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第三章 仕掛けられた罠
第三十二話
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エイブを信じてはだめだと確かに皆に言われた。しかし、彼の言動は、噂とは結びつかなかった。もし先に噂を聞いていたならば、彼の印象は違っていたかもしれない。
(噂の失踪した人って、もしかしてご主人様ってところに……)
そう思いつくとティモシーは口を開いていた。
「もしかして噂のいなくなった人って……」
「そうだよ。自分に関連ある人を売ったら、色々面倒な事になっちゃってね。暫く大人しくしていたんだ」
詫びれもなくエイブは、にっこり笑って言った。
(噂は本当だった!)
殺されてはいなかったが、失踪した原因は彼にあった。
(皆が止めてくれたのに。俺、バカだ! ……そうだベネットさんと一緒だったんだ。このまま俺がいなくなったら迷惑がかかる! 何とかして逃げないと……)
何とか逃れられないかと、今更ながら手や足をバタつかせるが無駄だった。
「大人しくしなよ。逃げられないよ。俺、魔術師だから」
ティモシーは、目を見開く。それは驚いたフリをしたのではなく、自分から名乗ったからである。ティモシーにしてみれば、信じられなかった。
「俺がもし逃げ出したらって、考えないのか!」
「逃げ出す? 無理だよ」
エイブはおかしいと笑う。
「さっき刻印っていたでしょ? あれ、人の体に魔法陣を刻むんだよ。君が死ぬか俺が死ぬまで有効だ。だけどね、俺が死んだら君も死ぬんだよ。心臓の上に描くからね」
そう言って、ティモシーの左胸を人差し指でなぞった。ティモシーは、ゾッとする。
「や、やだ!」
「やだと言われてもなぁ……。決定事項だから。君の容姿にその薬師の腕なら今までで一番の値がつくかもね。楽しみだよ」
ティモシーは、彼にいつもの笑顔でそう言われ、絶望しかなくなった。
「少し痛いかも知れないけど、我慢してよね」
「やめろー」
エイブは叫ぶティモシーを無視し、人差し指を左胸に当てた。
バチッ!
「うん? なんだ? レジストされた?」
ティモシーには思い当たる事があった。母親がくれたペンダントだ。ティモシーの魔力を封印するものだが、攻撃の魔術以外はレジストするよう付与してあった。本来はレジストしてもその事がバレる事はほとんどないが、直接触れたので気づかれたのである。
エイブは、ティモシーの頭から胸まで見下ろし、首元に手を伸ばした。
「これか?」
ペンダントのチェーンを掴み、首から外す。
「返せ!」
その声を無視し目の前に掲げ、ペンダントをマジマジ見ると、エイブはニンマリとする。
「これどこで手にいれたのさ」
ペンダントから目を離すと、ティモシーを見てもう一度言う。
「どこで手に入れたの?」
「こ、この街に来た日に、父親が買ってくれた……」
ジッと探るようにエイブはティモシーを見た。ティモシーは、嘘だとバレたらどうしようと息を飲む。
「ふうん、そう。息子にペンダントか……。まあ、いいや。これは俺がもらっておく」
そう言うとペンダントを自分のポケットにしまう。
「ちょ! それ返せよ! 買ったのそれだけなんだ!」
「これはね。マジックアイテムっと言って、貴重な物なんだ。君には必要ないものだよ」
(何言ってんだ! 俺のだし! 必要あるものだし!)
心の中で叫ぶが、今の台詞でエイブは魔力を抑える効果までは気づいていないのがわかった。つまりはティモシーが、魔術師だという事に気づいてはいない。だがそんな事がわかったところで事態は変わらない。
ティモシーが魔術を使える状態になったが、歯向かう事さえできないのもわかっていた。
ティモシーは、刻印という言葉さえ知らなかったのだから……。
「さて、覚悟はいい?」
「よくない!」
エイブは聞いておきながら、ティモシーの返事は無視し、作業に取り掛かる。指先が胸に触れると激痛が走った!
「うわー!」
ティモシーは、叫び足をバタつかせる。
少しと言われたが、ナイフを突き立てらえたような痛みだった。
「あのさ、声大きすぎ! 耳が痛いよ」
「だったらもうやめろ」
声が後方から聞こえ、エイブは驚いて振り向いた。
そこには、ティモシーが見た事がない人物が立っていた。
(噂の失踪した人って、もしかしてご主人様ってところに……)
そう思いつくとティモシーは口を開いていた。
「もしかして噂のいなくなった人って……」
「そうだよ。自分に関連ある人を売ったら、色々面倒な事になっちゃってね。暫く大人しくしていたんだ」
詫びれもなくエイブは、にっこり笑って言った。
(噂は本当だった!)
殺されてはいなかったが、失踪した原因は彼にあった。
(皆が止めてくれたのに。俺、バカだ! ……そうだベネットさんと一緒だったんだ。このまま俺がいなくなったら迷惑がかかる! 何とかして逃げないと……)
何とか逃れられないかと、今更ながら手や足をバタつかせるが無駄だった。
「大人しくしなよ。逃げられないよ。俺、魔術師だから」
ティモシーは、目を見開く。それは驚いたフリをしたのではなく、自分から名乗ったからである。ティモシーにしてみれば、信じられなかった。
「俺がもし逃げ出したらって、考えないのか!」
「逃げ出す? 無理だよ」
エイブはおかしいと笑う。
「さっき刻印っていたでしょ? あれ、人の体に魔法陣を刻むんだよ。君が死ぬか俺が死ぬまで有効だ。だけどね、俺が死んだら君も死ぬんだよ。心臓の上に描くからね」
そう言って、ティモシーの左胸を人差し指でなぞった。ティモシーは、ゾッとする。
「や、やだ!」
「やだと言われてもなぁ……。決定事項だから。君の容姿にその薬師の腕なら今までで一番の値がつくかもね。楽しみだよ」
ティモシーは、彼にいつもの笑顔でそう言われ、絶望しかなくなった。
「少し痛いかも知れないけど、我慢してよね」
「やめろー」
エイブは叫ぶティモシーを無視し、人差し指を左胸に当てた。
バチッ!
「うん? なんだ? レジストされた?」
ティモシーには思い当たる事があった。母親がくれたペンダントだ。ティモシーの魔力を封印するものだが、攻撃の魔術以外はレジストするよう付与してあった。本来はレジストしてもその事がバレる事はほとんどないが、直接触れたので気づかれたのである。
エイブは、ティモシーの頭から胸まで見下ろし、首元に手を伸ばした。
「これか?」
ペンダントのチェーンを掴み、首から外す。
「返せ!」
その声を無視し目の前に掲げ、ペンダントをマジマジ見ると、エイブはニンマリとする。
「これどこで手にいれたのさ」
ペンダントから目を離すと、ティモシーを見てもう一度言う。
「どこで手に入れたの?」
「こ、この街に来た日に、父親が買ってくれた……」
ジッと探るようにエイブはティモシーを見た。ティモシーは、嘘だとバレたらどうしようと息を飲む。
「ふうん、そう。息子にペンダントか……。まあ、いいや。これは俺がもらっておく」
そう言うとペンダントを自分のポケットにしまう。
「ちょ! それ返せよ! 買ったのそれだけなんだ!」
「これはね。マジックアイテムっと言って、貴重な物なんだ。君には必要ないものだよ」
(何言ってんだ! 俺のだし! 必要あるものだし!)
心の中で叫ぶが、今の台詞でエイブは魔力を抑える効果までは気づいていないのがわかった。つまりはティモシーが、魔術師だという事に気づいてはいない。だがそんな事がわかったところで事態は変わらない。
ティモシーが魔術を使える状態になったが、歯向かう事さえできないのもわかっていた。
ティモシーは、刻印という言葉さえ知らなかったのだから……。
「さて、覚悟はいい?」
「よくない!」
エイブは聞いておきながら、ティモシーの返事は無視し、作業に取り掛かる。指先が胸に触れると激痛が走った!
「うわー!」
ティモシーは、叫び足をバタつかせる。
少しと言われたが、ナイフを突き立てらえたような痛みだった。
「あのさ、声大きすぎ! 耳が痛いよ」
「だったらもうやめろ」
声が後方から聞こえ、エイブは驚いて振り向いた。
そこには、ティモシーが見た事がない人物が立っていた。
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