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第十三章 嘘に紛れた思惑
第百五十二話
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「心配ないよ。助けたのは本当で俺が勝手にやった事。あいつが笑っているのは、ティモシーの行動がおかしくて笑っているだけだから。でもできれば、もう少し考えて行動したほうがいいよ、君は……」
「ティモシーにそんな事を言っても無駄だろう? 思い付きだけで行動している。学習能力もない。お前、未だにあの時生き延びたのってエイブのお気に入りだからだと思ってるだろう?」
笑いが落ち着きトンマーゾは言った。
「え……?」
トンマーゾは、刻印を刻み解放した時の事を言っていた。ティモシーがわからないという顔つきで彼を見たのでやれやれとトンマーゾは語る。
「あの時解放したのは、ミュアンの子かもしれないと思ったからだ。ミュアンに子供がいるという情報を得てな。
お前、皇女と逃げた時に結界を張ったよな? あれはお前だろう?」
その言葉にティモシーは驚いた。気づかれていたとは思わなかった。いやブラッドリーが気が付いていたのだから気が付いていてもおかしくはない。
「そして、あのペンダント。あれ、封印のペンダントだった。なのにレジストの付与……」
それもバレていたのかとティモシーは更に驚く。つまり泳がされていた。
「へえ。封印ねぇ。そう言えばそのペンダント今してないよね? どうしたの?」
「母さんが壊した……」
ティモシーは俯いてボソッと返した。
「っち。壊してしまったのかよ。それで追えるかもと思ったんだがな」
その言葉に、あの時成り行きを見ていてあの場に現れたのではなく、本当にギリギリ助けに入ったのだと知った。
「何故あの時、ハミッシュ王子を殺さなかったの?」
「何故殺さなくてはいけない?」
「何故って……イリステーナ皇女は殺そうとしたじゃないか!」
トンマーゾに顔を向けティモシーは叫んだ。
「そういう命令だったからな。あ、そう言えばレオナール王子の方はどうした?」
「生きているよ!」
「ほう。よくお前を王宮から出したな」
「今、この国にいないんで……」
「という事は、情報通りヴィルターヌ帝国に行ってるって事か」
トンマーゾの言葉にティモシーはしまったと思った。彼は、レオナールが母国に帰れないのを知っていたからだ。
「王宮を襲う気?」
キッとして睨み付けティモシーは問う。
「お前、大きな勘違いをしている。俺は別にエクランド国を貶める為にここに潜伏している訳じゃねぇ。担当地域がここだからここにいるだけだ!」
「へぇ。そうなんだ……」
関心したように言ったのは、ティモシーじゃなくてエイブだった。
「この際だ。教えてやる。俺の任務は、この国での魔術師と薬師の確保だ! 組織の者は、各国に数名ずつ潜伏している。俺達の最終目的は、魔術師の世界の復活だ」
エイブがティモシーに言っていた事は本当だった。だが、確保と目的との関係がよくわからない。
「なんで、魔術師の世界の復活に魔術師と薬師の確保なの?」
「それを聞くって事は、仲間になるって事でいいか?」
トンマーゾは質問を質問で返す。
「そうしなよティモシー。君はここから逃げ出せないから……。だってこの森からは抜け出せないからね」
エイブはそう言って窓の外の森を指差した。ティモシーは、視線を窓の外に向けた。
「迷いの霧があって森に入れば森から抜け出せなくなる。だから、ここから逃げ出せない。また逆にここに居れば追っ手はこない」
窓からエイブに視線を移すと彼は、真剣な顔つきでティモシーを見つめていた。
「………」
ティモシーは俯き、ふとんをギュッとつかむ。どうしていいかわからなかった。
「ティモシーにそんな事を言っても無駄だろう? 思い付きだけで行動している。学習能力もない。お前、未だにあの時生き延びたのってエイブのお気に入りだからだと思ってるだろう?」
笑いが落ち着きトンマーゾは言った。
「え……?」
トンマーゾは、刻印を刻み解放した時の事を言っていた。ティモシーがわからないという顔つきで彼を見たのでやれやれとトンマーゾは語る。
「あの時解放したのは、ミュアンの子かもしれないと思ったからだ。ミュアンに子供がいるという情報を得てな。
お前、皇女と逃げた時に結界を張ったよな? あれはお前だろう?」
その言葉にティモシーは驚いた。気づかれていたとは思わなかった。いやブラッドリーが気が付いていたのだから気が付いていてもおかしくはない。
「そして、あのペンダント。あれ、封印のペンダントだった。なのにレジストの付与……」
それもバレていたのかとティモシーは更に驚く。つまり泳がされていた。
「へえ。封印ねぇ。そう言えばそのペンダント今してないよね? どうしたの?」
「母さんが壊した……」
ティモシーは俯いてボソッと返した。
「っち。壊してしまったのかよ。それで追えるかもと思ったんだがな」
その言葉に、あの時成り行きを見ていてあの場に現れたのではなく、本当にギリギリ助けに入ったのだと知った。
「何故あの時、ハミッシュ王子を殺さなかったの?」
「何故殺さなくてはいけない?」
「何故って……イリステーナ皇女は殺そうとしたじゃないか!」
トンマーゾに顔を向けティモシーは叫んだ。
「そういう命令だったからな。あ、そう言えばレオナール王子の方はどうした?」
「生きているよ!」
「ほう。よくお前を王宮から出したな」
「今、この国にいないんで……」
「という事は、情報通りヴィルターヌ帝国に行ってるって事か」
トンマーゾの言葉にティモシーはしまったと思った。彼は、レオナールが母国に帰れないのを知っていたからだ。
「王宮を襲う気?」
キッとして睨み付けティモシーは問う。
「お前、大きな勘違いをしている。俺は別にエクランド国を貶める為にここに潜伏している訳じゃねぇ。担当地域がここだからここにいるだけだ!」
「へぇ。そうなんだ……」
関心したように言ったのは、ティモシーじゃなくてエイブだった。
「この際だ。教えてやる。俺の任務は、この国での魔術師と薬師の確保だ! 組織の者は、各国に数名ずつ潜伏している。俺達の最終目的は、魔術師の世界の復活だ」
エイブがティモシーに言っていた事は本当だった。だが、確保と目的との関係がよくわからない。
「なんで、魔術師の世界の復活に魔術師と薬師の確保なの?」
「それを聞くって事は、仲間になるって事でいいか?」
トンマーゾは質問を質問で返す。
「そうしなよティモシー。君はここから逃げ出せないから……。だってこの森からは抜け出せないからね」
エイブはそう言って窓の外の森を指差した。ティモシーは、視線を窓の外に向けた。
「迷いの霧があって森に入れば森から抜け出せなくなる。だから、ここから逃げ出せない。また逆にここに居れば追っ手はこない」
窓からエイブに視線を移すと彼は、真剣な顔つきでティモシーを見つめていた。
「………」
ティモシーは俯き、ふとんをギュッとつかむ。どうしていいかわからなかった。
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