ跳び下がった。
どれくらい意識を失っていたのか。
記憶が混濁したまま、かろうじて相手の攻撃をさばくクロノ。
立っているのがやっとなほど、ふらふらになっている。
「クロノ、お前の師は誰だ! お前の仲間は誰だ!!」
ぱちくりとした目で、遠くにいるダーをクロノは視認した。
そうだ。
クロノはもう、孤独ではなかった。
仲間もいる。愛するものもいる。
クロノは安心させるように、できる限りの笑顔で、ゆっくりとうなずいた。
アリーナに囚われていた奴隷は、ここにはいない。
そう、もう彼女は剣闘士ではない。自由に生きる冒険者だ。
自由気ままに生きて、生き延びる。
だからクロノはダーに憧れたのだ。
その自由な生きざまに。闘い方に。
あんなふうに、なれたら。
――ああ、そうだった。私は、自在に闘える。
彼女は半身の姿勢になった。大きな身体をぐっと、低くする。
「むう、気配が変わったな?」
魔将ンシモナは、さすがに並の相手ではなかった。
クロノの変化を敏感に察して、剣を構え直す。
「……――私のすべてを、この剣技にこめる……」
「ほう、ならばこれを打ち破れば、我の勝ちということだな」
――クロノは応えない。
すでに技に入っていたのだ。
クロノはびゅんと旋回し、横なぎに剣を放った。
さらに踏み込みつつ旋回し、また剣を叩き込む。
「……クロノ式旋風剣、開眼というべきかな」
ダーは笑みをたたえたまま、目を細めた。
「馬鹿めが、しょせんにわか仕込みのつけ焼き刃よ!」
ンシモナはこの技の弱点を早々に見切った。
「敵に背を向ける馬鹿がいるか!!」
回転して背をむけた隙に、斬りかかった。
ただでさえ、背の高いクロノの背は、格好の目標だった。
だが、その剣は横にスライドするように弾かれた。
「なにいっ!!?」
ブラックタートルシールド、その大きい盾面を、片腕に装着している。ダーの細工によるものだった。
並の人間の膂力では不可能なことであった。盾の重さに振り回されるか、バランスを崩して転倒してしまうだろう。
だが、クロノトールの潜在能力は並大抵のものではない。
それはダーが、日ごろのベアハッグで嫌というほど理解していたことだった。
黒い剣は旋回し、ンシモナの胸甲をかすめる。
さらに旋回し、肩当を吹き飛ばす。
さらに旋回し、ガントレットを砕く。
隙をみて反撃するンシモナだが、ことごとくタートルシールドの巨大な面に防がれ、まるで当らない。
その剣はやがて――
ンシモナの兜を打ち砕いた。
一瞬、脳震盪をおこし、身体をぐらつかせるンシモナ。
あたかも先程のクロノと逆の状態となった。
しかし、連撃に入っているクロノに停滞はない。
容赦ない踏み込みとともに、横なぎの斬撃が襲った。
周囲の大地を、薔薇よりも鮮烈な紅が彩った。
ンシモナの頭蓋は、砕けちった。
ザラマの町の方面から、雷鳴のような大歓声が鳴り響いた。
次の瞬間、クロノはがっくりと両膝をついた。
「――勝者、クロノトール!!」
勝負を見届けたダーが叫んだ。
思わず、クロノの口許に笑みがこぼれる。
力なく垂れ下がった腕は、ぐっと空を掴み、さらに天へと突きあがる。
今日もまた、彼女は生き延びたのだ。
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