10 / 23
10:おにわ!おにわ!
しおりを挟む
目が覚めると、フドナス兄さんに抱きしめられ一緒にベッドで寝ていた。
「にいちゃん、にいちゃん」
「ん……あ、どした、しんどいのか?」
「んーん!どうしたの?」
「…あ、父さんの部屋から連れて戻ってきて寝かせようと思ったら、服を握ってたから、その、せっかくだし一緒に寝てたんだ」
「あ、ありがとう!」
「いや、ロス?どこもしんどくないか?」
「しんどくないよ」
「そうか…よかった…泣かせてごめんな」
「にいちゃん、の、せい、ちがうよ」
「いや、でも、話を聞かずに部屋に戻ろうって…」
「にーちゃん!」
自分を責めている様子の兄さんをどうすればいいのか分からずぎゅーっと抱きしめた。あなたのせいじゃないよという気持ちとありがとうの気持ちを込めて。
「そと、行きたかったんだろ?部屋戻ったらここにいた使用人から話を聞いたんだ。ナルが羨ましかったんだろ?」
「……まぜて!っていいに、いこうとしてたの」
「そうか…体調が大丈夫なら、俺と行くか?」
「いいの?!」
「いいよ。その前に、父さんの所へ行こうか」
「うん!!はやく!はやく、いこ?!」
「わかったから、落ち着け!…俺が抱っこして連れて行っていいか?」
「……だっこ!」
心配そうに手を伸ばされたら笑顔で受けるしかない。抱っこしてもらって、父さんの部屋へと向かう道中、初めての庭に胸が高鳴って、鼻歌がこぼれた。
「~~♪」
「…」
ルンルンで抱き抱えられ、父さんの部屋へ着き、俺がノックをする。
「とんとん!とうさ~ん!ろーりーれ~す!あけて、くらしゃい!♪」
「…」
「起きたんだね、ローリー」
「…」
「はい!あの、あの、えっと、おにわ、いっていいれすか!おにわ!にいちゃんちょ!しょちょ、れれいいれしゅか!!あ、おしょちょ、お、そ、と、いいれしゅか!」
「わかったわかった、とりあえず、おいで」
「…」
気持ちが早って噛み噛みセリフを入口で披露してしまった。父さんが微笑ましげに笑って抱っこを代わってくれる。ここまでの道から、今もずっと黙ったままのフドナス兄さんは何故かほっぺの内側を噛んでいるような顔をしていた。
「ローリー、お庭に行きたいんだってね」
「そうれす、まぜて!っていいにいこうと、してたの、さっきは」
「うんうん」
「にいちゃんが、いっしょにいこって、それれ、あの、あー、えっと、とうしゃんいくよって、おにわ、はじめて、おにわ、いい?いい?」
ダメだ全然興奮が収まらない。たかが庭に行けるだけでここまで興奮するとは思わなかったが、嬉しくてたまらない。今なら踊れそうだ。
「あは、いいよ。ただ、1人は心配だから、誰かと一緒に部屋から行くこと。いいね?」
「はい!はい!!やくしょく!けほ、まもます!!おにわ、いこ!いま、いく、いい?おにわ!おにわ!ケホ、はじめておにわ!!」
「落ち着きなさい。ローリー」
「ん!れも!おにわ、ろうしゃんも、いっしょ、いく?へんりしゅ、にいケホしゃんも、いっしょ!みんなれ!ケホケホ、みんなれ!はじめておにわ!!ゲホゲホッ、ゲボっ!」
「ローリー、お水飲もうか」
「ん、っ!…ッッ!!」
「ローリー、落ち着け、お水、ほら、のめ」
興奮しすぎて、父さんの腕の中でぐわんぐわん揺れながら訴えていると噎せてしまった。これで行っちゃダメだといわれたくなくて、必死に息を止めて我慢する。ヘンリス兄さんにお水を口に注がれ何とか喉を潤す。
「んく…っく…んっく…ぷぁ」
「「「……」」」
「落ち着いたか?」
「ん、ごめんなさい……」
「いいんだよ、しんどくないかい?」
「ん!へいき!」
「じゃあ、そうだね。せっかくお誘いを受けたし、みんなで庭に出ようか」
「!いいのですか!」
「ただし、あとでするよ」
「はい」
「みんなれ?」
「うん、行こうか」
「やったーー!!けほ…」
抱っこされたまま、みんなで庭へと向かった。
「にいちゃん、にいちゃん」
「ん……あ、どした、しんどいのか?」
「んーん!どうしたの?」
「…あ、父さんの部屋から連れて戻ってきて寝かせようと思ったら、服を握ってたから、その、せっかくだし一緒に寝てたんだ」
「あ、ありがとう!」
「いや、ロス?どこもしんどくないか?」
「しんどくないよ」
「そうか…よかった…泣かせてごめんな」
「にいちゃん、の、せい、ちがうよ」
「いや、でも、話を聞かずに部屋に戻ろうって…」
「にーちゃん!」
自分を責めている様子の兄さんをどうすればいいのか分からずぎゅーっと抱きしめた。あなたのせいじゃないよという気持ちとありがとうの気持ちを込めて。
「そと、行きたかったんだろ?部屋戻ったらここにいた使用人から話を聞いたんだ。ナルが羨ましかったんだろ?」
「……まぜて!っていいに、いこうとしてたの」
「そうか…体調が大丈夫なら、俺と行くか?」
「いいの?!」
「いいよ。その前に、父さんの所へ行こうか」
「うん!!はやく!はやく、いこ?!」
「わかったから、落ち着け!…俺が抱っこして連れて行っていいか?」
「……だっこ!」
心配そうに手を伸ばされたら笑顔で受けるしかない。抱っこしてもらって、父さんの部屋へと向かう道中、初めての庭に胸が高鳴って、鼻歌がこぼれた。
「~~♪」
「…」
ルンルンで抱き抱えられ、父さんの部屋へ着き、俺がノックをする。
「とんとん!とうさ~ん!ろーりーれ~す!あけて、くらしゃい!♪」
「…」
「起きたんだね、ローリー」
「…」
「はい!あの、あの、えっと、おにわ、いっていいれすか!おにわ!にいちゃんちょ!しょちょ、れれいいれしゅか!!あ、おしょちょ、お、そ、と、いいれしゅか!」
「わかったわかった、とりあえず、おいで」
「…」
気持ちが早って噛み噛みセリフを入口で披露してしまった。父さんが微笑ましげに笑って抱っこを代わってくれる。ここまでの道から、今もずっと黙ったままのフドナス兄さんは何故かほっぺの内側を噛んでいるような顔をしていた。
「ローリー、お庭に行きたいんだってね」
「そうれす、まぜて!っていいにいこうと、してたの、さっきは」
「うんうん」
「にいちゃんが、いっしょにいこって、それれ、あの、あー、えっと、とうしゃんいくよって、おにわ、はじめて、おにわ、いい?いい?」
ダメだ全然興奮が収まらない。たかが庭に行けるだけでここまで興奮するとは思わなかったが、嬉しくてたまらない。今なら踊れそうだ。
「あは、いいよ。ただ、1人は心配だから、誰かと一緒に部屋から行くこと。いいね?」
「はい!はい!!やくしょく!けほ、まもます!!おにわ、いこ!いま、いく、いい?おにわ!おにわ!ケホ、はじめておにわ!!」
「落ち着きなさい。ローリー」
「ん!れも!おにわ、ろうしゃんも、いっしょ、いく?へんりしゅ、にいケホしゃんも、いっしょ!みんなれ!ケホケホ、みんなれ!はじめておにわ!!ゲホゲホッ、ゲボっ!」
「ローリー、お水飲もうか」
「ん、っ!…ッッ!!」
「ローリー、落ち着け、お水、ほら、のめ」
興奮しすぎて、父さんの腕の中でぐわんぐわん揺れながら訴えていると噎せてしまった。これで行っちゃダメだといわれたくなくて、必死に息を止めて我慢する。ヘンリス兄さんにお水を口に注がれ何とか喉を潤す。
「んく…っく…んっく…ぷぁ」
「「「……」」」
「落ち着いたか?」
「ん、ごめんなさい……」
「いいんだよ、しんどくないかい?」
「ん!へいき!」
「じゃあ、そうだね。せっかくお誘いを受けたし、みんなで庭に出ようか」
「!いいのですか!」
「ただし、あとでするよ」
「はい」
「みんなれ?」
「うん、行こうか」
「やったーー!!けほ…」
抱っこされたまま、みんなで庭へと向かった。
89
あなたにおすすめの小説
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜
犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。
この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。
これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。
悪徳領主の息子に転生しました
アルト
ファンタジー
悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。
領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。
そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。
「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」
こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。
一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。
これなんて無理ゲー??
異世界人生を楽しみたい そのためにも赤ん坊から努力する
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は朝霧 雷斗(アサギリ ライト)
前世の記憶を持ったまま僕は別の世界に転生した
生まれてからすぐに両親の持っていた本を読み魔法があることを学ぶ
魔力は筋力と同じ、訓練をすれば上達する
ということで努力していくことにしました
孤児による孤児のための孤児院経営!!! 異世界に転生したけど能力がわかりませんでした
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はフィル
異世界に転生できたんだけど何も能力がないと思っていて7歳まで路上で暮らしてた
なぜか両親の記憶がなくて何とか生きてきたけど、とうとう能力についてわかることになった
孤児として暮らしていたため孤児の苦しみがわかったので孤児院を作ることから始めます
さあ、チートの時間だ
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる