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第15話
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葬儀から三日経って、少し落ち着いてきたわ。
春休みが終わる前に、色々としておかないとね。
私が、学園を卒業するまで営業停止の届に、ガストン様との婚約の解消。
それと、ウルミーシュ子爵家一家の今後の事もあるわ。
彼女達なら居座るでしょう。それだけならいいけど、仕切ろうとするかもしれない。
お母様が前に財産が云々と言っていたけど、お金の事だけではなく、爵位の件もあるわ。
まずは、お母様達が何を届け出ていたか確認したいわね。
まさかこうなるとは思っていなかったでしょうけど、レリーフの登録をしておいてよかったわ。
ないとは思うけど、サインを偽造されたら厄介だもの。
「おはようございます」
「おはよう、レネット。顔色がまだすぐれないわ。学園が始まるまであなたは休んでいていいわ。薬師の手配は私がやっておくから」
は? 何を言っているの? そんな権利、あなたにないじゃない。何の資格も持たない居候なのに。
「いえ。その件は大丈夫です。今日これから、一年間の営業停止の届を出してきます。学園を卒業してから再開すればいいのですから」
途中半端にすると、お客様にもご迷惑がかかる。
「あらでも、ルトルン伯爵令息が学校を卒業するのは、あなたが学園を卒業してから二年後ではなくて? 彼がいなくては運営できなくてよ」
「問題ありません。知り合いの経営家がおりますから」
私の事だけどね。
「そう。でも午後からルトルン伯爵が来る事になっているから相談なさってからにしてみてはいかが?」
「え? あ、そうね」
婚約の事で話をしにくるのね。
ガストン様には好きな人がいるみたいだし、こちらはすぐに片付きそうね。
「では、会ってから行きますわ」
「えぇ。そうするといいわ」
婚約の事が片付けば、プロンテヌ侯爵が来てくれた時に、ウルミーシュ子爵一家の事を相談して、こっちも片付くわ。
そう私は、思っていた。けど、事は思わぬ方向に向かう事になった。
「お待ちしておりました。ルトルン伯爵。ガストン様」
「どうだい? 落ち着いたかい。って、そんなわけないな。ご両親が亡くなったのだから」
ルトルン伯爵が、そう言いつつソファーに腰を下ろす。ガストン様は、目を合わせようとしない。
やはり、婚約を破棄しにきたのね。
「ルトルン伯爵。覚悟はできております。私達の婚約は、別に政略でも恋愛でもありません。解消して頂いて大丈夫ですわ」
「何を水臭い事を。そもそも政略でないのなら、ご両親が亡くなったからと婚約を白紙に戻す事もないだろう」
「え? ですが……」
チラッとガストン様を見ても彼は、俯いたまま。
なるほど、言い出せずにいるのね。
「ルトルン伯爵。その父からガストン様には、思い人がいると聞いております。私は彼がいなくとも大丈夫ですので、彼の話を聞いてあげてください」
ルトルン伯爵が、一瞬驚いた顔をしたかと思うと、頭を下げた。え? どうして?
「すまぬ。やはり勘違いしたままだったか。息子からも聞いた。どうやら私が勘違いし、君の父に二人が文通をこっそりしていると伝えてしまった。だがその手紙は、友達とのものだった。すまなかったよ。その勘違いで憤慨したグリンマトル伯爵が、こちらに来る途中で事故を起こしてしまった。あんな勘違いがなければ、こんな事には……」
「………」
どういう事? 確かにお父様は、ルトルン伯爵からそう聞いたと言っていた。けど、クラブに違う女性と一緒にって。確かな方からの情報だと。きっと、それは知らないんだわ。
私との結婚にメリットなどルトルン伯爵家にはない。彼を庇う必要がないもの。
まあ、厄介払いしたいのかもしれないけど。
でも困ったわね。
私は、彼とは結婚する気はこれっぽちもないわ。
彼に好きな方がいるのは確かなのだから、政略結婚でもないのに結婚でもしたら浮気するに決まっているわ。というか、すでにしているんだったわ。
春休みが終わる前に、色々としておかないとね。
私が、学園を卒業するまで営業停止の届に、ガストン様との婚約の解消。
それと、ウルミーシュ子爵家一家の今後の事もあるわ。
彼女達なら居座るでしょう。それだけならいいけど、仕切ろうとするかもしれない。
お母様が前に財産が云々と言っていたけど、お金の事だけではなく、爵位の件もあるわ。
まずは、お母様達が何を届け出ていたか確認したいわね。
まさかこうなるとは思っていなかったでしょうけど、レリーフの登録をしておいてよかったわ。
ないとは思うけど、サインを偽造されたら厄介だもの。
「おはようございます」
「おはよう、レネット。顔色がまだすぐれないわ。学園が始まるまであなたは休んでいていいわ。薬師の手配は私がやっておくから」
は? 何を言っているの? そんな権利、あなたにないじゃない。何の資格も持たない居候なのに。
「いえ。その件は大丈夫です。今日これから、一年間の営業停止の届を出してきます。学園を卒業してから再開すればいいのですから」
途中半端にすると、お客様にもご迷惑がかかる。
「あらでも、ルトルン伯爵令息が学校を卒業するのは、あなたが学園を卒業してから二年後ではなくて? 彼がいなくては運営できなくてよ」
「問題ありません。知り合いの経営家がおりますから」
私の事だけどね。
「そう。でも午後からルトルン伯爵が来る事になっているから相談なさってからにしてみてはいかが?」
「え? あ、そうね」
婚約の事で話をしにくるのね。
ガストン様には好きな人がいるみたいだし、こちらはすぐに片付きそうね。
「では、会ってから行きますわ」
「えぇ。そうするといいわ」
婚約の事が片付けば、プロンテヌ侯爵が来てくれた時に、ウルミーシュ子爵一家の事を相談して、こっちも片付くわ。
そう私は、思っていた。けど、事は思わぬ方向に向かう事になった。
「お待ちしておりました。ルトルン伯爵。ガストン様」
「どうだい? 落ち着いたかい。って、そんなわけないな。ご両親が亡くなったのだから」
ルトルン伯爵が、そう言いつつソファーに腰を下ろす。ガストン様は、目を合わせようとしない。
やはり、婚約を破棄しにきたのね。
「ルトルン伯爵。覚悟はできております。私達の婚約は、別に政略でも恋愛でもありません。解消して頂いて大丈夫ですわ」
「何を水臭い事を。そもそも政略でないのなら、ご両親が亡くなったからと婚約を白紙に戻す事もないだろう」
「え? ですが……」
チラッとガストン様を見ても彼は、俯いたまま。
なるほど、言い出せずにいるのね。
「ルトルン伯爵。その父からガストン様には、思い人がいると聞いております。私は彼がいなくとも大丈夫ですので、彼の話を聞いてあげてください」
ルトルン伯爵が、一瞬驚いた顔をしたかと思うと、頭を下げた。え? どうして?
「すまぬ。やはり勘違いしたままだったか。息子からも聞いた。どうやら私が勘違いし、君の父に二人が文通をこっそりしていると伝えてしまった。だがその手紙は、友達とのものだった。すまなかったよ。その勘違いで憤慨したグリンマトル伯爵が、こちらに来る途中で事故を起こしてしまった。あんな勘違いがなければ、こんな事には……」
「………」
どういう事? 確かにお父様は、ルトルン伯爵からそう聞いたと言っていた。けど、クラブに違う女性と一緒にって。確かな方からの情報だと。きっと、それは知らないんだわ。
私との結婚にメリットなどルトルン伯爵家にはない。彼を庇う必要がないもの。
まあ、厄介払いしたいのかもしれないけど。
でも困ったわね。
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