【完結】ミキって書かせて頂きます

すみ 小桜(sumitan)

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19話 接触

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 「ありましたね」

 がそごそと、袋の中身を確認し、伊東が言った。
 袋の中身は、楠のズボンと、床を拭いたであろうタオルが入っている。
 それは、伊藤の部屋から見つかった。

 「お前が、だいいち……第一発見者にならなければ捕まる事はなかった! 死体が発見される前に、証拠を処分する事が出来たのに! なぜあんな行動をしたんだ!」

 八田は、手錠を掛けられ両脇を警官に押さえつけられた状態で、伊藤に食って掛かった!

 「だって、廊下側のノブの指紋を拭いてない事に、今朝気が付いたから……」
 「は? 意味わかんねぇ!」

 伊藤がガクッと膝を付き答えるも、八田は怒鳴りつける。

 「もしかして、指紋の付いた順番か?」
 「私のが一番上だって気が付いたのよ。彼女のが一番上じゃないとおかしいでしょう……」

 項垂れて、遊佐の質問に伊藤は答えた。

 「何やってんだよ! そんなの拭いときゃ……」
 「もう、やめて!」

 耳を押えて、相内が泣き崩れる。

 「大丈夫ですか?」

 遊佐が彼女に寄り添った。
 ミキは、チラッと相内を見ると伊藤に話しかける。

 「ねえ、アカネさん。楠さんと何があったのか話して。彼女の最期を知りたいの」
 「おい、この状況でか?」

 ミキの語り掛けに、遊佐は驚く。

 「私も知りたいわ。どうして、こうなったのか……」

 もう聞きたくないと言っていた相内が賛成し、遊佐は更に驚いた。

 「本当は私、楠さんの事忘れていたの。でも楠さんはきっと、私に気が付いていたわ。私は、気づけなかったのに。……彼女、怒るどころか謝ったのよ。もしかしたら、あなた達を殺してしまうかもと思ったのかもしれない」

 ミキのその言葉に、伊藤は弱弱しく頷いた。
 もう、強気の彼女では、なくなっていた。

 「殺すつもりなんてなかったの……」

 そう言うと、伊藤は静かに語り始める――


 ○ ○


 ――部屋の中は、お酒の香りが充満していた。

 「もう零時過ぎだ」
 「あら、もうこんな時間」

 八田が言うと、伊藤も時間を確認し頷く。時刻は零時十分。

 「じゃ、もうお開きする?」
 「そうだな」

 相内が提案すると、八田が同意した。

 「じゃ、シメはこれどうぞ。私、特製ドリンクよ。明日の朝、スッキリと起きられて、二日酔い知らずよ」

 伊藤はそう言いつつ、空いているグラズに特製ドリンクを注ぐ。
 それを手に取り相内は、一口飲んだ。

 「ありがとう。あら、おいしい!」

 相内は、八田に振り向く。

 「秋広も頂いたら?」
 「俺は、いいよ。おなかいっぱい」
 「では、私は部屋に戻るわ。お休みなさい」

 八田が断ると、伊藤は部屋を出て行った。
 その後相内は、ドリンクを飲み干した。
 パタンとドアを閉め振り返った伊藤は驚く。
 自分の部屋の前に、楠がいたからである。

 「驚かさないでよ。私に何か用?」
 「私もそれ、飲みたいわ」

 左手に持ったトートバックを、楠は指差した。

 「もしかして、覗いていたの? ……別にいいわよ。あなたのお部屋行きましょう」

 驚くも、断ったら不自然だろうと、伊藤は承諾する。
 楠の部屋に入ると、伊藤はコップに特製ドリンクを注ぐ。

 「どうぞ。日持ちしないから、直ぐに飲んでね」
 「ありがとう。……ねえ、あなたも一緒に飲まない?」
 「私は、部屋に戻ってから飲むからいいわ」
 「……そう」

 伊藤は、楠の態度がおかしいと思った。何かを確信したかのような顔をした。しかも、飲みたいと言いながら、口にしようとしない。

 「別に何も入ってないわよ?」

 その言葉に俯き、低い声で楠はこう言った。

 「……嘘付き。睡眠薬が入っているでしょう!」

 突然の変貌に、伊藤は驚く。

 「何、言い出すのよ。入っている訳ないでしょう?」
 「じゃ、飲んで見せてよ!」
 「バカバカしい。もう戻るわ!」

 ふんっと、伊藤がドアに向かう。

 「別に警察に持っていくだけよ!」

 その言葉に、伊藤はピタッと歩みを止める。

 「なんなのあなた?」

 伊藤は、振り向き睨み付けるも、楠も睨み付けていた。
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