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37話
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「メルティ! ここに居たのか。帰るぞ!」
ノックと同時にドアが開き、メルティを見つけるとイヒニオが焦った様に言い放つ。
「あら、随分と慌てていらっしゃいますね」
涙のあとを拭きつつ立ち上がった、ラボランジュ公爵夫人が言った。
「メルティのお披露目は終わりましたので、連れて帰ります」
「いいえ。今日は自宅へご招待しているの」
「そ、そんな話は聞いておりません! 帰るぞ、メルティ」
メルティに近づいたと思ったらイヒニオは、彼女の手首を掴んだ。
「待って下さい。叔父様」
「叔父様だと……」
凄い形相でイヒニオが振り向いた。
「やはりあなたが、契約者でしたか。契約を破るとはな」
「契約は破っておりませんわよ」
「メルティが、レドゼンツ家の爵位を継ぐ年齢になるまでは、契約の事は告げない事になっていたはずですが」
「何のお話ですの?」
一緒に訪れていたクラリサが、一人話についていけなく叫ぶ。
突然、メルティがイヒニオを叔父と呼び、契約の話などが会話に出て来たからだ。
自分がイヒニオの娘ではないと知った時泣いていたメルティが、今は堂々としている。どうなっているのか。
「まずは、落ち着いてください。伯爵、メルティ嬢の手を離して下さい」
「………」
ふんっと、イヒニオはメルティを掴んでいた手を離す。
「契約は破られておりませんよ。但し書きがあったでしょう」
「まさか婚約の話を言っているのですか? 権力を使って、ルイス殿下を焚きつけて!」
ビシッと、ラボランジュ公爵夫人に指をさし言うイヒニオ。その目は血走っている。
「嫌ですわ。権力だなんて。ルイス殿下の方が私より権力が上ですわよ。ですので、逆ですわね。ルイス殿下から頼まれましたのよ。メルティと婚約したいから協力をして欲しいと。あら、権力であっていましたわね」
「「え!」」
メルティとクラリサの驚きの声が重なる。
ラボランジュ公爵夫人は、嬉しそうに返すが、イヒニオは更に憤っていた。
「リンアールペ侯爵夫人を送り込んだりして、姑息な事をしておいて!」
「あら嫌だわ。褒められちゃった」
褒められてはいないとわかって、ラボランジュ公爵夫人はイヒニオを煽る。
「まあ怖い顔。私もまだまだね。策略に気づかずにあなたにお願いしちゃって。でも挽回できたわ。一つ言っておきますが、リンアールペ侯爵夫人は私達の契約の事は何も知りませんわよ。ただ、あなた達がメルティにどう接しているか確認して欲しいとはお願いしましたけどね」
「うぐぐ。私は、契約を破っていないぞ!」
「お父様! どういう事ですの! 説明なさってください」
「お前は黙っておれ!」
「聞かせてあげてはどうですか? 彼女にも嘘を教えていたでしょう。メルティを養女だと」
「な……クラリサ?」
凄い形相のままイヒニオがクラリサに振り返る。
「ひい。だって! お父様達が言ったではありませんか。私が聞いたらメルティは自分の子供ではないと。メルティが生意気だったから……」
「あれほど言うなと言ったのに!!」
イヒニオに怒鳴られ、クラリサは泣き出す。
「はぁ。親子喧嘩なら外でやって下さらない」
「契約違反をしておいて何を言う! クラリサがルイス殿下と婚約するのだ!」
「諦めが悪いのね」
「あの……」
メルティがおずおずと声を掛ける。
契約の事が本人であるメルティに知れて、ルイスがメルティと婚約すると言っていると言うのに、イヒニオが引かないのだ。
それどころか、ルイスと婚約するのはクラリサだと言い張る。
どう見ても、無理だろう。
ルイスがメルティと婚約しなかったとしても、聖女ではないクラリサとルイスが婚約はしないだろう。
もうメルティが、クラリサを聖女にする為に協力する事はないのだから。
皆がメルティに目を向けた。
「何だ。お前はもう、レドゼンツ家を継げないぞ!」
「え!?」
「その女のせいで契約不履行になってな。私がそのままレドゼンツ家の当主だ。そして、クラリサが婿を迎え当主となるのだ」
その際、ルイスを婿に迎えると言うのだから、おこがましい。
「困った人ね。さっきも言ったでしょう。婚約すれば成人と同等とみなし、16歳を待たずに家名を継ぐと但し書きにあると」
「何を言う。婚約などしていないだろう」
「そうね、まだ、発表されていないわね。メルティがデビュタントをするのを待って、ルイス殿下が陛下にお願いするそうよ。なので近々発表になるでしょう」
ラボランジュ公爵夫人がそう言うと、イヒニオが悔しがる所かニヤリとする。
「あははは。残念だったな。まだ発表されていない! なので成人とみなされていない! 先走ったな!」
勝ち誇った様にイヒニオが言った。
後ろに立つファニタも、嬉しそうな顔つきになる。泣き止んだクラリサが勝ち誇ったイヒニオをジッと見つめていた。
そんな三人をメルティは、困惑した表情で見つめる。この人達はずっと、レドゼンツ家を乗っ取る為に自分と暮らしていたのだと――。
ノックと同時にドアが開き、メルティを見つけるとイヒニオが焦った様に言い放つ。
「あら、随分と慌てていらっしゃいますね」
涙のあとを拭きつつ立ち上がった、ラボランジュ公爵夫人が言った。
「メルティのお披露目は終わりましたので、連れて帰ります」
「いいえ。今日は自宅へご招待しているの」
「そ、そんな話は聞いておりません! 帰るぞ、メルティ」
メルティに近づいたと思ったらイヒニオは、彼女の手首を掴んだ。
「待って下さい。叔父様」
「叔父様だと……」
凄い形相でイヒニオが振り向いた。
「やはりあなたが、契約者でしたか。契約を破るとはな」
「契約は破っておりませんわよ」
「メルティが、レドゼンツ家の爵位を継ぐ年齢になるまでは、契約の事は告げない事になっていたはずですが」
「何のお話ですの?」
一緒に訪れていたクラリサが、一人話についていけなく叫ぶ。
突然、メルティがイヒニオを叔父と呼び、契約の話などが会話に出て来たからだ。
自分がイヒニオの娘ではないと知った時泣いていたメルティが、今は堂々としている。どうなっているのか。
「まずは、落ち着いてください。伯爵、メルティ嬢の手を離して下さい」
「………」
ふんっと、イヒニオはメルティを掴んでいた手を離す。
「契約は破られておりませんよ。但し書きがあったでしょう」
「まさか婚約の話を言っているのですか? 権力を使って、ルイス殿下を焚きつけて!」
ビシッと、ラボランジュ公爵夫人に指をさし言うイヒニオ。その目は血走っている。
「嫌ですわ。権力だなんて。ルイス殿下の方が私より権力が上ですわよ。ですので、逆ですわね。ルイス殿下から頼まれましたのよ。メルティと婚約したいから協力をして欲しいと。あら、権力であっていましたわね」
「「え!」」
メルティとクラリサの驚きの声が重なる。
ラボランジュ公爵夫人は、嬉しそうに返すが、イヒニオは更に憤っていた。
「リンアールペ侯爵夫人を送り込んだりして、姑息な事をしておいて!」
「あら嫌だわ。褒められちゃった」
褒められてはいないとわかって、ラボランジュ公爵夫人はイヒニオを煽る。
「まあ怖い顔。私もまだまだね。策略に気づかずにあなたにお願いしちゃって。でも挽回できたわ。一つ言っておきますが、リンアールペ侯爵夫人は私達の契約の事は何も知りませんわよ。ただ、あなた達がメルティにどう接しているか確認して欲しいとはお願いしましたけどね」
「うぐぐ。私は、契約を破っていないぞ!」
「お父様! どういう事ですの! 説明なさってください」
「お前は黙っておれ!」
「聞かせてあげてはどうですか? 彼女にも嘘を教えていたでしょう。メルティを養女だと」
「な……クラリサ?」
凄い形相のままイヒニオがクラリサに振り返る。
「ひい。だって! お父様達が言ったではありませんか。私が聞いたらメルティは自分の子供ではないと。メルティが生意気だったから……」
「あれほど言うなと言ったのに!!」
イヒニオに怒鳴られ、クラリサは泣き出す。
「はぁ。親子喧嘩なら外でやって下さらない」
「契約違反をしておいて何を言う! クラリサがルイス殿下と婚約するのだ!」
「諦めが悪いのね」
「あの……」
メルティがおずおずと声を掛ける。
契約の事が本人であるメルティに知れて、ルイスがメルティと婚約すると言っていると言うのに、イヒニオが引かないのだ。
それどころか、ルイスと婚約するのはクラリサだと言い張る。
どう見ても、無理だろう。
ルイスがメルティと婚約しなかったとしても、聖女ではないクラリサとルイスが婚約はしないだろう。
もうメルティが、クラリサを聖女にする為に協力する事はないのだから。
皆がメルティに目を向けた。
「何だ。お前はもう、レドゼンツ家を継げないぞ!」
「え!?」
「その女のせいで契約不履行になってな。私がそのままレドゼンツ家の当主だ。そして、クラリサが婿を迎え当主となるのだ」
その際、ルイスを婿に迎えると言うのだから、おこがましい。
「困った人ね。さっきも言ったでしょう。婚約すれば成人と同等とみなし、16歳を待たずに家名を継ぐと但し書きにあると」
「何を言う。婚約などしていないだろう」
「そうね、まだ、発表されていないわね。メルティがデビュタントをするのを待って、ルイス殿下が陛下にお願いするそうよ。なので近々発表になるでしょう」
ラボランジュ公爵夫人がそう言うと、イヒニオが悔しがる所かニヤリとする。
「あははは。残念だったな。まだ発表されていない! なので成人とみなされていない! 先走ったな!」
勝ち誇った様にイヒニオが言った。
後ろに立つファニタも、嬉しそうな顔つきになる。泣き止んだクラリサが勝ち誇ったイヒニオをジッと見つめていた。
そんな三人をメルティは、困惑した表情で見つめる。この人達はずっと、レドゼンツ家を乗っ取る為に自分と暮らしていたのだと――。
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