前世は元気、今世は病弱。それが望んだ人生です!〜新米神様のおまけ転生は心配される人生を望む〜

a.m.

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10:おにわ!おにわ!

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目が覚めると、フドナス兄さんに抱きしめられ一緒にベッドで寝ていた。

「にいちゃん、にいちゃん」
「ん……あ、どした、しんどいのか?」
「んーん!どうしたの?」
「…あ、父さんの部屋から連れて戻ってきて寝かせようと思ったら、服を握ってたから、その、せっかくだし一緒に寝てたんだ」
「あ、ありがとう!」
「いや、ロス?どこもしんどくないか?」
「しんどくないよ」
「そうか…よかった…泣かせてごめんな」
「にいちゃん、の、せい、ちがうよ」
「いや、でも、話を聞かずに部屋に戻ろうって…」
「にーちゃん!」

自分を責めている様子の兄さんをどうすればいいのか分からずぎゅーっと抱きしめた。あなたのせいじゃないよという気持ちとありがとうの気持ちを込めて。

「そと、行きたかったんだろ?部屋戻ったらここにいた使用人から話を聞いたんだ。ナルが羨ましかったんだろ?」
「……まぜて!っていいに、いこうとしてたの」
「そうか…体調が大丈夫なら、俺と行くか?」
「いいの?!」
「いいよ。その前に、父さんの所へ行こうか」
「うん!!はやく!はやく、いこ?!」
「わかったから、落ち着け!…俺が抱っこして連れて行っていいか?」
「……だっこ!」

心配そうに手を伸ばされたら笑顔で受けるしかない。抱っこしてもらって、父さんの部屋へと向かう道中、初めての庭に胸が高鳴って、鼻歌がこぼれた。

「~~♪」
「…」

ルンルンで抱き抱えられ、父さんの部屋へ着き、俺がノックをする。

「とんとん!とうさ~ん!ろーりーれ~す!あけて、くらしゃい!♪」
「…」
「起きたんだね、ローリー」
「…」
「はい!あの、あの、えっと、おにわ、いっていいれすか!おにわ!にいちゃんちょ!しょちょ、れれいいれしゅか!!あ、おしょちょ、お、そ、と、いいれしゅか!」
「わかったわかった、とりあえず、おいで」
「…」

気持ちが早って噛み噛みセリフを入口で披露してしまった。父さんが微笑ましげに笑って抱っこを代わってくれる。ここまでの道から、今もずっと黙ったままのフドナス兄さんは何故かほっぺの内側を噛んでいるような顔をしていた。

「ローリー、お庭に行きたいんだってね」
「そうれす、まぜて!っていいにいこうと、してたの、さっきは」
「うんうん」
「にいちゃんが、いっしょにいこって、それれ、あの、あー、えっと、とうしゃんいくよって、おにわ、はじめて、おにわ、いい?いい?」

ダメだ全然興奮が収まらない。たかが庭に行けるだけでここまで興奮するとは思わなかったが、嬉しくてたまらない。今なら踊れそうだ。

「あは、いいよ。ただ、1人は心配だから、誰かと一緒に部屋から行くこと。いいね?」
「はい!はい!!やくしょく!けほ、まもます!!おにわ、いこ!いま、いく、いい?おにわ!おにわ!ケホ、はじめておにわ!!」
「落ち着きなさい。ローリー」
「ん!れも!おにわ、ろうしゃんも、いっしょ、いく?へんりしゅ、にいケホしゃんも、いっしょ!みんなれ!ケホケホ、みんなれ!はじめておにわ!!ゲホゲホッ、ゲボっ!」
「ローリー、お水飲もうか」
「ん、っ!…ッッ!!」
「ローリー、落ち着け、お水、ほら、のめ」

興奮しすぎて、父さんの腕の中でぐわんぐわん揺れながら訴えていると噎せてしまった。これで行っちゃダメだといわれたくなくて、必死に息を止めて我慢する。ヘンリス兄さんにお水を口に注がれ何とか喉を潤す。

「んく…っく…んっく…ぷぁ」
「「「……」」」
「落ち着いたか?」
「ん、ごめんなさい……」
「いいんだよ、しんどくないかい?」
「ん!へいき!」
「じゃあ、そうだね。せっかくお誘いを受けたし、みんなで庭に出ようか」
「!いいのですか!」
「ただし、あとでするよ」
「はい」
「みんなれ?」
「うん、行こうか」
「やったーー!!けほ…」

抱っこされたまま、みんなで庭へと向かった。
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