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第34話 フランシスク視点
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「失礼します。学園長、部屋をお借りしても構いませんか」
「フランシスクか。噂を流した者が見つかったか。どれ、私も一緒に聴取をしよう」
「ありがとうございます」
「ち、違います! 噂を流したのは俺ではありません! 噂が本当かどうか確認しただけです」
パスータン令息が喚く。
「その話を今から聞く。さあ部屋に入り、そこに座りなわい」
二人は、学園長に促され椅子に腰を下ろす。その二人に向かい合う様に、学園長は椅子を持って来て座った。
「君は?」
「私はここでお聞きします」
私が目の前にいない方がいいだろう。
二人の斜め後ろの壁に寄りかかる。
「では、経緯を聞こうか。ここで話を聞き、書類を作成する。悪質の場合は、裁きを受ける事になるだろう」
「え! 俺は確認しただけですよ」
「それを順を追って話してほしい。そうすれば、君が言っている事が本当だと証明できるだろう」
「はい!」
彼は頷くも、ユゲット嬢は俯いたままだ。
拗れてしまったんだな。でも、浮気をしたのは本当の事。だから婚約破棄したのだ。
彼女もそれはわかっているだろうけど。どうしてこうも固執するのか。
「そのダマレドゴ嬢の婚約解消の話の噂が落ち着いた頃、その婚約解消の裏にグリンマトル嬢の思惑があるという噂が流れて、噂通りにマスティラン子息が彼女と馬車に乗る姿や、彼女の屋敷に行く姿を見たという複数の証言があって……」
パスータン令息が、チラッと私を見た。そのまま続けてと、頷く。
「ダマレドゴ嬢が、グリンマトル嬢ではなくて、マスティラン子息が画策したんだと言い出して、クラブで見かけたという噂を聞いたダマレドゴ嬢が、マスティラン子息の馬車に乗り込んだ二人を追跡した結果、噂通りグリンマトル嬢の家に行った」
「そうよ。送っただけではなく彼も屋敷に入ったのよ。その後一時間見張っていたけど、彼は出て来る事はなかった」
「ふむ。それであなたは、どう思ったのだ」
学園長が問いかける。
「噂通り、浮気しているのだと!」
彼女の家で逢瀬をしているのならクラブなど行く必要がないと気づかないか。まあ、気づかないからクラブを見張るなんて事になったのだろうけどな。
「それを聞いた俺は、クラブを見張る事にしました。そうしたら、二人が出て来たんです」
「それを私達だと思ったと。顔を確認していないのに、なぜそう思ったのだ? 他の者もそこで逢瀬をしている。フードを被っていたのだろう?」
「それは申し訳ありませんでした」
パスータン令息が、私に振り向き頭を下げ謝罪をした。
「謝罪はいいから答えてくれないか? 誰かに服装でも聞いていたとか?」
「それは、相手がグリンマトル嬢だったからです」
彼女の訳ないだろう。
「君は、彼女の顔を見たと言っていたな。本当に彼女だったのか」
「それは……フードから見えた髪色は同じだったし」
「待ちなさい。君は髪だけで判断したのかね? だったら顔を見たとは言えない」
学園長にそう言われ、彼が慌てふためく。
「いやあの時は、顔を見たつもりに……でもよく考えたら女性ではあったけど、顔は良く見えていなかった。でも、いつもの馬車だった! 相手はマスティラン子息ではなかったですが、彼女は浮気していたんです!」
はぁ。
私の口から大きなため息が出て行った。
「ウルミーシュ子爵家の馬車だったというわけだな」
「え? 子爵家?」
私がそう言うと、パスータン令息が驚きの声を上げる。
「よく考えればわかるだろう。馬車は壊れてしまって、グリンマトル家の馬車はない。彼女がこっそり抜け出して、ウルミーシュ子爵家の馬車を使っていたという事になるのだが?」
「で、ですがもう一台あったのでは……」
「壊れた馬車しかない」
「待って、では彼が見た令嬢って……嘘よ。そんなわけないわ! だって彼女が助言してくれたのよ! 一週間ぐらい見張ってみたらって!」
やっぱり彼女と繋がりがあったか。
結局、私の浅はかな行動がレネット嬢を更に傷つける結果になってしまったんだな。
彼女の身に何か起きる前にと焦った結果だが、いやあれが悪手だったんだ。それによって、取り返しのつかない事が起きてしまった。
「フランシスクか。噂を流した者が見つかったか。どれ、私も一緒に聴取をしよう」
「ありがとうございます」
「ち、違います! 噂を流したのは俺ではありません! 噂が本当かどうか確認しただけです」
パスータン令息が喚く。
「その話を今から聞く。さあ部屋に入り、そこに座りなわい」
二人は、学園長に促され椅子に腰を下ろす。その二人に向かい合う様に、学園長は椅子を持って来て座った。
「君は?」
「私はここでお聞きします」
私が目の前にいない方がいいだろう。
二人の斜め後ろの壁に寄りかかる。
「では、経緯を聞こうか。ここで話を聞き、書類を作成する。悪質の場合は、裁きを受ける事になるだろう」
「え! 俺は確認しただけですよ」
「それを順を追って話してほしい。そうすれば、君が言っている事が本当だと証明できるだろう」
「はい!」
彼は頷くも、ユゲット嬢は俯いたままだ。
拗れてしまったんだな。でも、浮気をしたのは本当の事。だから婚約破棄したのだ。
彼女もそれはわかっているだろうけど。どうしてこうも固執するのか。
「そのダマレドゴ嬢の婚約解消の話の噂が落ち着いた頃、その婚約解消の裏にグリンマトル嬢の思惑があるという噂が流れて、噂通りにマスティラン子息が彼女と馬車に乗る姿や、彼女の屋敷に行く姿を見たという複数の証言があって……」
パスータン令息が、チラッと私を見た。そのまま続けてと、頷く。
「ダマレドゴ嬢が、グリンマトル嬢ではなくて、マスティラン子息が画策したんだと言い出して、クラブで見かけたという噂を聞いたダマレドゴ嬢が、マスティラン子息の馬車に乗り込んだ二人を追跡した結果、噂通りグリンマトル嬢の家に行った」
「そうよ。送っただけではなく彼も屋敷に入ったのよ。その後一時間見張っていたけど、彼は出て来る事はなかった」
「ふむ。それであなたは、どう思ったのだ」
学園長が問いかける。
「噂通り、浮気しているのだと!」
彼女の家で逢瀬をしているのならクラブなど行く必要がないと気づかないか。まあ、気づかないからクラブを見張るなんて事になったのだろうけどな。
「それを聞いた俺は、クラブを見張る事にしました。そうしたら、二人が出て来たんです」
「それを私達だと思ったと。顔を確認していないのに、なぜそう思ったのだ? 他の者もそこで逢瀬をしている。フードを被っていたのだろう?」
「それは申し訳ありませんでした」
パスータン令息が、私に振り向き頭を下げ謝罪をした。
「謝罪はいいから答えてくれないか? 誰かに服装でも聞いていたとか?」
「それは、相手がグリンマトル嬢だったからです」
彼女の訳ないだろう。
「君は、彼女の顔を見たと言っていたな。本当に彼女だったのか」
「それは……フードから見えた髪色は同じだったし」
「待ちなさい。君は髪だけで判断したのかね? だったら顔を見たとは言えない」
学園長にそう言われ、彼が慌てふためく。
「いやあの時は、顔を見たつもりに……でもよく考えたら女性ではあったけど、顔は良く見えていなかった。でも、いつもの馬車だった! 相手はマスティラン子息ではなかったですが、彼女は浮気していたんです!」
はぁ。
私の口から大きなため息が出て行った。
「ウルミーシュ子爵家の馬車だったというわけだな」
「え? 子爵家?」
私がそう言うと、パスータン令息が驚きの声を上げる。
「よく考えればわかるだろう。馬車は壊れてしまって、グリンマトル家の馬車はない。彼女がこっそり抜け出して、ウルミーシュ子爵家の馬車を使っていたという事になるのだが?」
「で、ですがもう一台あったのでは……」
「壊れた馬車しかない」
「待って、では彼が見た令嬢って……嘘よ。そんなわけないわ! だって彼女が助言してくれたのよ! 一週間ぐらい見張ってみたらって!」
やっぱり彼女と繋がりがあったか。
結局、私の浅はかな行動がレネット嬢を更に傷つける結果になってしまったんだな。
彼女の身に何か起きる前にと焦った結果だが、いやあれが悪手だったんだ。それによって、取り返しのつかない事が起きてしまった。
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