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第16話
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どうしましょう。なんと言って、お断りすればいいの。
「レネット。もしかして彼が浮気していると思っているのかしら? だったらこちらに住んでもらいましょう」
「はい!?」
なぜか私の横に座っていたエルダ夫人がとんでもない事を口走る。
「ま、待って下さい。ガストン様は、ルトルン伯爵領にある学校に通っておられるのよ」
「なら転校すればいいのでは?」
「なるほど。その手があったか。転校の手続きを行えばよい。まだ通ってもいないし、認められるだろう」
にんまりとしてルトルン伯爵が言う。
「ガストン、よいな」
「はい。喜んで」
やっと顔をあげたと思ったら、ガストン様もニンマリしている。なんで?
いや待って!
食い扶持が一人増えるんだけど! そんな余裕ないわよ。一年間休業するのよ。
「そうだ。お金の件なら問題いらない。資金提供はもちろんする。使用人の費用もだそう」
「え! そこまでして頂くわけには参りません! その、私は……婚約を解消したいのです。本当に申し訳ないのだけど、ガストン様とは、今日も会わせて五度しかお会いした事もありませんし。もちろん、恨んでいる訳ではありません。その――」
「なぜ、断るの? あ、結婚の事よ。いい縁談ではありませんか。せっかく兄があなたにと決めた相手ですわ」
もう余計な事を言わないでよ。そもそも、この縁談だって、あなた達が居座るからこうなったのよ。
「僕が、不真面目だと思っているから婚約解消したいんだよね?」
「え?」
認めるの? 浮気。
「本来なら休みの日に手伝いに行く。それを僕は、グリンマトル伯爵に卒業後でいいと言われ真に受けて、行かなかった。すまなかった。この前、グリンマトル伯爵に言われて気が付いたんだ。僕には、常識がないと……」
そう言って、しょんぼりとする。
本当にそんな事を言われたの?
「ごほん。正直に言おう。今ここで、婚約を解消すると世間体が悪い。息子も反省している。だからここに置いてくれないか?」
う。これじゃ断れないじゃない。
ガストン様もいいの? 私と婚約破棄できるチャンスなのに。
たぶんルトルン伯爵が言う事は本音だと思う。
ガストン様の言う事は、ルトルン伯爵に言われた事じゃないかしら?
お父様は、そんな事一切言ってなかったもの。
ガストン様は、隠したいのね。浮気相手の存在を。これで、お相手と手を切ってくれればいいのだけど。
「はぁ。わかりました。婚約はこのままで結構です」
「そうか! よかったな。ガストン」
「はい……」
わかりやす。ガストン様、嬉しそうではないんだけど。
「では、薬師はこちらで何人か手配しよう。私の知り合いに経営家もいる」
「お、お待ちください! それに関しては、お断りします。もちろん申し出はありがたいのですが。休業予定ですので」
「え? 休業予定? そうなると、収入がないだろう」
ガストン様が、驚いたように言う。
そうだけど。私と使用人だけなら一年ぐらい何とかなるでしょう。私と使用人だけならね! 大事なので二度言っておくわ。
「私と使用人だけなら何とかなります。私が卒業すれば、店を再開する予定ですので」
「だが経営家は必要だろう。そう都合よく見つからないものだぞ」
「それは、問題ありません。すでに頼んでありますので!」
「そうか。もう頼んだのか」
ルトルン伯爵が困り顔だ。
やはり、お父様達が亡くなった責任を感じているのかもしれない。
うーん。どうしよう。私としては、ルトルン伯爵家の者を入れたくないのよね。
私が学園を卒業したら婚約を白紙にしてもらうつもりだから。
今の私では、断り切れないもの。
とりあえず、プロンテヌ侯爵が来た時にこの件も相談しましょう。
「では、その方に相談してみてはいかがでしょうか」
「そうだな」
「待って下さい! と、とても言いづらいですが、私はもう大人です。グリンマトル家の事については、私に任せて頂けませんか?」
「そうね。でも私達も突然出て行けと言われても困るのよ。だから仕事が欲しいのよね」
それ突然ではないですよね?
もう、どうすればいいのよ!
「レネット。もしかして彼が浮気していると思っているのかしら? だったらこちらに住んでもらいましょう」
「はい!?」
なぜか私の横に座っていたエルダ夫人がとんでもない事を口走る。
「ま、待って下さい。ガストン様は、ルトルン伯爵領にある学校に通っておられるのよ」
「なら転校すればいいのでは?」
「なるほど。その手があったか。転校の手続きを行えばよい。まだ通ってもいないし、認められるだろう」
にんまりとしてルトルン伯爵が言う。
「ガストン、よいな」
「はい。喜んで」
やっと顔をあげたと思ったら、ガストン様もニンマリしている。なんで?
いや待って!
食い扶持が一人増えるんだけど! そんな余裕ないわよ。一年間休業するのよ。
「そうだ。お金の件なら問題いらない。資金提供はもちろんする。使用人の費用もだそう」
「え! そこまでして頂くわけには参りません! その、私は……婚約を解消したいのです。本当に申し訳ないのだけど、ガストン様とは、今日も会わせて五度しかお会いした事もありませんし。もちろん、恨んでいる訳ではありません。その――」
「なぜ、断るの? あ、結婚の事よ。いい縁談ではありませんか。せっかく兄があなたにと決めた相手ですわ」
もう余計な事を言わないでよ。そもそも、この縁談だって、あなた達が居座るからこうなったのよ。
「僕が、不真面目だと思っているから婚約解消したいんだよね?」
「え?」
認めるの? 浮気。
「本来なら休みの日に手伝いに行く。それを僕は、グリンマトル伯爵に卒業後でいいと言われ真に受けて、行かなかった。すまなかった。この前、グリンマトル伯爵に言われて気が付いたんだ。僕には、常識がないと……」
そう言って、しょんぼりとする。
本当にそんな事を言われたの?
「ごほん。正直に言おう。今ここで、婚約を解消すると世間体が悪い。息子も反省している。だからここに置いてくれないか?」
う。これじゃ断れないじゃない。
ガストン様もいいの? 私と婚約破棄できるチャンスなのに。
たぶんルトルン伯爵が言う事は本音だと思う。
ガストン様の言う事は、ルトルン伯爵に言われた事じゃないかしら?
お父様は、そんな事一切言ってなかったもの。
ガストン様は、隠したいのね。浮気相手の存在を。これで、お相手と手を切ってくれればいいのだけど。
「はぁ。わかりました。婚約はこのままで結構です」
「そうか! よかったな。ガストン」
「はい……」
わかりやす。ガストン様、嬉しそうではないんだけど。
「では、薬師はこちらで何人か手配しよう。私の知り合いに経営家もいる」
「お、お待ちください! それに関しては、お断りします。もちろん申し出はありがたいのですが。休業予定ですので」
「え? 休業予定? そうなると、収入がないだろう」
ガストン様が、驚いたように言う。
そうだけど。私と使用人だけなら一年ぐらい何とかなるでしょう。私と使用人だけならね! 大事なので二度言っておくわ。
「私と使用人だけなら何とかなります。私が卒業すれば、店を再開する予定ですので」
「だが経営家は必要だろう。そう都合よく見つからないものだぞ」
「それは、問題ありません。すでに頼んでありますので!」
「そうか。もう頼んだのか」
ルトルン伯爵が困り顔だ。
やはり、お父様達が亡くなった責任を感じているのかもしれない。
うーん。どうしよう。私としては、ルトルン伯爵家の者を入れたくないのよね。
私が学園を卒業したら婚約を白紙にしてもらうつもりだから。
今の私では、断り切れないもの。
とりあえず、プロンテヌ侯爵が来た時にこの件も相談しましょう。
「では、その方に相談してみてはいかがでしょうか」
「そうだな」
「待って下さい! と、とても言いづらいですが、私はもう大人です。グリンマトル家の事については、私に任せて頂けませんか?」
「そうね。でも私達も突然出て行けと言われても困るのよ。だから仕事が欲しいのよね」
それ突然ではないですよね?
もう、どうすればいいのよ!
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