ランクアップ!~枕が誘(いざな)う夢の世界で……

すみ 小桜(sumitan)

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チーム『ミチル』

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 私は毒の沼に歌いながら向かっていた――。


 「優しい風よ。傷を癒せよ♪」


 まるで口ずさむ様に足取りも軽い。


 「優しい風よ。傷を癒せよ♪」


 体が光に包まれた。

 歌は一分以内に同じ歌を歌っても発動しないらしい。MPもSPも消費しないので、練習の為に歌っていた。


 「優しい風よ。傷を癒せよ♪」


 うん。覚えた。
 そうだSPの方も覚えよう。暇だし。

 毒の沼に到着し、沼を背にする。


 「ステータスオープン」


 SPの歌はまだ覚えていないので見ながら歌う事にした。


 「研ぎ澄まされた技を使う者の癒しの時間。みなぎる力の源よ。蘇れ♪ 優しい風よ。傷を癒せよ♪」


 私の体は二度光に包まれた。

 おぉ続けて歌ってもちゃんとカウントしてくれている!
 いや本当に詩人をサブにしてよかったぁ。


 「ねえ、なつめ。この髪を掴んでもいい?」


 私の左肩に座るシシリーが突然そう言ってきた。
 落ちそうとか? 飛べるのに?


 「別にいいけどなんで?」

 「隠れる為よ」


 あぁ。そういう事。

 シシリーは、髪を前にして隠れた。


 「でもそれ、一部分だけだし、歩いたら揺れて見えちゃうと思うけど……」

 「やっぱり、そう? 咄嗟だと見つかっちゃうと思うのよね……。村に行くんだよね? もう一層の事オープンにしちゃう?」

 「え? 変に思われない? シシリーが見つかった時、結構注目されたんだけど……」

 「私達が騒いだからね。私はどっちでも構わないわよ」


 そう言えば、シシリーって私以外の人でも触れらるのかな?


 「ねえ、シシリーって他の人に見えるだけじゃなくて、触れるの?」

 「えぇ、そうね」


 頷いで答えた。


 「と、いう事は誘拐される可能性もあるんだ!」

 「まあ、なくもないけど。私を連れ去っても意味ないけどね」


 そうかもしれなけど、珍しいのだからありえるよね? 私は連れ去ろうとは思わないけど、手に入れる方法を知りたくなるわ!
 そう考えると、シシリーが見えると厄介よね……。
 なんかいい方法ないかな?
 そうだ服にポケットとかないのかな?

 私は神官の服を触って確かめるもポケットはなかった。
 うん? あった! ポケットの代わりになるもの!


 「ねえ、シシリー。これに潜れる?」


 指差したのは、腰にぶら下がっている寝袋。
 もうほとんど使う事もないだろうから、シシリー用にしても問題ないよね?


 「どれどれ……」


 シシリーは、足から寝袋に入って行く。


 「これいいわ~」

 「よし! 解決!」


 問題は、歩いたら揺れるから酔わないかだけど、妖精だから大丈夫だよね?


 『ミチルだけど、もう少しで着くから、毒の沼の前に集合な!』

 「ミチルへ――はーい! ……どうぞ」


 勘があたったわ! 待ち合わせにちょうどいいもんね。


 「お待たせ!」


 ほどなくしてミチルは現れた。


 「いえ。わざわざ来てくれてありがとう」

 「あ、でさ、悪いんだけどもう一回だけお願いしていい?」


 そう言って出して来たのは、巾着袋。ミチルは、五つ葉の採取を要求してきた!


 「え? 終わりって言ったよね?」

 「あ、いや。これ俺の。お金も払うからさ。宜しく頼むよ。はい、100G」


 抜かりないわね、この人……。

 ニッコリしてミチルは立っている。
 仕方なく、100Gと巾着袋を受け取り、毒の沼に入る。

 100個入れ終わると、ミチルに渡した。


 「サンキュ。いやぁ、助かった。これでランク上げられる!」

 「そ、それはよかったわね」


 まあ、いいか。ついでだしね。


 「うんじゃ、チーム組もうぜ」


 ミチルは手を出して来た。今回は、手のひらを下にしている。握手ではなさそう。


 「えっと……」

 「あ、そっか。この上に手を重ねて」


 え……。気合い入れるあれみたいですね。エイエイオーって……。
 そっと、手を重ねる。


 《チーム『ミチル』に入りますか?》


 「はい……」


 《チーム『ミチル』に入りました》


 何と言うかこのゲーム、アクション? が恥かしいのですが……。
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