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第19話
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「あなた、いいかしら?」
エルダ夫人が、ウルミーシュ子爵に同意を求めた。
誓約書には、アンナにも淑女としての振舞いを求めるもので、レネットに迷惑を掛けない事が約束事になっている。
普通なら誓約書は要らないと思う内容よね。
くすん。私に味方はいないのかしら。
「うーむ。ちょっと曖昧なのが心配だな」
「そうよね。もし破ったらグリンマトル家と縁を切るとなっているものね。レネットに迷惑を掛けないって、レネットが迷惑を掛けられたと言えば、破った事にならないかしら」
「だったらレネットにも何か誓約をさせればいい」
待って。なぜ私まで。
「では、こんなのはどうかしら。一緒に住んでいる間は、家族として接してもらう」
エルダ夫人がそう言った。
もしかして、贅沢三昧をしようというのではないのでしょうね。
「レネット。彼女がそう言っているが、君はどうだね」
「どうって言われても……」
プロンテヌ侯爵に問われるも、エルダ夫人の真意がわからない。
「ではこうしましょう。ルトルン伯爵に立会人になってもらって、プロンテヌ侯爵に月に一度報告してもらうっていうのはいかが? 私の事もあなたの事もね」
私ににっこりとほほ笑んでエルダ夫人が言った。
いやいやいや、ダメでしょう。
この前の話し合いで、ルトルン伯爵とエルダ夫人は、グルのようだった。嘘の報告をしそうだわ。
「では、私の方からも報告する者を立てよう」
「報告するものですって?」
「まさかその者はすでに決まっているとは言わないでしょうね」
ルトルン伯爵が、凄んで言った。
もしそうなら、こんな事茶番だ。
最初からそうするつもりで話を進めていた事になる。
「まさか。これから決めて連絡しよう。レネット。それでいいなら誓約書を自身で書いてくれないか」
「え……」
もうプロンテヌ侯爵が何を考えているのかわからない。
「ねえ、さっきからレネットに有利な内容ばかりよね。誓約書なんだから、レネットの誓約書には私達が有利になるように書いてくれる?」
なんですとー。
いきなり口を挟んで来たと思ったら、アンナが凄い事を言って来たんだけど。
「例えば、家族なら家賃なんていらないでしょう」
「はい!? 確かにそういう捉え方もあるでしょうけど、食費だけでも結構かかるのよ? 経営を再開すると言っても、人を雇うから利益は減るわ」
「でも家族なんでしょう?」
「だったらガストンもいずれ家族だ。ルトルン伯爵家が支援しよう」
「いや、それにはおよばん。誓約期間内は、私がレネットに支援しよう」
「そうね。でしたらプロンテヌ侯爵にも誓約書を書いていただきましょう」
さすがエルダ夫人。格上のプロンテヌ侯爵に、そんな事を言うなんて。
「いいだろう」
しかも、了承しちゃうんですか?
こうして、私達の誓約書が、役所に提出される事となった。
私の誓約書は、一年間ウルミーシュ子爵一家をグリンマトル家の一員とするというモノ。
まあ、アンナが私に迷惑を掛けないと言う誓約をしているから、勝手にお金を使ったりはしないでしょうけど。
プロンテヌ侯爵は、私達を見守るという誓約。つまり、口を出さない。
もちろん、誰かが誓約を破らない限りだけど。
で、約束を私が破れば、なぜか私がアンナの相手を見繕う事になった。意味がわからないんだけど!
で、プロンテヌ侯爵が誓約違反をした場合は、全ての誓約書を白紙に戻すというもの。
それを了承しちゃうんだから、もうどうなってるのよ。
まあこの場合、私の誓約書も白紙になるわけだけど。あまり意味がないのよね。
もうこの際だから、今からアンナに相応しい令息探しておこうかしら。
それにしても、三台の馬車で役所に向かう事になるとはね。
私は、ウルミーシュ子爵の馬車に乗り役所に向かうのだった。
早く、新しい馬車を作り直さなければ!
エルダ夫人が、ウルミーシュ子爵に同意を求めた。
誓約書には、アンナにも淑女としての振舞いを求めるもので、レネットに迷惑を掛けない事が約束事になっている。
普通なら誓約書は要らないと思う内容よね。
くすん。私に味方はいないのかしら。
「うーむ。ちょっと曖昧なのが心配だな」
「そうよね。もし破ったらグリンマトル家と縁を切るとなっているものね。レネットに迷惑を掛けないって、レネットが迷惑を掛けられたと言えば、破った事にならないかしら」
「だったらレネットにも何か誓約をさせればいい」
待って。なぜ私まで。
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エルダ夫人がそう言った。
もしかして、贅沢三昧をしようというのではないのでしょうね。
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「どうって言われても……」
プロンテヌ侯爵に問われるも、エルダ夫人の真意がわからない。
「ではこうしましょう。ルトルン伯爵に立会人になってもらって、プロンテヌ侯爵に月に一度報告してもらうっていうのはいかが? 私の事もあなたの事もね」
私ににっこりとほほ笑んでエルダ夫人が言った。
いやいやいや、ダメでしょう。
この前の話し合いで、ルトルン伯爵とエルダ夫人は、グルのようだった。嘘の報告をしそうだわ。
「では、私の方からも報告する者を立てよう」
「報告するものですって?」
「まさかその者はすでに決まっているとは言わないでしょうね」
ルトルン伯爵が、凄んで言った。
もしそうなら、こんな事茶番だ。
最初からそうするつもりで話を進めていた事になる。
「まさか。これから決めて連絡しよう。レネット。それでいいなら誓約書を自身で書いてくれないか」
「え……」
もうプロンテヌ侯爵が何を考えているのかわからない。
「ねえ、さっきからレネットに有利な内容ばかりよね。誓約書なんだから、レネットの誓約書には私達が有利になるように書いてくれる?」
なんですとー。
いきなり口を挟んで来たと思ったら、アンナが凄い事を言って来たんだけど。
「例えば、家族なら家賃なんていらないでしょう」
「はい!? 確かにそういう捉え方もあるでしょうけど、食費だけでも結構かかるのよ? 経営を再開すると言っても、人を雇うから利益は減るわ」
「でも家族なんでしょう?」
「だったらガストンもいずれ家族だ。ルトルン伯爵家が支援しよう」
「いや、それにはおよばん。誓約期間内は、私がレネットに支援しよう」
「そうね。でしたらプロンテヌ侯爵にも誓約書を書いていただきましょう」
さすがエルダ夫人。格上のプロンテヌ侯爵に、そんな事を言うなんて。
「いいだろう」
しかも、了承しちゃうんですか?
こうして、私達の誓約書が、役所に提出される事となった。
私の誓約書は、一年間ウルミーシュ子爵一家をグリンマトル家の一員とするというモノ。
まあ、アンナが私に迷惑を掛けないと言う誓約をしているから、勝手にお金を使ったりはしないでしょうけど。
プロンテヌ侯爵は、私達を見守るという誓約。つまり、口を出さない。
もちろん、誰かが誓約を破らない限りだけど。
で、約束を私が破れば、なぜか私がアンナの相手を見繕う事になった。意味がわからないんだけど!
で、プロンテヌ侯爵が誓約違反をした場合は、全ての誓約書を白紙に戻すというもの。
それを了承しちゃうんだから、もうどうなってるのよ。
まあこの場合、私の誓約書も白紙になるわけだけど。あまり意味がないのよね。
もうこの際だから、今からアンナに相応しい令息探しておこうかしら。
それにしても、三台の馬車で役所に向かう事になるとはね。
私は、ウルミーシュ子爵の馬車に乗り役所に向かうのだった。
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