【完結】魔術師なのはヒミツで薬師になりました

すみ 小桜(sumitan)

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第十二章 たがう二人の王子

第百三十六話

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 「誰だか知らないが、邪魔立てすると一緒に切り捨てるぞ」
 「俺は、魔術師組織チミキナスナの一員だ。別に受けて立つぞ」

 魔術師の組織と聞き、ハミッシュはトンマーゾを睨み付ける。

 「お前が!」
 「言っておくが、剣は飛んで来ないぞ。仕組みは知っているんでな」

 トンマーゾの言葉に、初めてハミッシュが焦りを見せる。

 「ところでミュアン。このまま一緒に来ないか? 匿ってやるよ」
 「一緒に行くとお思いですか! あなたは私のかたきの相手ですよ! 親や兄を殺しておきながよく言えます!」

 トンマーゾの誘いに怒鳴るようにミュアンは叫ぶ!

 「おいおい。あれは戦争だろう? それに、殺したのは俺じゃない。俺はただの組織の一員なだけだ」
 「同じ事ではないですか! あの国が結成した組織でしょう!」
 「まあ、結成当時はな。今は色んな奴が一員にいるよ。って、敵は組織連中にはいないと思うぜ。命令したのは国のトップだ。仇討ちに行くならそっちに行けよ」

 ミュアンは、悔しそうにトンマーゾを見ていた。

 「戦争? どういう事だ?」
 「何も聞いてないのか。まあ、知りたいのなら本人に聞けばいいさ」

 ルーファスの言葉にトンマーゾがそう返す。ミュアンは何も言わなかった。

 (戦争? そんな話し聞いてない……)

 「で、ティモシーお前はどうする? 一緒に来るか?」

 ティモシーは首を横に振る。

 「逃げ回るよりはマシじゃないか? 俺達も魔術師を集めているんだよ。ハルフォード国のようにな」
 「あれは、あの男が勝手にやった事だ! 国の意思じゃない!」

 トンマーゾの言葉にハミッシュは叫んだ!

 「あの男? レオナール王子の事か? お前誰だ?」
 「俺はハルフォード国第一王子ハミッシュだ!」
 「第一?」

 トンマーゾはジッとハミッシュを見て呟く。

 「きっと殺されるからな」
 「なんだと! どういう事ですか! ハミッシュ殿!」
 「そこの二人を庇い立てすれば死罪だ!」

 ハミッシュの言葉に皆唖然とする。

 「まて、それは本当の事か?」
 「あぁ」

 ルーファスの問いかけにハミッシュは返事をし肯定した。

 「なんで! 俺達が何をしたと? だいたい庇っただけで死罪なんて!」

 ティモシーは叫ぶ!

 「それが父上の意思なんでな!」
 「おっと!」

 ティモシーに向けハミッシュはナイフを投げた。いや、また特殊な魔術を使い突然ナイフが飛んできた! それを器用にトンマーゾはキャッチした!

 「お前、暗殺者かよ? しかし、息子にそこまでさせるとはな……」

 トンマーゾが冷ややかな目でハミッシュを見て言った。

 「ミュアン。こいつが死ねば、お前達はもう追われる事はないだろ!」

 台詞が言い終わる頃には、トンマーゾはハミッシュの横に立っていた。そして、ハミッシュは膝から崩れ倒れた……。

 「き、貴様……」

 ハミッシュは、トンマーゾを睨み付ける。
 ハミッシュが放ったナイフをトンマーゾが彼の腹部に刺したのだ!

 「ハミッシュ殿!」

 驚いてルーファスは叫ぶ!

 「あなた何を!」
 「おや? 今回はこれで助かったんだろう? ミュアン、いつまで逃げ回るつもりだよ。ティモシーがそのうちこいつのようになるかも知れないぜ」

 ミュアンが声を掛けると、トンマーゾはそう返した。

 「今回は引き下がるが、次には組織に連れて帰るからな!」

 そしてそう言って走り出す。

 「ハミッシュ様!」

 逆に向かって来る人物がいた。ティモシー達に魔術を遠くから放っていたヒースだ。彼は、束ねた桃色の髪を大きく揺らし走っていた。

 「ハミッシュ殿、気を確かに! ランフレッド、馬車の手配を!」
 「っは」

 ルーファスに言われランフレッドは馬に向かう。

 「ハミッシュ様!」

 到着したヒースは、ハミッシュを抱きかかえようとする。

 「待て! 直ぐに王宮に連れ帰る!」
 「助けると言うのか?」
 「あぁ。勿論だ」

 ヒースの問いにルーファスは頷く。

 「ヒース……すまない」

 ハミッシュの言葉にヒースは首を横に振る。

 「すまないが、君達も一度王宮に戻ってほしい」

 ルーファスは、ティモシーとミュアンに言った。
 ミュアンは、チラッとティモシーを見た。彼は項垂れていた。

 「わかったわ」

 そうミュアンが答えた時、ハミッシュは最後の力で何かを放った。驚くもそれは空中に飛び消えて行った……。そして彼は意識を失った――。
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